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家にはあまり関心がない飲み友達の吉田に、人も犬も快適に暮らすことができる家について説明しています。今回は窓際の温かさの話。


吉田(以下、よ) 年末から寒さ厳しいよなぁ。ただ、天気がいい昼間は暖かくて、特に窓際で日に当たりながらテレビとか見てると、もう昼間からビール飲みたいくらい。

村田(以下、む) あの暖かさが前に話した放射熱だよ。室温がそんなに高くなくても、日差しが当たるから体感温度が高くなるってやつ。

よ) ああ、「伝導」「対流」「放射」ってやつね。じゃあさぁ、ガラス張りの家にしたらもっと暖かくなるんじゃない?

む) 全面ガラス張りっていったら、そりゃ温室だよ。晴れてるときは暖かいけど、夜は普通の家よりも寒くなるし、そもそも外から丸見えの家ってありあえないでしょ。まぁ、そこまで極端じゃないにしても、やたら窓が多くても結局外からの視線が気になってカーテン閉めちゃったりとかね。このあたりの絶妙なバランスこそ家の設計のポイントかな。

よ) そうかぁ。窓って部屋や壁の真ん中に規則的につけるもんかと思ったけど、いろいろ考えなきゃいけないんだなぁ。

む) 窓には、「光を取り入れる」「暖かさを取り入れる」「暖かさを逃がさない」「暑さを防ぐ」「風を入れる」「風を抜く」「景色を見る」「外からの視線を避ける」「人が出入りする」みたいに、いろいろな役割があるから、役割のために最適な位置、大きさをちゃんと考えるのが設計の仕事。これメチャメチャ大事だよ。住み心地がいい家になるのも、悪い家になるのも、窓にかかってるといっても過言じゃない。

よ) 窓って「壁じゃないとこのガラスの部分」ってくらいしか意識してなかったけど何役も果たしてるんだなぁ。なんかすごいものに思えてきた。

む) で、「暖かさを取り入れる」についても結構なパワーで、ざっくりいうと電気ストーブ一台分くらい。

よ) 窓はストーブと同じ!?

む) 例えば東京だと、冬に南面で1㎡で受ける太陽エネルギーの量はざっくり300W。よくある引き違いの窓の面積は3㎡くらいだから、300W×3㎡=900W。つまり窓から入る熱は、900Wの電気ストーブつけてるのと同じってこと。

よ) へー。うちは南側にそのくらいの窓2つあるから、晴れた日は電気ストーブ2台つけっぱなしってことか。そりゃ暖かいわけだ。でも夕方になると急に寒くなるんだよね。本当はこのあたりからストーブが欲しいんだよ。

む) 窓は太陽の熱を取り込むけど、部屋の暖かさが一番逃げやすい場所でもあるからね。だから、熱が逃げにくい窓にするとか、障子やカーテンをするとかの工夫も必要。

よ) 「稼ぐ」だけ考えるんじゃなくて、「支出を減らす」ことが大切ってことか。

む) あと、少し大掛かりな工夫が必要だけど「昼間の熱を貯める」もあるよ。

よ) 電気を貯める話はこの前聞いたけど、熱を貯める方法もあるの?

む) 南側の大きな窓に面して土間をつくって、そこに熱を貯めるんだ。

よ) 土間って、土足で歩くコンクリートとかタイルの床のやつ?

む) そうそう、最近はアウトドアとか自転車とか趣味の人も多くて、家の中に土間を作る人も結構いるよね。外と家の中の中間的な感じで使い勝手もいいんだけど、熱を貯めるってこともできるんだ。ほら、真夏に夜になってもアスファルトが熱いだろ、あれ、昼間の太陽の熱を貯めてるんだよ。

よ) 太陽で暖かくなるなら、電気代も掛からないし、安全だよな。窓スゲー。ちなみに、土間とかうちの犬も好きそうだなぁ。

む) そうか、おまえのとこも犬飼ってるんだっけ。最近は犬や猫を家の中で飼う人が増えてて、そのための家づくりなんかも注目されてるんだよ。今度はその話しよう。

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