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米大統領選に対する市場の反応とドル円の動き
日本時間の明日(11月6日)に米大統領選の投票が始まります。投票がすべて終わるのは日本時間11月6日(水)の午後1時(アラスカ州)です。
本来であれば、各州とも投票締め切り後に開票作業が始まり、結果が順次判明しますが、多くの州ではトランプ氏・共和党もしくはハリス氏・民主党どちらが勝利するかは事前に知られています。
トランプ氏・ハリス氏どちらが勝利するのか読み切れない「接戦州」と呼ばれる州での結果で米大統領選全体の結果が決まると見られています。接戦州は以下7州です。
アリゾナ州
ジョージア州
ミシガン州
ペンシルベニア州
ウィスコンシン州
ネバダ州
ノースカロライナ州
この7州の投票締め切り時刻(日本時間)は以下の通りです。
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どこまでもつれるかを現時点で言い切ることは難しいですが、接戦州の中で選挙人の数が最も多いペンシルベニア州の投票締め切り時刻である明日(11月6日)午前10時を過ぎた頃(午前11時から正午くらい)には、トランプ氏・ハリス氏どちらが次の米大統領になるかが判明するとみられます。
今回の米大統領選は、事前の世論調査でも両者の支持率が拮抗しており、どちらが勝利するのか言い切れない状況が続いています。このため為替市場、株式市場、債券市場など金融市場関係者の多くは、米大統領選の結果が読めないだけに、それまでは様子見の姿勢を続けざるを得ない、との見方が示されています。
言い換えると、米大統領選の結果が判明すると思われる日本時間11月6日正午くらいから、金融市場は様子見姿勢を抜け出し、次の米大統領の政策などを根拠に動きを見せるであろうとの見方もあるようです。
ただ、トランプ氏・ハリス氏のどちらかが勝利したとしても米国経済がすぐさま変化するわけでもなく、また両氏が選挙戦などで掲げた公約が実現されるか否かは、米議会選の結果次第の部分もあります。
このため、米大統領選の結果に対する金融市場の反応は、結局のところ当日のムードや勢いで決まるような気がしています。たとえばトランプ氏が勝利したらドル高・株高・金利高、といった方程式を目にすることもありますが、実際にこうした方程式がそのまま通用すると考えないほうがいいのかもしれません。
こうした考え方は、無責任な見方と思われるかもしれません。しかし、たとえ責任ある姿勢を示したとしても、金融市場での運用で損失を出してしまうことは避けたいものです。あくまで個人的な考えですが、金融市場で運用をする以上、優先すべきは利益を増やし損失を減らすことであり、責任の有無はその次であると割り切るのが合理的ではないかと思います。
そもそも米大統領選の結果が判明したからといって、金融市場が大きく動くとは限りません。米大統領選の結果判明後の金融市場の動きが読み切れないのであれば、ポジション(金融資産を保有している状況)をできるだけ軽くし、米大統領選の結果判明後の金融市場の動きを確認してから、ご自身の動きを決めるのがリスクの少ない考え方ではないかと思います。
さて、本日(11月5日)のドル円ですが、少しずつではありますが上昇しています。5日早朝は152円ちょうどを小幅上回る水準でしたが、仲値公示後の午前10時過ぎには152円台半ば近辺まで上昇しました。
その後、ドル円は早朝と同じ152円ちょうどを小幅上回る水準に下げました。しかしドル円はそこから切り返し、午後2時過ぎまでジリジリと上昇を続け、午前10時過ぎと同じ152円台半ば近辺まで上昇しました。午後3時ころは152円台半ば手前となっています。
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米大統領選が不透明感が強いのであれば、様子見姿勢が強まるのが自然のように思えますが、ドル円の動きを見る限り、ドル買いの動きが優勢、と見えるかもしれません。
しかしドル円ではなくユーロ円の動きを見ると、ドル円と同じように本日の朝から上昇しています。ドルに関係がないユーロ円が、ドル円と同じように上昇しているということは、ドルが買われているのではなく、円が売られている(つまり円安になっている)と解釈すべきなのでしょう。
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ただ、ドル円を日足でみると、10月下旬から上昇を続け、先週初めには154円ちょうど近辺まで上昇したものの、週後半には152円を割り込んで終わったことが分かります。
※日足
1日の価格の動きを1本のローソク足で示すこと。
ローソク足は始値(最初の取引価格)、終値(最後の取引価格)、高値(最も高い価格)、安値(最も低い価格)の4つの値で構成される。
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週明けの昨日(11月4日)は、日本が祝日のため金融市場は休場でしたが、欧米は通常通りの取引でした。それでもドル円は152円台前半で上値が抑えられる動きでした。そして本日(11月5日)は、さきほど述べたように上昇していますが、それでも152円台半ばくらいです。
米大統領選の結果対する市場の反応が見出しにくいものの、これまで上昇していたドル円が、先週にはピークを付け、今週も(今のところ)伸びきれない状態だ、と解釈することもできそうです。
ただ一方で、151円を割り込むことなく今週もここまで来た、と解釈することもできそうです。151円はまだまだ高い水準で、次の上昇に備えた高止まりである、という見方もあるかもしれません。
米大統領選の行方に目が行きがちですが、米大統領選の結果にかかわらずドル円の次の動きにも注意を払うタイミングを迎えているのかもしれません。
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