戦物語 感想
久しぶりのシンプル感想記事です。
ネタバレはちゃんとするタイプなので未読の方はご注意を。
まずは全体的な感想としては「モンスターシーズンとはなんだったのか」と思えるくらいには綺麗で構成も良かった。
モンスターシーズンは阿良々木暦の陳腐化と千石撫子の成長が軸にあるとはいえ、扇物語や死物語上にみられる無理繰りな〆方がどうにも目につく形であり、大手を振って「モンスターシーズンを読め!」とか「早くアニメ化しろ!」は言いがたいものだった。(死物語下はR18でもいいから遭難部分はしてほしいものだが)
しかし今作からなる「ファミリーシーズン」には期待が持てるくらいには面白いものだった。2作品目があるかは知らんけど。
作品自体の話になると、序盤から懐かしい阿良々木(暦)と阿良々木(ひたぎ)掛け合いだが、かつての棘が失われて少し寂しいものがある。
二人でのこの尺の掛け合いっていつ以来なんだろうな、下手したら終物語以来の可能性すらあるかもしれない。
そしてあらすじで当たり前のようにいた神原の理由が明らかになるが、それでいいのかとも言いたくなった。
…が、結果割と英断というオチ。忍が最早娘とかではなく犬なのではと思うくらいには犬猿の仲である。
途中からやたら栃木情報が溢れて来て協賛U字工事を疑ったが、巻末にもそんな話はなかった。
おかげさまで老倉パートと忍パート辺りではU字工事の二人の顔が浮かんだままだった。
中盤以降の肝である養子問題について、読んでいる最中は「忍がハウスキーパー的な存在であれば実子が出来ても問題ないんじゃないかなぁ」とか思ってたけど、想像以上に阿良々木(ひたぎ)が肝の座った女であると思い知らされた感じがして最高でしたね。
そして問題なのは眠り猫の「内なる羽川」のシーンで、阿良々木(暦)の気持ち悪さが改めて露呈したシーンではあるのだが、個人的には結物語における羽川の新しい選択肢が増えたのではないかと思う。
内なる羽川に対して羽川本人から干渉があれば可能なのではないか、というのが現段階での考えであり、これであれば羽川本人のアリバイも成立しつつ阿良々木(暦)の前に現れることも可能なのではないだろうか。
容姿に関する問題も阿良々木(暦)の認識を出ないという理由付けがあれば通る話だろう。
そしてラストもラスト、阿良々木家が一時的にとは言えその名前を失い、挿し絵にて阿良々木(ひたぎ)と阿良々木(忍)の母娘の団欒を描き〆られており、非常に良い絵で幕を閉じた。
私自身は未読なのだが、どうやら掟上今日子シリーズには最近8歳の娘とツンデレ妻を持つ小柄なFBI捜査官のホワイト・バーチというキャラがいるらしく、容姿は金髪金眼とのことで阿良々木(暦)説が否定されているらしいが、証人保護プログラムを考慮すると…?
まぁ読んでみないことにはわかりませんがね。