19歳、コンビニ、常連客との恋part4
私たちは、それから連絡を取り合い、何度か会って食事に行った。もちろん、コンビニにも毎朝顔を出す。
そして、私たちは付き合うことになった。
そこまでは良かった。
今まで、会う時にはいつも橋下さんの仕事終わりに会っていた。
でも、付き合うとなればもっと一緒に居たくなる。
お互い休みが同じになる時に、1日デートをしようとなった。そりゃそうだ。そうなる。
素直に嬉しかったし、すごく楽しみだった。
デート当日。
初めて朝から橋下さんと一緒に居られる。
しかし、迎えに来てくれた橋下さんを見て私は驚愕した。
彼の私服はすごかった…!!
今までは知らなかった。仕事終わりに会うから、いつだってビシッとスーツで来るから…戦闘服しか見てなかった。
休日の彼の私服はとんでも私服だった…。
この日は橋下さんの地元の街で、デートする約束だった。
車から降りてきた橋下さんの格好は、ブラウン系のデニム素材のセットアップ…そこに所狭しとハイビスカスの柄…。
セットアップだからね!
上下ハイビスカス柄が歩いてくるんだからね!!
橋下さんの地元は人が多い。
並んで歩くと、すれ違う人達がガン見してくるのが分かる。女子高生なんか、笑いながら「ヤバい、ヤバい」と繰り返す。
私は心の中で思った。
【連れだと思われたくねー…!!】
一刻も早く夜になってほしかった。
少しでも周りの人達の視線を感じなくて済むように願った。
橋下さんは、全然だった。
自信に満ち溢れた顔で、「見てよ、この服!!いーよねー!!」と言わんばかりにズンズン人混みの中を歩いていく。
私は、追いつけないふりをして少し距離をおいて付いて行った。
しかし、橋下さんは私を見てあろうことか手を繋いできた!!
終わった。
これじゃ、他人の振りできないじゃん……。
「これで離れないね」
うん…離れたいの…!!
頼むから放してくれ!!!!
ご飯を食べていても周りの視線は気になった。
橋下さんは良い人だ。
顔だってまぁまぁ良いし、大人だし、優しいし、…
そこだけなんだ。
私服のダサさだけ我慢すれば最高の人だ。
夜なら完璧なんだ。
スーツで過ごしてくんねぇかなー、…。
私たちは、それからだって会って、抱きしめてもらったりキスしたり、もちろん最後までいったけど…
会っても会っても、私服のセンスは変わらなかった。
飛び抜けてる。
ビジュアル系バンドのボーカルですか?的な私服で毎回お目見えする…。
無理だった。
半年くらい付き合ったところで、私から別れて欲しいと橋下さんに告げた。
理由を聞かれた。
上手いこと嘘をついた。
本当は私服が耐えられない、っていう理由だけど。
ちょっと言えなかった。
こうして、19歳でバイトしたコンビニに来る常連客との恋の話は終わり。
だが、15年後。
知りたくなかった事実が明らかになる日が来る。
part5~ending~につづく…。
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