(ネタバレ)配信でしか観たことない劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライトを映画館に観に行くまでの話
今さら劇スでおかしくなっている人の記録。
アニメ無料配信→ロロロ配信視聴→劇場版配信視聴→再上映映画館へ
これは私のスタァライトの話なんだ。
1.映画館で観たい気持ちの芽生え
2023年9月に配信で劇場版レヴュースタァライト(以下劇ス)を観て以来、すっかり何かがおかしくなってしまった私は、レンタル配信で劇ス観て、配信版を買って、劇ス観て、絵コンテ集を買って、劇ス観て、ブルーレイ買って、劇ス観て、パンフ買って、劇ス観てという非常に充実かつ傍目には意味不明な生活を続けていました。
毎日時間さえあれば配信劇スを視聴して、劇スと劇スの合間にインターネッツをむさぼって得ていたのは、公式からの生きるヒント又は天啓、ファンによる過剰な考察、解説のための解説、狂信者による熱意の再生産、新たな知見の探求、紙吹雪と野生の叫び、尊さへの祈り、おいでよスタァライト舞台の沼、ダイバ・ナンア、C太郎への怨嗟や島と大地の怒り、天翔けるフラペチーノ、紙媒体のオーバーチュア2巻はもういないじゃないアウラ重版しろ等々。そして、それらの2情報につき1回の頻度で挿入される『劇スは映画館で観た方が良い』の文字。
そのうちに嫌でも脳内の黒ウインドウに白字で『げきスを えいがかんで みますか?』の選択肢が表示されるようになりました。初回視聴時はこのような作品を映画館で観たら衝撃のあまり全身の穴という穴から何かがまろび出て溶けて無くなるという恐怖があり、当然そのような選択肢は存在しえなかったのです。
ところが、10月に視聴回数が30回を超えた頃には、少しばかり「こころの余裕」が生まれてきたのです。自分の脳内にあるポジションゼロから、これだけ観たらもう劇スへの『耐性』が身についたのではないか、そろそろ映画館で観ても気絶して爆発四散しないのではないか、という根拠の無い自信が3割くらいできたのを感じました。
2.揺れる想い、あるいは慢心
映画館で観ても大丈夫かも、じゃあとりあえず映画館にGO、みたいな気軽さは自分にはありませんでした。
劇スは絶賛上映中(公式サイトより抜粋)とはいえ、すでに公開から2年半が経過した映画です。再上映は主に平日の夜、大矛盾都市TOKYO近郊を中心に1ヶ月に2回程度開かれているような状態でありました。地方で生きてきた森のドワーフにとって、人間族の王都まではるばる遠征をするのは時間的にも心理的にも非常に高いハードルでした。
加えて休日は家どころか部屋から出ないのが私の日常であり、コロナ禍があってもなくてもほとんど完全に生活範囲が変わらなかったガチのインドア勢だったのです。どうしても行かねばならない必要がある時だけしぶしぶ外出して、ごくまれに俺気分で隣町に行った日は『今日はガンバって大冒険フライハイしたなー』という高揚感で自宅に帰ってくるようなスモール生活をしていたのでした。
旅に必要な布の服も無く、大の人混み嫌いかつ方向音痴なドワーフが、『毎日観ていて内容を全部知っている映画を映画館で観る』ためだけに日程を調整して新幹線で旅行をする、という一連の所作に大きな不安と戸惑いを募らせたのは仕方のないことだったと思います。さらに映画の内容の中で、「再演や停滞からの脱却」のように思える表現もあったことから、劇スを繰り返し観るという行為に対しても、心のどこかに自分を肯定しきれない気持ちもありました。
結局私は公式サイトなどから再上映の情報を集めるだけ集め、それを眺めて、『まぁ上映は2年半続いてるんだし、まだ再上映続くやろ。ほな、もっと近所で再上映してくれたら観に行こか』と謎のエセ京都弁キャラになって高みの見物をきめこむ日々を過ごしました。
3.再上映が止まる日
配信初視聴から約2ヶ月。11月に転機はやってきました。この月はキャスト舞台挨拶(キャスト舞台挨拶!?)が3都市で開催されたのです。私はインターネットで映画館のサイトを開き、舞台創造科がどんどん席を埋めていく様子を眺めるだけの簡単な仕事をしていました。どの挨拶も大大大盛況と言ってよい盛り上がりでありました。私は用事があって行けないな~みたいな態度をとりつつ、これだけ人気があるなら当分再上映は続くよね、もうちょっとタイミングと上映場所が良い時を待とう、次はどこかな~? いつか観に行けるといいな~という、のんのんびよりとした気持ちでした。
しかし、その11月中旬あたりから、『次の再上映』の情報がインターネッツからなくなったのです。
再上映の情報が無いことに気付いて3日目。まあ、そういう空白期間もあるよね。などと考え、私は特に変わらず劇スの配信を観続けました。
そのまま1週間経過。あれれ~おかしいぞ? 次の再上映遅いな~
そして2週間経過。ええと次どこ……何か見落としたかな(真顔)
ついに3週間経過。タタタタッ…タタタタッ(無言で再上映を検索)
やがてSNSにも「再上映長かったけど、12月は無しか~」「だいぶ続いたよね、劇場版のスタァライト上映~」といった雰囲気で再上映の打ち止めを惜しむ声がちらほら出始めました。それらの書き込みをみて、私は自分がキリンとなったことを自覚したのです。
私は……
みのがしてしまったのか?
