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『ケーキの切れない非行少年たち』を読んで考えた

ベストセラーになると「逆に読みたくなくなる症候群」の私。
今更ながら読みました。(約6年前の新書)
その直後、「加古川少年院(日本最大の少年院)に入っている少年の8割が【境界知能】」というニュースをネットで読みました。
いろいろ考えさせられました。


「境界知能」とは

知能指数(IQ)の分布において「平均的とされる領域」と「知的障害とされる領域」の境界に位置すること。平均的ではないが知的障害でもない、知能指数にしてIQ70以上85未満の状態を指す。統計上、全体の14パーセントがこの「境界知能」に該当する。グレーゾーンとも呼ばれる。

Wikipediaより

「境界知能」の多くの人が「生きづらさ」を感じているにもかかわらず、
障がいがあると見做されないので、社会的な支援はありません。

非行少年に共通する特徴

著者の宮口幸治氏は、
非行少年に共通する特徴として
・認知機能の弱さ・・・見たり聞いたり創造する力が弱い
・感情統制の弱さ・・・感情をコントロールするのが苦手。すぐにキレる
・融通の利かなさ・・・何でも思いつきでやってしまう。予想外のことに弱い
・不適切な自己評価・・・自分の問題点が分からない。自信があり過ぎる、なさ過ぎる
・対人スキルの乏しさ・・・人とのコミュケーションが苦手
+1身体的不器用さ・・・力加減が出来ない、身体の使い方が不器用
(+1については身体機能が優れ、当てはまらない場合もある)
を挙げています。

これは、境界知能の特徴といっても過言ではないと思います。

犯罪者の半数はIQ85以下?

『ケーキの切れない非行少年たち』の中で、
「法務省の統計表によると、
2017年に新しく刑務所に入った受刑者1万9336人のうち、
約17%の人が軽度知的障害者相当
約34%の人が境界知能相当
で、新規受刑者の半数近くに相当する。
一般的には軽度知的障害相当と境界知能相当の人を合わせると15~16%程度なので、受刑者における割合がかなり高い。」
と書かれています。

境界知能は芸能界にも多い?

「芸能人」のあまりにも破天荒な話、「お笑い芸人」のバカ話、「おバカタレント」の的外れな受け答え、「運動できない芸人」の信じられない運動音痴さ、
私は今までつい笑っていましたが、
実は彼らは境界知能だったのではないでしょうか。

バカなことをする芸能人を
境界知能と認定することと、
バカにして笑うことと、
どちらが差別なのでしょうか。
あるいは、どちらも差別ではないのでしょうか。

境界知能について、私自身認識を高める必要があると感じました。

性産業にも多い?

契約書にサインしたからAVに出てしまったり、
ホストにハマって風俗嬢になってしまったり、
性産業で働く女性も境界認知の人が多いのではないでしょうか。

性産業に詳しいわけではないので断定はできませんが、
境界知能を知ると、
どうしてもそういうイメージを持ってしまいます。

これは差別なのか?
それとも性産業で働く女性を救う第一歩なのか?

これも難しい問題です。

犯罪、芸能界、性産業に共通すること

ここで境界知能の人が多く存在する業界(イメージ含む)、
犯罪、芸能界、性産業
の共通項が見えてきます。

それは、
「暴力団」です。
すべての業界に関わっています。

つまり私が言いたいのは、
「境界認知の人々は暴力団に搾取されているのではないか」
ということです。
(芸能界は違うかもしれませんが)

境界知能の人が搾取される社会で、
一番旨味を吸っているのは、反社会的な人々。
(想像です)

しかし、
犯罪者における境界知能相当の人の割合の高さは、間違いなく社会的な問題といえるのではないでしょうか。
何とかしなければいけません。

「コグトレ」とは

「コグトレ」とは、
著者の宮口教授が主宰する
「認知機能を高めるトレーニング」です。

境界知能の傾向は小学校低学年から出始めるそうです。
その段階からトレーニングを始めることで、その子の認知機能を高め、
社会で問題なく生活できるようにする取り組みです。

『犯罪者を納税者にし、社会をより豊かにする』素晴らしい取り組みだと思います。

そのためには、「困っている子の早期発見と支援」が何より重要だそうです。

教育改革はいろいろな面で喫緊の課題ですが、
犯罪減少という面でも重要といえます。

せっかく1人1台タブレットがあるんだから、
優秀な教師が、それぞれ個々人のレベルの選べる授業をオンラインでやったらどうでしょう。
(レベルごと全国一律の講座)
クラスの担任は授業ではなく、生活や勉強のサポートに徹することができ、
より細かで、一人ひとりにあった勉強が可能となるのではないでしょうか。
「コグトレ」もすべての端末にダウンロードすべきです。

私がこんなことを思うくらいなので、
境界知能について社会認識が高まってきているのではないでしょうか。

改めて宮口浩治氏と『ケーキの切れない非行少年たち』の本の功績は大きいと感じました。

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