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てもし(ギャラクティカちょこ)さんの「ひろがるスカイプリキュア」二次創作同人誌「300年前に言え」レビュー「『プリキュアの出て来ないプリキュア本』でプリキュアを学ぶのだ。」

先ず僕の
「ひろがるスカイプリキュア(ひろプリ)」
の履修度を解説すると
バッタみたいな男と
豚みたいな男の親戚みたいな牛みたいな武人と
4人のプリキュアが戦ってたら
赤ん坊が5人目のプリキュアになって仲間の車を廃車に追い込んで
ボンネットの上に颯爽と登場する辺りまでで
未だ「諸悪の根源」らしき女性の正体が分かってない段階である。

…段々思い出して来たぞ…。
「最近のプリキュア」は
お優しくて敵の幹部を殺せなくなり殺さない方便として
「あの人は根っからの悪人じゃない」
って理屈を持ち出して来て辟易していた所で
登場したのがスキアヘッドで…。
僕は「古い人間」なのでこういう例えとなるが…。
彼は「宇宙戦艦ヤマト」のヒス副総統みたいな容貌で
敵幹部(つまり仲間)の心の自由を奪って
プリキュアを攻撃させると言うかなりえげつない事を
平然と実行する新幹部として期待していたのです。

ですが僕は既に「ひろプリ」全体に対する関心を
失っており視聴したのはここまで。
「そっから先」の事が全く分かってない。

最終話だけは辛うじて視聴したのですが
スキアヘッドが大蛇に変身してプリキュア達と戦って
浄化されてスカイランドが平和になって
敵方の大将と思われるお姉ちゃんの元に
豚みたいな男とバッタみたいな男と牛みたいな男が集まって
お姉ちゃんが何やら針仕事で人形を作っている…。
よくは分からんが取り敢えず幸せそうで4人で再出発する様だ。

ホントにね…。
余りの「ひろプリ」の知識の薄弱ぶりに赤面する他無いのだが…。

そんな僕が何故本同人誌を購入したかと言えば
SNSで公開されていた,てもしさんの漫画が…何というかこの…。
何だか分からんがドキッとしたと言うか…。
この漫画の中に「不和」が欠片も存在しない事が
かえって僕を不安にさせ酷く気になったのからなのである。

比較的真面(まとも)な理由は
僕の「ひろプリ」の「失われた環(ミッシングリンク)」を
本同人誌で補ってやろうと目論んだ次第である。

僕の本同人誌を読んだ結果構築された私見に基づく
本同人誌の登場人物を紹介したい。
1.カイゼリン…人を疑う事を知らない天使のような少女。
仮に誰かを疑っても,
その「疑った自分」を深く恥じ,
疑った相手をとことん好意的に解釈する。
勿論「疑った相手」に対する
潜在的な好意が爆発してるのだけれど…。
カイゼリンアイにはスキアヘッドが騎士(ナイト)に映り
姫(プリンセス…要するに自分)に忠誠を誓い,
未来永劫自分を守り続けながら
自分を連れて何処か遠くの世界に
駆け落ちと洒落込む存在に見える様だ。
些か以上に夢見がちな少女と言える。
カイゼリンは,
その「夢」が壊される事を拒絶し
決して真実を見ようとしない。
コレが「良い性格」とは到底思えず
早く目を覚ました方が本人の為である様に思える。

2.スキアヘッド…隙さえあらばカイゼリンの中に
「自分自身」を注ぎ込んでやろうと虎視眈々と隙を伺う男。
「推しの子」が小学校低学年女児から中学生女子迄の
ベストセラーとなっている昨今「プリキュア」に於いても
ここ迄「攻めた」話にする必要があるのだろう。
カイゼリンはスキアヘッドに非常に大きな好意を抱いている…。
が,スキアヘッドはカイゼリンを
「自分自身」を注ぎ込む「容れ物」としか思ってないと
常々口では言っている…が「本当のところ」は良く分からない。
恐らくソコに二次創作の「余地」が存在するのだろう。

傍から見るとカイゼリンは
「悪い男に騙されてる事」
を頑として認めない女に見えるのだ。
周囲はカイゼリンの為を思って忠告するのだが
カイゼリンイヤーには諫言が聞こえないのだ。
スキアヘッドも危ういがカイゼリンも十分に危ういと言える。
「問題」は明らかに危ういスキアヘッド側よりも
危うさを危うさと気付けない危うさを持つ
カイゼリン側により多く存在するのだ。

