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一本木蛮先生の「同人少女JB」第2巻レビュー「藪木珠理の大いなる助走。」

これまでのあらすじ
第1巻で未だ何者でもない
無頼の17歳・藪木珠理(やぶきじゅり)が
自分は他の奴等とは違う・その「違い」を
「うる星やつら」のラムの仮装をして示す
最高のヒキで第2巻へと続いた「同人少女JB」であったが…。

青池保子先生が同人誌即売会の模様を御覧になられて

「何故,皆プロを目指さないのか?」

と素朴に疑問を発せられた。

作家の筒井康隆氏は同人作家はプロを目指そうとせず
延々と「大いなる助走」を続けているのだと
著作「大いなる助走」で指摘されている。

また「ファンロード」誌でウィングマンのアオイの仮装をされてる方が

「陰性目立ちたがり」

と自己紹介されて「目立ちたがり」は分かるが
「陰性」の意味がずっと分からなかった。
「根暗」って意味だとすると仮装なんてしないよねえ?

「同人少女JB」第2巻を読んで「謎は全て解けた」。

第2巻に於いて藪木は同人誌を作らず,
漫画を描いて漫画雑誌に持ち込みもせず,
進路指導票を記入せず,受験勉強もしない。
部室で級友と駄弁ってるだけ。

藪木が「何者にもなれない」のは
彼女が未来が不確定な17歳だからではなく,
「何者かになる努力を一切していないから」
であることが明らかにされて行く。

だってさあ…「生きることは闘うこと」だってプリキュアも言ってるじゃん!
闘争であるからには勝たなきゃウソじゃん!
「闘って勝つ」のが人生の醍醐味じゃん!
勝つためにはそれなりの努力をしなきゃじゃん!
受験だったら頭が破裂する程勉強するとかさあ!

オマエ…何も努力してないじゃん!
努力しなかったら負けるに決まってるじゃん!
「何かしろ」よ!主人公だろう?

藪木は自分の事を「マイナー指向」って言うけど,
オマエの言う「マイナー指向」って
国公立大学が入れないから私立へ行く
私立も無理そうだから予備校に行くって
人生の目標を延々下方修正してるだけじゃん!

つまりマイナー指向とは負け犬の思考であり
藪木がプロを目指さないのは
延々「大いなる助走」を続けているだけなのだ。
「陰性」とはマイナーの事であり
「陰性目立ちたがり」とは
「何も努力しないで目立ちたい」と言っているのである。

ふざけるなあ!

何も努力しないで「ひときわでっかく輝く一番星」になれるもんか!
何もしなかったら何者にもなれる訳ないじゃん!
オマエ…17年間一遍も必死になって努力した事がないな?
もうね。藪木の父親になって彼女を正座させ,延々説教したい心境である!

第1巻冒頭で藪木がラムの仮装をして目立ち,
第2巻でその仮装の写真が「ファンロード」誌に掲載された事が
彼女の「何も無かった17年」で初めて訪れた「ハレの日」であり,
唯一彼女が「能動的に行動した」青春の証なのだ。
そりゃあ心に残るよねえ…。

マイナー路線に進む人間は何かするべき時に何もしてこなかったから
マイナー路線に進まざるを得なくなった「自業自得」の証なのである。

藪木の本質は「ボンクラ」と覚えたり。



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