4.失意のキリンライフ
そう、私は毎日のように配信で劇スを観続けて、そしてその間も再上映がずっと続いていたことにより、いつのまにか完全に「その気になれば劇スはいつでも自由に映画館で観ることができる」という謎の錯覚に陥っていたのでした。今考えるととんでもない誤謬ですが、毎日繰り返し劇スばかり観ていて何かがおかしくなっていたのでしょう。
自分は映画館で劇スを観るチャンスを逃してしまったかもしれない。そう考えると、途端にものすごく映画館での劇ス体験がしたくなり、膝から崩れ落ちそうになりました。ですが、すでに後の祭りです。泣いてもわめいても時は戻りません。そもそも再上映があるたびに、様々な理由をつけてスルーし続けてきたのは他ならぬ自分自身なのです。『推しは推せる時にあまり無理をしない範囲で丁度良く推せ。宮本武蔵の言葉よ。』と星見さんも言っていました(幻聴です)。
自分が思っていた以上に、自分は映画館で劇スを観たがっていたのです。そのことに気付くのがあまりにも遅すぎました。私は失意に打ちひしがれた日々を過ごしました。なんということでしょう。ああ、遅すぎた、一生に一度でいいから劇スを映画館で観たかったと言い続けながら、この先の人生をずっと過ごすのか。
ぐるぐる鬱々と落ち込んでいたら、12月中旬に突然、川崎の某映画館が『大みそかの夜、劇スを再上映します』とSNSで発表しました。
5.運命の舞台へ
神でした。再上映の再生産。これは運命。もはや言葉は不要です。私は引きこもり生活大好きというこれまでの人生を投げ捨て、なりふり構わず映画館へ行くための準備を始めました。初めてのことばかりでしたが、王都近隣に住む人や知り合いやGoogle先生から有用なアドバイスをいただきながら、新幹線や電車のルートを調べて宿泊施設を予約、チケット争奪戦に参加、店を回って旅行の準備をして、その他、様々なトラブルがありました。でも全部『私は絶対、列車に乗って、映画館で劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライトを観るんだ!』の気合いでなんとかなりました。途中から明らかに精神的に不自然な高揚をしており、きちんと冷静になって日々の現実世界とのバランスを取るということが一番難しかった気がします。
肝心の映画館での体験は2ヶ月経過した今でもまったく理解できていないため、映画感想は別の機会としますが、とりあえず森のドワーフとしては『劇スは映画館で観た方が良い』という言い伝えはまことじゃった……とだけ書き残しておきます。公式の皆様、映画館の関係者方、これまで熱心に映画館へ通ってくれた舞台創造科の皆さん、本当にありがとうございます。
(追伸)本当はここで『それからも再上映は続きました! なんと2月16日にも池袋の新文〇坐でなんか特別な再上映があるようでございます! 座席の予約は映画館のサイトから!』的なダイマっぽい記事を載せたかったんですが、座席が予約開始当日に完売してしまったみたいなので、この文章にオチは無くなりました。
幸いにも再上映は2024年2月現在でも続いているようですので、機会があったら是非、映画館で劇場版レヴュースタァライトを観てください。
私には私の、あなたにはあなたのスタァライトがある。
全額を劇場版スタァライト鑑賞代に