吉本浩二先生の「ブラック・ジャック 創作秘話 手塚治虫の仕事場から」第1巻レビュー「手塚先生の狂気に周囲が振り回される「アニメ地獄」は必見です!」
日本テレビ(現日テレ)の24時間テレビの最初の数年間は
手塚治虫先生の2時間アニメが放送された事を覚えておられる方はおられるでしょうか。
「バンダ―ブック」「マリンエクスプレス」「フゥムーン」…
アニメ映画ではなくTVアニメが2時間枠で放送されることは過去に例がなく
「世界初」と言う言葉に弱く,人一倍情熱を燃やされる手塚先生が
第1回24時間テレビの第1回アニメ「バンダ―ブック」を制作される際の悪戦苦闘が
本巻収録の第4話「アニメ地獄」に詳しく描かれています。
手塚先生の絵コンテが上がらずアニメスタジオでは怒号が飛び交い
制作担当デスクが失踪,手塚先生出席で進捗会議を実施すると
絵コンテを進捗状況別に3段階に分けて分担を決める段になって,
どの段階でも「僕がやります」と手塚先生が挙手。
唯でさえ手塚先生は本業の漫画で手一杯なのに,何処から,そんな時間を捻出するんだろう…
と周囲の人間の焦燥ばかりが募るものの
「僕の作品なんだから僕がやるのが当たり前」
と正論を宣われる手塚先生に
「いや無理でしょ先生!」
とは誰も突っ込めない…
挙句何とか一部試写に漕ぎつけると
試写会で手塚先生が片っ端からリテイク(最初からやり直しの事である!)を出す…。
「僕のブラック・ジャックはね,こんな歩き方はしないんですよ…」
こんな話,面白いに決まってるじゃないですか!
本作の中では本巻が一番面白く,本巻の中では本エピソードが一番面白いと思う次第です。
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