ドラッグストア。
私がドラッグストアのレジで「この袋を二十枚ください」と言ったら、男性の店員は「よくわからない」という感じの表情を浮かべた。
「えっと、袋…ですか?」
「はい。この二円の袋を二十枚買いたいんです」
「あ…かしこまりました…」
店員はまだ納得のいかない様子だったけれど、レジのカウンターの下にあるプラスチックの袋を一枚ずつ数え始めた。コンビニでもスーパーでもだいたい同じような反応をされる。
いったい何がおかしいというのだろう? レジ袋を購入して、レジ袋で持ち帰ることにそれほどの違和感があるだろうか?
目の前の店員は、一枚ずつ取り出して積み重ねた袋をもう一度数えなおしている。たかが二円なのだ。そんなふうに確認しなくてもいいと言ってやりたいけれど、そうしたところで誰も手を止めないのがこの国の接客業というものだ。
数え終わって、レジ袋二十枚とペットボトルの炭酸水一本ぶんの値段を彼は告げる。ぴったりの金額で小銭を出して、レシートをもらってから私は言った。
「ごちそうさまでした」
「…はい?」
「あ…。ありがとうございました」
男性はますます困惑した表情で私を見てから、「ありがとうございました」と言った。
それがなんだか、余計に恥ずかしかった。
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