見出し画像

ブスに彼氏が居ちゃダメですかepisode4

一目惚れ

私と彼氏が出会ったのは中学一年生。
私は入学式で、新入生代表の挨拶を読んだ。
その時から彼氏の中には私が居たらしい。


中学で新しく出来た友達はませていて、まだ5月だというのに好きな人がいると言う。
林間学校の時に告白の手紙を渡したいからついてきて欲しいと言われた。
その相手が後に私と付き合うことになる男子だった。
告白の返事はダメだったらしい。
私は自分から告白出来ないから、すごい勇気あるなーと感心していた。

林間学校が終わり、しばらくした頃。
私は、その男子から呼び出された。
「呼び出し=告白」
テレビや漫画で何度も見てきた。
学校の屋上で告白されるシーン。
生憎、うちの中学校には屋上が無いのであのシーンが再現されることは無い。

それより、告白なんて初めてされる。
そんな味わったことの無い緊張感や動揺のせいで、一緒にいた友だちとキャーキャー騒いでしまった。
それがいけなかった。
その男子から、「やっぱりさっきの無しで」と、呼び出しをキャンセルされてしまった。

林間学校が終わってから、私とその男子は話す機会が増えた。男子と私の親友が同じクラスだったため、休み時間になると親友とおしゃべりする為に隣のクラスに足繁く通っていたのだ。
席が近かったその男子とも話すようになって、だいぶ打ち解けた頃だった。

林間学校で友だちの告白を断った人。
そんな男子のことを私もまた友だちと同じ気持ちで見るようになっていた。

『好き』


それなのに。
好きな人から呼び出されて、99%告白されたであろう大チャンスを、私はみすみす逃してしまった。


それから3年になるまで、私とその男子は言葉を交わすことなく過ごした。
その間、私は数人から告白されたが全て断った。
どうしても気になって、気づかれないように姿を探したり、たまに目が合うと慌てて逸らしたり。
やっぱり『好き』が消えなかった。

3年で同じクラスになった。
ある日の帰りに下駄箱を見ると、靴の上に手紙が置いてあった。
開けた瞬間に、好きな人の字だとすぐに分かった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?