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午後のロードショー「エディ・マーフィ主演の映画『ゴールデン・チャイルド(1986年)』レビュー「大いなる熱狂に…脳を焼かれた…廃人の書くレビュー」

吹雪が吹き荒れるチベット山中の寺院。
そこには千世代に一度生まれる「完全なる子供」…。
「ゴールデン・チャイルド(J.T.リアート)」が鎮座している。
チャイルドが手を触れれば命を失った生命に再び命が宿り
悪の心に満たされた人間に触れれば悪の心は浄化される。
チャイルドは世界を浄めるために生まれてきたのだ。

しかしチャイルドの存在を疎むものがいる。
悪魔だ。
サード(チャールズ・ダンス/小林清志!)を首魁とする
悪党共が寺院になだれ込みチャイルドを奪う。

チャイルドは唯一の例外を除き,
あらゆる外部からの物理攻撃を無効化する。

だが不浄な食物を口にすると…
チャイルドの「内部」が傷つき…
神通力は消え失せ世界は地獄と化すだろう。

サードはチャイルドを監禁し空腹に耐えかねて
不浄な食物を口にするのを何ら慌てる必要なく待っている…。

一方ではチャイルドを
外部からの物理攻撃で絶命させる唯一の方法…。
「アジャンティの宝剣」を捜している。
宝剣は心正しきものが使用すれば悪魔とさえ互角に戦え
心悪しきものが使用すれば…
チャイルドを絶命させることが可能となるのだ。

だが宝剣を入手するには「試練」を乗り越える必要がある。
サードは未だそのことを知らない。

チベットの寺院の予言書によれば
「天使の住む街」に住んでいると言う…
「天使=神の使い=選ばれしもの」
だけがチャイルドを救い宝剣で悪魔を滅ぼせるという。

「選ばれしもの」を捜し
「宝剣の試練」を乗り越えさせるために
チベットの寺院より
武道の達人キー・ナン(シャーロット・ルイス/高島雅羅)という
若き尼僧が「天使の住む街」…ロサンゼルスに向かうのであった…。

「選ばれしもの」が
ロサンゼルスで失踪した子供の捜索専門の私立探偵をしている
ジャレル(エディ・マーフィ/下條アトム)であるという時点で
ある種の「出落ち感」が満載であるが…

サードが西洋人でありながら正座して印を結ぶと…
周囲の風景が次第に人間界から魔界へと変貌し…
高位の悪魔と「魔界通信」を行う場面や
サードが悪魔としての本性を現わし人間の姿から
ガーゴイルを彷彿とさせる有翼の悪魔に変貌する場面や
悪魔サードが縦横無尽に暴れまわる場面の特殊撮影は一見の価値がある。

これらの場面での特殊撮影にはCGが一切使用されておらず
手作り感満載な点も大いに評価したい。

宝剣を構えたジャレルとチャイルドとが力を合わせて
悪魔サードと戦う姿は多分にTVゲーム的で思わず涙目になる。

TVゲーム…本作は1986年製作の米国映画で…
本邦では1987年3月に公開された…。
「1987年」…即ちファミコンブーム真っ盛りの頃…
TVゲームにとって…どれほど重要な年か…少々解説したい…

1986年12月…ディスクシステムで「ディープダンジョン 魔洞戦記」発売。1987年1月…ディスクシステムで「リンクの冒険」発売。
同年同月…ファミコンで「ドラゴンクエスト2 悪霊の神々」発売。
同年6月…ファミコンで「ヘラクレスの栄光」発売。
同年9月…ファミコンで「デジタルデビル物語(ストーリー)女神転生1」発売。
同年10月…ファミコンで「桃太郎伝説」発売。
同年同月…ファミコンで「ウルティマ 恐怖のエクソダス」発売。
同年12月…ファミコンで「ウィザードリィ 狂王の試練場」発売。
同年同月…MSX2で「ハイドライド3」発売。
同年同月…ファミコンで「ファイナルファンタジー1」発売。

「1987年」が…TVゲームが…RPGで席巻されていたコトが分かるだろう…。
僕は上記に挙げたソフトを殆ど全て購入している…。
中には所謂「クソゲー」もあった…。
でもそんなコトはどうでもいいのだ…
僕が!
手当たり次第にRPGを購入していた事実が重要なのだ…。

この…「ゴールデン・チャイルド」は…
そんな「1987年」の3月に本邦で公開され…
選ばれし者しか装備出来ない宝剣…
宝剣を手にする為の試練…
悪魔サードの…
ありとあらゆる悪しき特殊効果を伴った攻撃を…
死の窮地を…一度だけ回避してくれる首飾りに…
僕が魂を奪われた事実が重要なのだ…。

「ゴールデン・チャイルド」は…最も適切な時期に本邦で公開された…
ネットミームで言うところの「持っている」作品だと…
我は言いたのだ…。

本作のAmazonレビューを読むと…
「大した内容じゃない」
の大合唱…。

きっと…その評価は「正しい」のだろう…。
なれど…
わざわざ早起きして「恐怖のエクソダス」をプレイして…
そのまま大学の講義を受けて…
下宿に帰ってから「続き」をプレイした思い出を…
「無駄な努力」と切って捨てるコトは…
僕にはどうしても出来ない…。

「客観的評価」などクソだと…
我は言っておるのだッ!

大いなる熱狂に脳を焼かれた状態で…
僕は「ゴールデン・チャイルド」を観た…。
その「脳を焼かれた感想」は…唯一無二一期一会であって…

「マックのハンバーガーを食った感想」を…
40年も経ってから…
「やっぱりアレはカラダに悪いよね」
と…したり顔で抜かす輩には…

「バカじゃねえの?」

と目を見て言ってやる!
「40年前の感想」を書けよッ!

あの日あの時の感動を…我は…
最大漏らさずレビューに書いておるのだッ!
「後付けの感想」など要らぬッ!

閑話休題

エディ・マーフィといえば脊髄反射で
「48時間」「ビバリーヒルズ・コップ」
の人と思われがちだが,
こんな佳作もあることを知って欲しい。

もっとも…「佳作」と思うのは…
僕の…約40年前に…
焼かれた脳細胞が言わせている「妄言」である可能性を…
決して否定するものではない…。

僕の人格形成は1970年代で,ほぼ完成していて
本作品の「MTV感覚」には抵抗を覚えるが勿論減点はしない。

「ゴールデン・チャイルド」の吹替は…円盤には収録されておらず…
スカパー吹替放映時には…VHSビデオ画質にひっくり返ったモノだが…

この度テレ東の午後ローの放映で…
漸くBD-Rに焼く気になった…。

「吹替の力」というのは実に素晴らしく…
映画の面白さを2割増しにしてくれる特殊効果がある…。

故に「ゴールデン・チャイルドの吹替」を…
自信を持って「佳作」と太鼓判を押せるのだ…。

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