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福本伸行先生の漫画「二階堂地獄ゴルフ」第3巻レビュー「二階堂の「地獄」が…周囲の人間をも巻き込み…飲み込んで…際限なく広がって行くと思われたが…最後に「ビックリするコト」が起こったのだ…。」

(これまでのあらすじ)
プロゴルファーを目指す前途ある有望な若者を支援する
桜武(オウブ)カントリー俱楽部の期待の新星であった二階堂進は
25歳のときにプロテスト合格寸前に迫りながら,
その後10年に渡ってプロテストに落ち続け
「桜武」の期待を裏切り続けて今や35歳。
もう…「前途有望」でも「若者」でもない。

彼を後援し続けた人々から次第に「好意」が消え失せ
敵意に満ちた目で彼を睨む様になる。
「好意」は無償で無い上に無尽蔵でもない。
「好意」に何時までも応えられない「クズ」は見切られて当然なのだ。
「桜武」は彼への支援を打ち切り,彼はキャディのバイトをしながら
プロテストを受ける費用の捻出をしなければならない。

今や周囲の人間は彼に面と向かって
「何でプロテスト受験を止めないの?」
「何で周囲に迷惑かけてまでゴルフを続けるの?」
「辞めちまえ辞めちまえ!」
と罵声を投げかけて来る。
だが彼は今年もプロテストに挑戦する。
一体何が…彼を支え続けているのだろうか…?

第2巻で地下アイドルを5年続けて加齢が進行するばかりで
一向に芽の出ない女子…と言うには
些か以上にトウの立った女・架純(カスミ)が突然登場し
二階堂に大いに共感して次の様に叫ぶ。

本当は人間…生まれて来てやる事はひとつ…
ひとつしかないんだよ!
採算度外視!
これを成したら死んでもいいって事に…
一途に!
燃え上がる!
アンタがいまやってることだよ!

架純と知り合って6年…。
別に男女の仲となった訳でもなく…。
依然として二階堂はプロテストに16年連続で落ち続け今や41歳。

当時35歳のショボクレを応援する地下とは言えアイドルの女・架純が
登場するファンタジーが描かれるものの
その後6年経っても一向に芽が出ない
二階堂を見限る必要があり本人も地下アイドルに見切りをつけ
真面目に働く必要性を感じ彼女は茨城の実家に帰り
父の家業の全然売れてない中華料理屋の手伝いを始める。

二階堂にはプロテストに合格してプロゴルファーになる夢はあるが
それとは別に自分を応援してくれるアイドルの女など今後絶対に現れず
架純を諦めきれず彼女の後を追い
彼女の父親に中華料理屋で住み込みで働かせてくれと頭を下げる。

つまり…プロゴルファーとなる夢を諦め,
中華料理屋の下働きとして架純と共に働こうと言うのである。
架純の父親は賄い付きの住み込みであるから
時給200円で雇うと条件を出す。

そりゃあさあ。

1日働いて賃金が350円の地下帝国よりは何倍も高待遇だけれども!
常識では到底考えられぬ低賃金であることには変わりはない。

しかし二階堂は架純の側にいられれば労働条件などどうでも良く
二階堂は真面目に働き架純の父の信頼を勝ち取って行く。

しかしながら…福本先生の漫画の主人公が真面目に働ける訳ないじゃん。
中華料理屋にきたかつてのゴルフ仲間と久しぶりにゴルフをしたら
思いの他調子が良くてもういけない。

二階堂は早朝からドライバーの素振りを始める…。
架純「何してるの…?」
二階堂「あの感覚…あの感触…」
「力が体を流れている…」
「あの感じ…そうか…」
「あの感じ…あの感触だったのか…」
「初めて感じた…そうか…そうか…」
「これか!これだったのか!」
「やっと分かった…」
「なら試さなきゃ…」
「今刻まなきゃ…」
「消えちゃう…この感覚…」

二階堂が…カイジと同じ「寝言」を吐き始める…。

「もう少しだったんスよ…!」
「もう少し…もう少しだった…!」
「勝ちは…オレの掌に…一度…確かに落ちて来た…」
「もう大丈夫…!」
「分かるんです…次は勝てる…!」
「絶対にね…」
「となりゃあ…ここで引く手はないっ…!」
「勝てるんだからっ…常勝っ…」
「それはもう…見えているっ…!」
「オレは負けないっ…!」

カイジの「寝言」をエンド―さんは「哀れなバクチジャンキー」と評し…。
カイジを地下帝国に突き落としたが…。

架純は二階堂を「バカッ」と罵り…。
「東京での6年で…何度も聞かされたぞ…その手の…戯言!」
「でもそれは全部!」
「砂上の楼閣!」
「しっかりしろ!」
「オマエ今…おかしい!」
と懸命に翻意を促すが…。

二階堂は架純を捨てて東京に戻って行く…。
「プロになったら迎えに来る」
と寝言の上に寝言を重ねて…。

大体25歳から16年連続でプロテストに落ち続けてる男が…。
一体いつになったら自分を迎えに来ると言うのか…。
そのとき自分は幾つになってるのか…。

架純は今度こそ二階堂に見切りをつけ
二階堂が46歳のときに
別の男と結婚しその男が家業の中華料理屋を継ぐこととなる。
つまり…架純は5年も二階堂が迎えに来るのを待ってたのだ…。
勿論プロテストには21年連続で落ち続け
架純を迎えに行く日の目途は全く立たない。
架純的にもうこれ以上は待てん!

架純が別の男と結婚して更に2年が経過し…。
西暦2024年…つまり現在…。
二階堂はプロテストに23年連続で落ち続け…。
彼は今や48歳となっていた…。

架純の「見切り」は実に正しい選択であったことが証明される。
桜武の関係者はシニアプロを目指せばいいと公然と囁くものの…。
二階堂はあくまでもレギュラーツアーに拘りたいと寝言を吐き続ける…。

プロテスト受験の為の受験料捻出の為に親の貯金を盗み…。
周囲の人間の善意と好意を食い物にして金を搾り取り…。
今は二階堂は架純とその父親だけでなく…。
親戚縁者友人をも「地獄」に巻き込み始める…。

…が,二階堂はとうとう何もかもが嫌になって
日本海のとある断崖絶壁に立っていた…。

本巻の一番最後の話(第30話)で「ビックリするコト」が起こる。
詳細はまだ良く分からぬが二階堂がずっと小人(コビト)の幻視に苦しみ…。
そのコビトがずっと「ニカイドゥー」と話しかけてる様に思われたが
実は二階堂を呼んでいるのではなく
「別のコト」を彼に話しかけていたコトが判明したのだ。

これまで「二階堂地獄ゴルフ」はゴルフ漫画だと思ってたが
実はゴルフ漫画ではなく…何と言ったらいいのか…。
電波漫画…異能漫画だったのかも知れないのだ。

兎も角「ハア?」と我が目我が耳を疑う様な展開があり…。
これからどう転ぶか皆目見当がつかぬ。

故に今はネタバレしようにも出来ず…。
次巻の内容を確認する絶対の必要があるのだ。

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