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君はこの漫画を知っているか act.2 『ホレンテ島の魔法使い』Part.2

前談

前回、『ホレンテ島の魔法使い』の軽い紹介記事を書かせて戴いた。


今回は紹介記事から一歩踏み込んだ、所謂考察の部類の話となる。

前回の記事では主だった紹介は無料公開の範囲内であったため、特段ネタバレに関しての忠告はしなかったが今回は最新回までの話をするのでめちゃくちゃネタバレありになる。

怖いならば単行本を購入しFUZの月額プランに入ればまだ間に合うのでそうすることを推奨する。

本題

議題①-1 断片とは

14話(MAX21年3月号)のユシャの発言の"奪った"とあるように、ある程度の知識や能力を元に他人から奪取出来る程度の能力である。
また、カトリネルエ伝承やそれを元にしたあむの台本、及びその構想に対するファーマン(先生)や八愚楽(ユシャ祖父)の反応、15話冒頭(MAX21年4月号)のこっこの発言から、魔法使いから与えられるものである。

"断片"という名称からして魔法使いは複数の力を持っており、その一部が"断片"として分離するのだろう。
おそらくユシャはそれを"奪う"という形でしか知らないが、本質は与える事にあると思われる。
そうでなければ詠、詠の双子の妹やかるてが何らかの法則に基づき、奪う手段を無意識・無自覚に行った事になるのだが、前者の方が説を補強するための材料が多いためあまり考えなくて良いだろう。
後者について、かるてや詠にあってあむに無い要素が存在するためそちらについては別項にて。

裳之美家が魔法関連を裏で牛耳る形であるならば、他社から魔法を奪い島外に離散することを防ぐ役割を負っているのかもしれない。
ファーマンと八愚楽はおそらく敵対関係に無いため、直接裳之美家がカトリネルエに何か手を加えた訳では無いと見るのが正着と言える。

また、断片に届け出という概念(15話参照)があることも裳之美家が裏で天蚕糸ね引いていると考えることの裏付けとなる。


議題①-2 宵句(譜面)とは

14話のこっこの独白に"いずれ盗まれる"とあるように、断片同様盗まれるような存在でありながらおそらくそれよりも強力で、行使する際に詠唱を要求するものと推測出来る。
冒頭より使われている「エストイ・エナモラダ・ダ・デティ」もおそらくここに分類されるだろう。

宵句が盗まれた結果、断片になるというのは現段階ではあり得ないだろう。
仮になるのならば詠やかるてが詠唱していなければ道理が付かないからだ。


断片や宵句に共通した話だが、この作品のサブタイトルに「Witch Dream Would You buy?(直訳:魔女の夢を買いますか?)」(2巻範囲分からは変更されている)とあるように"買った"という表現から考えると、力には何らかの代償もあるものと思われるが、これについてはあむや4話の少女が帽子を買ったこと、あむがこの島に来たことにかかっている可能性の方が高いだろう。
11話のユシャの「その力はあんまり気軽に使うもんでねぇぞ」を合わせて曲解した例として受け取って欲しい。


議題② ファーマンの正体

グリム童話である"美人のカトリネルエとピフ・パフ・ポルトリー"という所からネーミング等が引っ張られている事や、9話のこっこの発言からして明らかにこの二人のいずれかに関連する存在であることは間違いないだろう。

そして重要なのはこの話をしているページにて、カトリネルエが飼い猫にピフ・パフ・ポルトリーと名を付けたとされる話だろう。

この話を合わせて考えたのが以下の説となる。

ファーマンの正体は飼い猫ピフ・パフ・ポルトリーと人間ピフ・パフ・ポルトリーが混じった存在である。

個人的には最有力の説。
飼い猫にこの名前を付けたことにより、両者の死或いは現代において魔法信仰がない理由等が要因で現在の姿になったものの、正体を明かすことが出来ない状況であると推測している。

ファーマン本人も魔法を使うことが出来る(4話参照)ことから、人間は魔法使い、猫は使い魔として魔法を行使出来るものであると考えるのが妥当だろう。

16話(MAX21年5月号)にて新たなワードとして「毛皮の男」が登場したのだが、その正体の候補としてファーマンが上がる。
仮に本人だとしたらカトリネルエの話は約200年前の話となる。

また、劇中劇「ホレンテ島の魔法使い」にてこっこの出番を見る姿は、台詞から察するに少なくとも単純な親心だけではないだろう。

議題③ 尾谷こっこは誰の家系なのか

これは素直にカトリネルエの末裔と見るのが妥当だろう。

しかし少なくとも親子関係ではない。
(毛皮の男=ファーマンと仮定した場合、少なくとも200年近く前である。)

