五木ひろしさんの「夜空」レビュー「ゾッとする程美しい冬の星空の思い出。」
五木ひろしさんは数多くの名曲を歌っているが
あえてひとつ選べと言われたら脊髄反射で「夜空」と答える。
僕が小学校低学年の頃,父親が他界し,母親は保険外交員として,
女手ひとつで僕と幼い妹を育ててくれた。
保険外交員は保険料を集金する必要があり集金に最も適した時間帯が
世帯主が在宅している確率の高い夜間であった。
したがって夜間になると妹とふたり母親の帰りを待つのが常となった。
いつもなら母親が,もう帰る時刻なのに待てど暮らせど帰らない。
母親に何らかの不測の事態が生じたのかもしれない…。
思わず冬の夜に外に飛び出して四つ角でガタガタ震えながら
母親が運転する
マツダ・ファミリアのヘッドライトが見えるのを待ち続けた。
空はゾッとする程美しくキラキラ星が瞬いている。
近所の家のテレビから五木さんの「夜空」が聴こえてくる…。
…今でも五木さんの「夜空」を聴くとあの日あの時目撃した
「ゾッとする程美しい冬の星空」が脳裏に甦り
心の傷が痛み体がガタガタ震え始めるのだ。
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