3.カイザー…カイゼリンの父親でがっしりとした体格の武人?
娘にスキアヘッドが近付く事を快く思ってないらしい…。
が,後述する「エルレイン」とかいう
シンデレラみたいな格好した女に比べれば相当真面な部類に入る。
子煩悩で常識人でしょっちゅう思い余った行動に走らんとするエルレインを
制止する事に自慢の剛腕を駆使するストッパー。
全く理解出来んがエルレインに対して好意を抱いている様だ。

4.エルレイン…理性のある振りをしているが本当は頭のおかしな女。
カイゼリンに好意を抱く余り,スキアヘッドのカイゼリンに対する
何ら他意の無い発言を曲解し彼を滅却しようとして
カイザーの全力で制止させられる…。
コレが本同人誌の基本展開となる。

この4人は300年前の人間らしく「プリキュア」は出て来ない。
最終話に於いてスキアヘッドが大蛇に転じて
プリキュア達に襲い掛かってきた以上,
「諸悪の根源」の発祥と何らかの関りがあるのだろう…。
それにしても…カイゼリン,カイザー,エルレインは「どうなった」のだ…。
恐らく「不和」と「不信」とが「束の間の幸せ」をブチ壊しにして
全てを台無しにしたのであろうが…。

話的には…「ほのぼの健全同人誌」なのだろうが…。
「ほのぼの」の隙間から
カイゼリンのスキアヘッドに対する盲愛と
スキアヘッドのカイゼリンに対する偏執的感情と
頭のおかしなエルレインの暴走と
3人の「困ったちゃん」に囲まれたカイザーの気苦労が
延々と綴られているのだ。

エルレインに可愛げがあってカイザーがダジャレに弱いと知ると
延々耳元でダジャレを囁くエルレインの姿に…何というかこう…。
真面な一面もあるのだな…と思いました。

カイゼリンの「可愛げ」を淡々とスキアヘッドが解説して
カイゼリンが絶叫する場面が僕はスキです。

この4人の話と「プリキュア」とがどう結びつくのか皆目分からんが
「他人の幸せそうな姿」を端から眺めていて…そう悪い気はしません。

スキアヘッドにも
「きっと根っからの悪人じゃない」
「でなきゃカイゼリンがスキアヘッドに惹かれる訳がない」
って情けをかけて「行間」を読み,妄想を逞しくする
てもしさんの広大無辺な優しさに泣けるのです。

仮に最後に出て来たお姉ちゃんが
「一度グレて更生したカイゼリン」だとするなら
スキアヘッドにだけ「更生の機会」が与えられなかった訳で
あのバッタみたいな男にすら更生の機会が与えられたのに
納得しかねられたのではないでしょうか。

本同人誌を最後まで読むと…。

斯くの如きものが挟まっていました。
何やら「設定」が良く分からぬが…。
カイゼリンとエルレインが衣服を交換しているカードと…。
エルレインの姿が描かれた紙…。
コレ…「ふたりはプリキュア」なの?
ふたりがフュージョンして完全体「カイゼエルレリン」になるの?
紙には
「通販ご利用いただきありがとうございます!」
と手描きで記載されている…。

斯くの如き「手作りの真心」を受け取ると…
昔々同人誌即売会に通っていた頃を思い出します。
あの頃には僕にも「真心」に素直に感謝する気持ちが…。
「心」があった…あった筈だ…。

それが今や…「心」とは一体何だったのかが,もう思い出せない…。

このよう…ナ…ムキミ ノ マゴコロ ヲ ウケトッテ…
ド…ウ…ハンノウ スベ…キ…カ……ワ…カ…ラ…ナ…イ…
(原子分解して雲散霧消)

僕(の残留思念)が「プリキュア」が「分からない」のは
僕に「人の心」が無いからかも知れません。
僕はもしかしたら…。
スキアヘッドに一番感情移入したのかも知れません。
「感情が無さそうで有る」所が特にね。
久しぶりに昔自分に「心」があった事を思い出しました。
今も「心」があったなら本同人誌を読んで
きっと暖かな気持ちになったのでしょうね。
その「気持ち」が味わえないのが悔しく思える本ですね。

夢見がちではなく即物的な思考を働かすと
僕が「ひろプリ」を「分からない」のは
僕は「ひろプリ」を見放したからで「分からない」のは自業自得なのです。

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