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5分で特別法_環境法

概要

 環境法と呼ばれる法律群について、その内容を5分で読める程度のダイジェストでまとめました。

 このまとめは若干不正確だったり説明が不足している点があります。これはあくまで「概ねこういうことが法律で決められているんだ」ということを5分で概観するためのまとめなので、その点はご了承ください。

 また、法律名は一部略称です。

環境基本法

環境維持のための基本的理念や施策の大枠について定める。

環境影響評価法

法の概要

大規模事業について、事業者に対して事前の環境影響評価を適切に行わせるともに、環境への配慮を計画に反映させるためのステップを定める。

配慮書

道路、河川、鉄道、空港、発電所、廃棄物最終処分場、埋立・干拓、土地区画整理、新住宅市街地開発、工業団地造成、新都市基盤整備、流通業務団地造成、宅地造成などの事業の内、一定の要件のものを行おうとする事業者(以下、単に「事業者」)は、その計画段階において、環境保全のために配慮すべき事項を検討し、配慮書を作成しなければならない。(2,3の2,3の3)

事業者は、作成した配慮書を主務大臣に送付するとともに、それを公表しなければならない。(3の4)

方法書

事業者は、配慮書の内容を踏まえ、事業による環境影響の調査・予測・評価の方法を決め、それをまとめた方法書を作成しなければならない。(5)

事業者は、作成した方法書を管轄の都道府県知事及び市町村長に送付しなければならない。(6)

方法書は該当地域やインターネットにて1か月間公表しなければならないほか、該当地域にて説明会を開催しなければならない。(7,7の2)

準備書

事業者は、方法書に対して集まった意見を基に、事業の環境影響を調査・予測・評価する方法を決定し、始めようとしている事業の環境影響評価を実施しなければならない。(11,12)

環境影響評価の結果は準備書にまとめ、管轄の行政に送付するとともに公表しなければならない。(14,15)

評価書

事業者は、準備書に対して集まった意見を参考にし、環境影響評価をまとめた最終的な資料である評価書を作成しなければならない。(21)

事業者は、当該事業の評価書を、事業の許認可や補助金交付などをする者に対して送付しなければならない。(22)

事業の許認可や補助金交付などをする者は、評価書の記載事項に基づき、当該事業が環境保全について適切な配慮がなされるものであるかどうかを審査しなければならない。環境保全への配慮が不足していると判断した場合、許認可の根拠法の規定に関わらず、免許を拒否したり許可に条件を付けたりすることができる。(33)
→この仕組みにより、事業者は環境保存への配慮が足りないと許認可で不利に扱われるおそれがあるので、環境に配慮するインセンティブが働く。
→許認可の根拠法が「~の場合を除き、許可する。」のように許可の判断の裁量がない規定であっても、環境保全への配慮が不足していれば環境影響評価法を根拠として不許可とすることができる。

大気汚染防止法

工場や事業場でのばい煙、揮発性有機化合物、粉じん、水銀などの排出について規制するとともに、自動車排ガスの排出を抑制するための行政の施策を定める。
→昔はたまに聞くことがあった光化学スモッグ注意報は、これが根拠法。

水質汚濁防止法

工場や事業場から河川、湖沼、港湾、用水路などに排出される水について書く有害物質の許容限度を定めるとともに、生活排水による水質汚濁を防止するための行政の責務を定める。

土壌汚染対策法

法の概要

土壌汚染を発見する仕組み、発見した場合になすべき対策について定める。
→「防止法」ではなく「対策法」。

調査

都道府県知事は、特定施設(食料品の洗浄施設等)の廃止や3000㎡以上の土地の掘削を行おうとする者に対し、土壌の汚染状況について調査報告を命じなければならない。(3,4,5)

対策

都道府県知事は、汚染状況の調査によって基準以上の汚染が見つかった場合、当該土地を形質変更に届け出が必要な区域として指定しなければならない。(6Ⅰ①,11)

都道府県知事は、汚染状況の調査によって、基準値越えに留まらず健康被害があるほどの汚染を認めた場合は、土地の所有者に汚染除去計画の作成と提出を指示しなければならない。(6Ⅰ②,7)

循環型社会形成推進基本法

リサイクルが浸透した社会を実現するための基本的な理念や国の基本方針を定める。

廃棄物処理法

法の概要

一般廃棄物や産業廃棄物の定義を定め、それぞれの処理責任、処理業者、処理施設などについて規律する。

一般廃棄物

産業廃棄物以外の廃棄物はすべて一般廃棄物。(2Ⅱ)

一般廃棄物は市町村が収集、運搬、処分を行う。ただし、一般廃棄物処理業を行う者に委託することもできる。(6の2)

産業廃棄物

産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類などを言う。(2Ⅳ)

産業廃棄物は事業者責任で基準に則って処理しなければならない。(11Ⅰ,12)

産廃処理を産廃処理業者に委託した場合、事業者は産廃の引渡しと同時に産廃の管理表を交付しなければならず、産廃処理業者は処理の結果を管理表に記入し依頼者に管理表の写しを送付しなければならない。(12の3)
→いわゆる産廃マニフェストの交付。

事業者は管理表に関する報告書を作成し、都道府県知事に届け出なければならない。(12の3Ⅶ)

容器包装リサイクル法

瓶、ペットボトル、紙、金属等のリサイクルを促進するための国、市町村、事業者、国民の責務を定める。

自然公園法

優れた自然の保護とその利用増進を図るために、国立公園、国定公園、都道府県立自然公園について規定する。
→日本の自然公園は公有地と民有地の両方が存在する。自然公園に指定されると、建物の新築など一定の行為が許可制や届出制となる。

地球温暖化対策推進法

法の概要

地球温暖化防止の基本理念や、政府の定めるべき計画と推進本部、地方公共団体実行計画、事業者への温室効果ガス排出量の報告義務などを定める。

結語

 今回は5分で読める内容にまとまったと思いますが、かえって薄すぎる気もします。

 この取組は「実務家が慣れない法律に出くわした際に、あまりにも無知すぎて頓珍漢なことを言わないように最低限これくらいは知っておいた方がいいのではないか。」ということを書こうとしているのですが、実務で環境法に出くわす場面があまり創造できず、全体的に記載が薄めになったかもしれません。

 いずれどこかで更新が必要でしょう。

 次回は著作権法の予定です。

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