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神社めぐりと香りの学び
何でもオンラインで済むご時世。でも、実際の経験を通して教わることはたくさんある。
3か月ほど前に茨城のパワースポットとして名高い御岩神社に参拝した。新型コロナが落ち着いたころから、度々通っている。山頂に向かって歩くとさらにお社があるのだが、その日は雨で入山禁止。
仕方がないので、これまでは通り過ぎていた境内を念入りに見て回った。本殿にお参りして、ふとバックパックの底に手をかけると、赤茶色い液体が!手指にベットリつくほどの量だ。
ウェットティッシュを!と慌てていると、その液体、良い香りであることにすぐに気づいた。急いで持っていた付箋紙に液体をこすり取る(我ながら科学者らしい!サンプリング!)が、どんどん揮発していく…そして消えた…
以前は気に留めていなかったが、この香りこそ「神社の香り」。後でインターネットで調べたところ、その液体はヒノキの木材から出る「ヤニ」のようなものだったらしい。
それからというもの、他の神社のお社や参道・登山道でもこれに似た香りを感じるようになった。ちょうど嗅覚の記憶に新たに刷り込まれたような。
山にはいろいろな木があり、お社もヒノキで作られているので、そういう香りは特に不思議ではないのかもしれないけれど。一度知ってしまえば、かすかな香りもすぐにわかる。
いろいろな香りの優しい風。いろいろな神様の存在を感じる。
きっと何度もお参りに来ていながら全然気づいてない私を不憫に思って、メッセージの受け取り方を直接的な方法で教えてくださったのだろう。なんとありがたい!
「能力開発」というと、系統的なトレーニングのような印象があるが、実際には「超一流のお手本」を見たり経験したりすることで、伝えられることもある。身近なところでは、はじめて補助輪なしで自転車に乗れた感覚から、芸術的なセンス、「奥義の伝授」まで、一生残る大切な学びというものは、一瞬で授けられることも多いのだろう。
そんなに複雑な感性が、瞬時に学習できると考えるよりは、もともと心の中にあって忘れていたものが、想い出されるだけなのかもしれない。
長い時間が必要なトレーニングも、その一瞬を受け取るのにふさわしい自分になるために要する期間なのかと思う。
私も研究者のキャリアの中でこれまで数回、ハッとする瞬間があった。
なかなか狙って経験できるものではないが、その時が来たら気づけるように、いつでも受け取るための準備はしておきたい。「Chance favors the prepared mind」ということで…
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます!これで12か月連続投稿達成です!
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