ネガるな鍛えろ魂でゆけ
先日ロングコートダディの単独ライブ「じごくトニック」を見ました。
あ、この記事はただのコントのキモ・お気持ち感想文です。ネタバレし放題です
単独ライブ「じごくトニック」、ゆるい気持ちで配信を見始めたわけですが、当単独のタイトルにもなっているラストコント「じごくトニック」、凄まじく魂が揺さぶられてしまった。映画の感想で、「魂が揺さぶられる〜」という文言を見るたびに胡散くせえなあと思っていたのにも関わらず、自分がこの感情を経験してしまった今、「魂の揺さぶり」って本当にあったんだ…と猛省し、UMAに会った様な気持ちになっています・・・
本当に救いの様な作品だった。もはや喜劇といってもいいかもしれない。感情としては、ロンハーの「スタッフに褒められよう企画」にて、草薙さんが言っていた”温泉に入っているようなポカポカした感じ”に一番近い。神の見えざる手(イメージ図)によって全身を暖かく包まれるような…
内容は、自殺した作家が天国・地獄・ドキドキ!ランダム転生の3つから行き先を決めるというもの。周囲からのプレッシャー、伴わない評価、才能の枯渇、調子抜群のライバル等に苦しみ、自殺。通常なら天国を選ぶと思われるが、死神から勧められるのは「地獄」…ざっくりそんな話です
「天国」はこの世の楽しいもの全てがあるところ。温泉もあるし、遊園地もあるし、フードコードまである。もうフードコートって高校生にとっての一大エンターテイメントみたいなものですからね。もちろん悩みも無いし、穏やかな日々を永遠に送ることができる。
「地獄」は想像通り、業火で500年焼かれたり、串刺しにされまくったりする。ずっと苦しい。しんどいことも沢山ある。けれど、強くなりたい者は皆、地獄で魂を鍛えて転生し、新たな人生を送る。さて、作家はこの選択肢から何を選ぶのか…
単独終了後、ネタを書いた堂前さんのnoteを読んだ。そこに書かれていたのは作り手としての、壮絶な苦悩とぐちゃぐちゃな感情の吐露。テレビや劇場で見る堂前さんは、凄く「センスのある人」として輝いて見えたし、「座王」に堂前さんが出場する回は全て見る位、その才能と面白さに圧巻していた。当たり前な事なんだけど、才能がある様に見えた堂前さんでさえも、周囲からの評価に追い込まれていること、苦しみながら生み出しているということ、彼もまた自分と同じ人間なんだという事に驚いた。
ここからは自分語り大変失礼するが、己はかなり面倒で陰気極まりない人間でございます
最近は、調子のいい関西弁で一見明るくフットワークが軽い人間に見えていることでしょうが、内実、こんなキショい自慰文をたらたらと書き連ね、日々暗い自室に籠ってヒイヒイ唸っている人間な訳です…はてなブログに厨二病満載のHNでオタクお気持ち発散をしていた中学時代から本質はなんにも変わっちゃいない、あの頃の自分を今の知り合いに見せたら心底驚かれるんだろうな
そんな陰湿人間が、最近なんとまあ企画などをさせて頂いていると言うわけです。「企画」っていっちゃ聞こえがいいですが、要は1ファンの凡人が、好きな偉大な演奏者の方々を遥々呼び寄せ、お客様まで集め、あろうことか演奏までさせてしまう訳ですよ。時代が違えば、強欲な国王しかこんなことしてないだろ
加えて、何やら大層な企画団体なるものを始めてしまいました。昔の捻くれ中学生の自分に言わせれば、企画団体って一介のサラリーマンが何様やねん!と言われてしまうかもしれません。個人的な感情としては、一時のハイなやる気と意欲、あとは諸々の憧れ(別のnoteにまたキモ熱い文を書いたので割愛します)に任せて始めてしまった部分も大きいので、めちゃくちゃ嬉しい反面、自己認識の位置から、対外的な自分のみがベリベリ分離して遠くへ走っていってしまったみたいな、「気がついたら後頭部を殴られて小学1年生になってしまっていた工藤新一初日」みたいな感覚だったりします。コナンくん、おれが理解者になったるさかいな…
また、とても有難い事にライブ企画に併せて絵の展示もさせて頂けることになり、人生に今まで無かった突然の明るみに戸惑い、脆弱な心臓はすっかり萎み、へばってしまっていました。今まで旅先でのスケッチ等はちょくちょくしていましたが、誰かに見られる前提で絵を描いたことがありませんでした。一人暗い自室で黙々と作業する時間の中で、自分の絵は人様に見せる程度のものなのか、自分は何が描きたいのか、そして凡人であることの強い自覚、周囲の才能との比較、内在していたコンプレックスの再起、またライブに向けた諸々の準備や成功するのかといった不安等でゼエゼエ言っておりました
グチャグチャでドロドロの、人間の悪いところを煮詰めた塊の様になっていたと思います(この文を書いているのは全くもって同情していただこうと言うわけではなく、先程も書いた発散に近いです 多分この文を読む人はほぼいないので)
話が逸れてしまいましたが、冒頭のコントの感想にもどってきます。「じごくトニック」は、それこそBIOTOPE初企画である「地平」の前夜に見ました。明日に向けての全ての準備を終え、あとはもう祈って寝るだけの深夜1時過ぎ、どうにも寝付けず、丁度ロコディ兎さんのツイートが流れてきたもんでこの単独を見るに至ったという訳です
深夜3時を回る頃、布団にくるまって見る「じごくトニック」は、まるで天からの希望の光の様で、救いでした。蜘蛛の糸のカンダタの如く、朝になるまで何度も何度もラストコントを巻き戻しては見る、を繰り返しました。規模は違えど、長い苦悩の末生み出されたこのコントは、最早堂前さんにとっての苦しみに対する回答そのものであり、彼にとっての生き方の提示に思えました。自分が今「こういう考え方できたら楽かもな」と感じることをコントにしているだけ、と後日談には書いてありましたが、彼自身が「地獄の様だった」という程の状態にあった堂前さんが、「ちょっと苦しいくらいの方が、人生楽しいかも」という言葉を単独の最後の締めの台詞として持ってきたという事が、どんな応援歌や格言も効かずドロドロの状態だった自分の鳩尾あたりを、ぐっさりと真っ直ぐに突き刺してきました
BIOTOPEとして、個人として、やりたい事や叶えたい事は沢山あり、何だかんだ言いながらこれからも人前に出たり、何かを発表したり、作ったりすることを続けていくのだと思います
そういった時、他者からの承認・評価を気にせず、誰かへの嫉妬心や自己嫌悪などの醜い感情を持たず、自分のしたい事を自由にしていける様な強い人間になりたいと思うばかりですが、自分はやっぱりこういう感情と向き合いながら、これからの人生を過ごしていくことになるのだと思います
そうした上で、少しずつでいいので付き合い方、うまい距離の取り方が出来ていける様になって、いずれは自分のケツを自分でしばける様になればいいなと思っています
というわけで、これからも何卒よろしくおねがいいたします
がんばるぞ〜