ファーマンやユシャ等の関係値から察するにカトリネルエ、及びこっこの親となる存在はこの辺りに深い因縁がないものと推測出来るが、そのカトリネルエや親が一方的に恨んでおり、かつそれが表面に出ていない場合はその限りではない。
劇開始前の八愚楽の台詞が少々引っ掛かる部分もあるが、こっことユシャの交流等に関しては特段妨げ等がないことから、少なくとも過剰なものではないのだろう。

こっこは幼少の折に死別しているため、尾谷家の一方的な恨みつらみを認識していないという可能性もある。

仮に尾谷家がカトリネルエの末裔であるならば、ファーマン(ピフ・パフ・ポルトリー)がこっこを引き取る形になることに違和感も無くなるだろう。
この過程があるならば、議題②末のファーマンの心境も補強出来るだろう。

仮説① ざんねん坂の奥(島西部)の何処かに魔法が息づいている
詠、詠の双子の妹、かるての三人に断片が発現しているのに対して4話の少女やあむに発現していないという事にどういった共通点があるかと考えた場合、最有力なのはおそらくこれだろう。
ハイアンドマイティ、ケーゼトラウトといった島も付近に存在しており、それらも含めあむはそれらに足を踏み入れていないのだ。
(余談①:ハイアンドマイティ、ケーゼトラウト、ホレンテは"美人のカトリネルエとピフ・パフ・ポルトリー"に登場する人物の名前である。何故重要足る二人以外は地名なのか、まだ登場していないマルコ等不明な点が多い)

かるては比較的最近島に移住してきたため、単純に島民に与えられるものであるならばあむにも発現していなければならず、都橋姉妹の発現時期に差が生まれる事にも説明が付けられず、移住民に与えられる場合も同様の理由で否定が出来てしまうため、発現時期に差が出る事等からこの仮説を立てた。

かるては工事現場に向かうついで、都橋姉妹は本の搬入絡みで奥に向かう可能性があるので説明も付けられるだろう。
(余談②:「ホレンテ島の魔法使い」というタイトルのサンプリング元と私が勝手に思っている「コン・セブリ島の魔法使い」は主人公「トマカンテ君」が魔法使い「ワレガミ・ド・コロン」を探し島の奥へ向かう話であり、魔法使いを探すという観点で見ると似ている。
また、作中ガイド役である猿の「ハゲ」は度々コロンの居場所に向かいたがらなくなる辺り、あむを深入りさせないユシャに近いものがある)

都橋姉妹やかるてが踏み入れた地は16話を見る限り、"白い山"であると推測出来る。

仮説② 貰鳥あむは既に断片or宵句が使える?

根拠とするにはあまりにも薄い話なのだが、発端は6話のこのコマである。

(ニコニコ漫画6話「決戦!都橋書店」書籍版53P)

このコマ単一では大したシーンではないのだが、15話冒頭のこっこの台詞により事態は急変。

明らかにあむはボルドンゴラ古語を読めているかのような口ぶりであるため、もしかしたら断片や宵句、あるいはそれに準ずるものが元から備わっているのではないかという発想だ。

そもそもホレンテ島民のうち解読が可能な人間は3人しかおらず、そのうちの一人は都橋書店の主である都橋杉太郎であることは確定しており、そのシーンから推察するに八愚楽も読める事が察する事が可能だ。

そして残り一人だが、皆様の予想通りファーマンで確定している。
主な根拠は4話のこのコマにある本となる。

(ニコニコ漫画4話「イナカモン未来」書籍版39P)

あむを除き読める三人は明らかに魔法絡みの関係者であり、もしかしたらこの三人の遠縁の縁者なのではないか。
故に魔法に関する素養があり使い方を理解していないだけなのではないか、と考える事が出来る。

個人的にはカトリネルエ→こっこ、ピフパフポルトリー→あむだとアツいものがある。
まぁあむはストレートなんだが。

多分どうでも良い話 タピってた魔法使いは

(ニコニコ漫画5話「いにしえのタピオカファンタジー」書籍版45P)

詠はこっこがそれを見てきたかのようだと語るシーンがあったため、日本国内第二次タピオカブームである2008年に照らし合わせて考える。
(第一次では高校生と思われるこっこは生まれていない、ちなみに時期は1992年)

具体的なこっこの年齢は不明だが、この頃3~6歳であると多少なり目星は付けられ、この年齢であるならばこっこの親はおそらく存命であると予想でき、タピってた可能性は十分ある。

またイメージ図もこっこに似ており、猫もファーマンの別の姿なのではないかと思われる。

後記

今回である程度の謎に対しての個人的見解を述べさせていただいたが、勿論現段階(MAX21年5月号/16話)の考察である。

今後も節目毎に考察やその解答に関する話をしていけたらと思う。

これらの考察や思考は皆様の考察を否定するものではありません、皆様の考察の一助になれば幸いです。
誤字や明らかな矛盾、質問等ございましたら当Twitter(@snails892)までご連絡願います。


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