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ブスに彼氏が居ちゃダメですかepisode13

大人になった私たち

私たちが卒業後に会ったのは、20歳の同窓会の時だった。
中学の同窓会だったので、会ってない人だと5年振り。高校が同じ人なら2年振りの再会だった。

会の終盤。
元彼が話しかけてきた。
「この後どうするの?よかったら一緒に…」
そう話している元彼の言葉を最後まで聞かずに
「みんなでカラオケ行くんだ。」と遮るように言った。
それを最後に、私たちは会うことはなかった。



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それから8年後。
私は、無口であんまり笑わなくて、ちょっと怖い印象だった人と結婚した。
今では、柔らかい笑顔と優しい声で私のことを1番に守ってくれる人になった。
それは、中学の時告白してくれたC君だ。
あの時は私の一方的なわがままで振り回して、付き合うことが出来なかったけど、C君は私のことをずっと好きでいてくれたのだ。

中学の入学式の日。
元彼の心の中だけではなく、C君の心の中にも私は入り込んだらしい。

運命なんてあるのか分からなかったけど、出会うべき人にはどんなに遠回りしても、また必ず巡り会う時が訪れる。
1度離れても、目の前に立った瞬間に心が響きあう。
無数に絡まった糸の中で1本だけ特別な糸が必ずある。
踏み荒らされた大地でも、水がなくカラカラに乾燥したひびが割れた土の上でも、また雨は降り、風が癒し、小さな芽が顔を出す日がきっとやってくる。
そこに咲いた小さな花を、人は一生をかけて守っていくんだと心に誓う。


今、40歳目前。
それでも、高校の時より輝いている自信がある。大きな口開けて笑うし、お酒は美味しいし、会いたい人には会いに行くし、友達との時間も大切にしてるし、夫とは親友みたいにふざけて笑い合えるし、息子も可愛い。
でも、歳には勝てないので毎日ウォーキングしたり、ちゃんとメイクしたり、サプリ飲んだり、ちょっと高めのクリーム顔に塗ったり、いろいろ試して歳に抗ってる。
高校以来、ブスと言われなくなった。

元彼にどこかでばったり会った時、私の姿を見て後悔してほしいという密かな願いがある。
あの頃は毎日辛くて、どうやって最小限の傷で1日を耐え凌ぐか必死に考えていた。
それがあったから、今がある。
今、あの頃のキラキラ女子に負けないくらい輝いていられるのは、毎日のようにブスだと言われてきたからだ。

だから、笑っていよう。
本当はみんな可愛いんだから。

END




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