5分で特別法_消費者法
概要
いわゆる消費者法と呼ばれる法律群について、その内容を5分で読める程度のダイジェストでまとめました。
今回もすごくダイジェストで、若干不正確だったり説明が不足している点があります。これはあくまで「概ねこういうことが法律で決められているんだ」ということを5分で概観するためのまとめなので、その点はご了承ください。
また、法律名は一部略称です。
消費者基本法
消費者保護を実現するための基本的な理念等を定めている。
消費者契約法
法の概要
消費者契約における消費者の一般的な保護規定および消費者団体について定める。
取消し
重要事項についての事業者の説明が真実でなかった場合や、事業者が「将来絶対値上がりします!」など不確実な事柄について断言をしていた場合、消費者は契約を取り消すことができる。(4Ⅰ)
→詐欺取消(民96)よりも主張立証が容易。
消費者に有利な事だけを伝え不利なことをあえて伝えなかった場合、消費者は契約を取り消すことができる。(4Ⅱ)
→眺望が売りのマンションにて、その眺望をほとんど塞ぐような別のマンションの建築計画があるにもかかわらず、それを知りながら黙って売った場合など。
訪問営業が自宅から帰ってくれない、家に帰りたいのに帰らせてくれない、デート商法、霊感商法など、事業者が消費者を困惑させて締結した契約は、取り消すことができる。(4Ⅲ)
取消しは善意無過失の第三者に対抗できず、現存利益を返還する必要がある。(4Ⅵ、6の2)
無効
事業者の損害賠償責任の全部を免除する条項は無効。故意または重過失の場合には一部免除も無効。ただし履行の追完や代金減額など他の手段で消費者の利益の保護が図られていれば、契約不適合に関する責任免除は有効。(8)
消費者からの債務不履行解除権を放棄させる条項は無効。(8の2)
契約解除の際に消費者側に過大な損害賠償金や違約金を支払わせることを定めた条項は無効。(9)
公の秩序に反して消費者に一方的に不利な条項は無効。(10)
適格消費者団体
適格消費者団体は、事業者が↑のような行為を行っている場合、その行為の差止を求めることができる。(12)
特定商取引法
法の概要
トラブルの多い取引形態において、より消費者に有利な仕組みを定める。
訪問販売
事業者は、勧誘前に事業者名や何の勧誘かを述べなければならない。(3)
相手に拒否されたら勧誘を続けてはいけない。(3の2Ⅱ)
契約に際し、原則として契約内容を書面で交付しなければならない。(5)
書面交付から8日以内ならクーリング・オフで契約解除が可能。損害賠償や違約金は不要で、返品は事業者負担。ただし既に使用した分については解除できない。(9)
→訪問販売で化粧品を10セット買った場合、1セットを使ってしまっても8日以内なら9セット分について契約解除ができる。
通信販売
広告には価格などの表示義務があり、誇大広告は禁止。(11,12)
相手の承諾なしに勝手にメールで広告を送ってはいけない。(12の3)
契約から8日以内なら契約解除可能。しかしクーリング・オフと異なり、この権利は事業者側が特約を定めることで排除可能。また、返品費用は消費者負担。(15の3)
電話勧誘販売
訪問販売と概ね同じ。
連鎖販売取引
個人を販売員として勧誘し、更にその個人に次の販売員の勧誘をさせる形で、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品の取引のことを、連鎖販売取引という。(33Ⅰ)
→いわゆるマルチ商法。連鎖販売取引は規制が厳しいだけだが、金品だけのやりとりをする連鎖的な組織(ねずみ講)は違法。(無連法)
運営から仕入商品を買ってしまっても、書面交付から20日以内ならば契約をクーリング・オフで解除することができる。(40)
中途解約も可能。ただし、商品を受け取ってから90日経過したり商品の一部を使ってしまった場合などは解約できない。(40の2)
特定継続的役務提供
特定継続的役務提供とは、エステ、美容、語学教室、家庭教師、パソコン教室、結婚相手紹介サービスのうち一定の要件を満たすものを言う。(41、令別表4)
誇大広告をしてはならない。(43)
事業者は、契約時に契約内容を記載した書面を交付しなければならない。(42)
書面交付から8日以内ならクーリング・オフで契約解除が可能。損害賠償や違約金は不要で、既に提供を受けた分についても対価を支払う必要がない。(48)
中途解約も可能。ただし、既に提供を受けた分の対価相当額や政令で規定される損害賠償額の支払は生ずる。(49)
景品表示法
法の概要
不当な景品や不当な表示による顧客の誘因を防止するための規制。
表示
商品について、実際よりも著しく優良とする表示、事実に相違して競合企業よりも自社の方が著しく優良であるとする表示は、してはならない。(5➀)
取引について、実際よりも著しく有利と勘違いさせる表示、競合偉業よりも自社の方が著しく有利であると勘違いさせる表示は、してはならない。(5➁)
→「定価から80%引き!」と表示していたが、実際には表示価格が定価であった、等。
景品
過度な景品はダメ。(4)
貸金業法
法の概要
貸金業の登録や業務上の規制を定める。
利息
貸金業者は利息制限法以上の利息でお金を貸してはいけない。(12の8)
→元本10万円未満は年20%、100万円未満は年18%、100万円以上は年15%。(利息制限法1)
過剰貸付
貸付けによって相手の全借入残高が年収の1/3を超えてはいけない。(13の2)
→過剰な貸付を抑制。
取り立て
午後9時~午前8時に電話や訪問で取り立てをしてはいけない。勤務先にまで電話したり、借入していることを周囲にバラしたりしてはいけない。それらの実行をほのめかすこともダメ。(21)
割賦販売法
法の概要
割賦販売、ローン提携販売やクレジットカード取引などについて定める。
消費者の保護
クレカで支払いをした消費者は、商品が渡されないなど店舗に対して主張できる抗弁がある場合、それをクレカ会社にも主張してクレカ会社への支払いを拒むこと等ができる。(30の4)
金融サービスの提供に関する法律
法の概要
金融商品の販売に対する規制を定める。
説明義務
消費者に金融商品を販売する場合、リスクや指標などを説明しなければならない。(4)
商品の販売に際し、不確実な事項について断定的判断を提供してはならない。(5)
金融商品取引法
金融商品商品取引業を行うものに対する規制を金サ法よりもさらに細かく定めている。
預託等取引に関する法律
販売預託商法(消費者が事業者から物品を購入するが、物品はそのまま事業者が預かって運用し、運用益を消費者に還元するような商法。トラブルが非常に多かった。)を原則として禁止する。内閣総理大臣の確認を受ければ販売預託商法も可能だが、現時点で確認を受けた業者は存在しない。
製造物責任法
製造物がその欠陥によって他人の生命、身体または財産に被害を与えたときは、製造業者が損害賠償義務を負う。(3)
→民法の不法行為より立証が容易。消費者は、製造業者の故意や過失を立証する必要はなく、製造物に欠陥があったことだけを立証すればよい。
製造物の引渡し時における科学技術的知見では欠陥が見つけることが不可能だった場合や、他の製造業者の指示に従ったに過ぎず過失がなかった場合は、免責される。(4)
消費者安全法
消費生活センターの設置など、消費者被害を防止するための行政の義務を定める。
結語
本当は金商法とかもっと掘り下げて勉強してみたいのですが、手元にいい基本書などがない(時間もない)ので、今回は一言で通り過ぎました。
次は環境法に取り組む予定です。もう予習は済んでいるのですが、これもどうまとめればよいのか悩みます。。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?