ブスに彼氏が居ちゃダメですかepisode5
簡単に裏切る
高校の何がつらいって、授業が合同になること。
3組と4組が同じ授業になるから、たまったもんじゃない。
ある日の体育の時間。
体育は男女別だった。
体育館でバレーボールをしていると、2階から中学の時の友だちに名前を呼ばれた。
声のする方を見上げると、友達のとなりに見たことのない人が居てこちらを見ている。
その人に顔を確認されると、友だちは
「なんでもないよ~、ごめんねー。」
と私にそう言ってきた。
いい気持ちはしなかった。
彼氏と同じクラスの女子というだけで、嫌な感じがした。
授業が終わり整列した時。
ちょうど、さっきの女子が私の斜め前に並んでいた。
すると、あきらかに聞こえるように
「あー!ムカつく!!死ね!」
と、下を向きながら言ってきた。
その頃には、私のクラスでも付き合っていることがほぼ全員に知れ渡っていたので、隣に並んでいたクラスメイトが面白がって、
「えー、こわぁい。あたしのこと~?」
なんていう寸劇を繰り広げ始めた。
私のことだって分かってるくせにわざとそんなこと言って、反応を見て楽しんでいた。
私は怖くて、どうすることも出来ずにただ下を向いて早くこの場から逃げ出したいと思っていた。
指先が小さく震えた。
ある日、家に帰ると彼氏から電話が来た。
どうやら、彼氏の自転車に私のプリクラが貼ってあったらしく、貼ったかどうか聞かれた。
今のこの状況で、どうして私がそんな大胆な行動が出来ると思う?私は何も言ってないし、何もしてないのに、みんなで私を排除しようとする。
あの頃、プリクラ交換するのが流行っていた。
彼氏の自転車に貼られたプリクラも、仲のいいグループの友だちと交換したものだった。
誰かが裏切った?
彼氏のことを好きな誰かが、私に対する嫌がらせのために友だちの誰かから貰って貼った?
間違いなく、一緒にいるグループの誰かのプリクラ帳にはそのプリクラは存在していないことになる。
しかし、それを確認することは出来なかった。
一緒に居てくれる友だちのことを疑えなかった。
上辺では一緒に仲良しごっこしてくれていたけど、裏ではほかの女子と同じでミソクソに言っていたかもしれない。
でも、クラスで一人ぼっちにならずに済んだのはその子たちが居てくれたおかげだったから感謝はしている。