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NHKドラマ「テンペスト」レビュー「困ったときの仲間頼み!」。
19世紀の琉球王国末期。
雷鳴轟く大嵐の夜,ひとつの命が誕生する。
父親は男子の誕生を望んでいたが誕生したのは女子であった。
父親は落胆のあまり生まれたばかりの女子に
名前すらつけようとしなかった。
父親は止む無く男子を養子縁組して引き取り
「科挙」に匹敵するほどの琉球王国の最難関官僚登用試験である
「科試(ごうし)」合格に向け猛勉強を強いる。
だがしかし男子は学問の才能に恵まれず
養父の特訓の厳しさに耐えきれず逃亡する。
落胆して膝をつく父親に今や13歳となり父親から名前を貰えなかった為,
自らの名を「真鶴(まづる)」と名付けた女子(仲間由紀恵)が
逃亡した義兄の代わりに科試に挑戦したいと申し出る。
父親は鼻で笑い,そもそも科試は男子しか受験資格がないと
真鶴に言い聞かせるが彼女は自身の性別を偽るために科試合格の暁には
自身を「宦官」であると称し,男子として生きる決意を父親に伝える。
彼女は父親が義兄に与えた書物を密かに読んでおり
琉球の宣教師ベッテルハイムより数か国語の言語を学んでいたのだ。
琉球王国は薩摩と清国のふたつの国と外交を結んでおり
優れた外交官の誕生を求めている。
琉球王国の宮中では贅の限りを尽されているが
国民はそれが為,重税に喘いでいる。
また琉球王国は未だ政教未分離で国政に国王の実姉であり
同時に巫女でもある聞徳大君(きこえのおおきみ)(高岡早紀)の
御託宣が大きく関与する有様。
見事科試を突破した彼女は名を孫寧温(そんねいおん)と改め,男子として,
官僚として宮中の財政改革に乗り出し,
また政教分離に関しても大鉈を振るう。
「出る杭は打たれる」の諺(ことわざ)通り,
寧温は宮中,神官はもとより,官僚たちからも疎まれ,
何度も失脚を画策されるが彼女の聡明さと機知により画策は頓挫する。
だがしかし清国の宦官(Gackt)に正体を見破られ,その宦官を殺害したかどで,彼女は遂に失脚し八重山に永世流刑に遭う。
彼女の運も尽きたと思われたが,かつて彼女が宮中から追放し
故郷である八重山で暮らす元女官頭(かたせ利乃)と再会し過去の恩讐を忘れ
親子の様に3年間過ごす。
その3年の間に彼女は宮中の女性としての所作・作法を学び,
琉球王国に戻る唯一の方法…琉球王国の八重山視察団の目に留まり
女(真鶴)として宮中に入る,という逆転の奇策を弄するのであった…。
我が家でNHKの番組に仲間由起恵が登場すると家人と声を揃えて
「困ったときの仲間頼み!」とハモる。
仲間由起恵のNHKへの貢献度たるや驚き桃の木だ。
真鶴(女)と寧温(男)を巧みに使い分ける,その姿が
薩摩と清国との間を揺れ動く琉球王国の象徴であることは言うまでもない。
本作品は同名原作小説が存在するが一度読んでそれきりだ。
平たく言うと「女を何だと思っているんだ!」の一言に尽きる。
斯様なロクでもねえ原作小説を換骨奪胎して国営放送出来る水準まで
引き上げたのはひとえに脚本家,大森寿美男氏の力量によるものだ。
家人は大の仲間ファンであるから真鶴/寧温一押し!なのだが,
僕は高岡早紀様の信奉者なので聞得大君が登場する度に拍手喝采だ!
Gackt様の凄まじい演技も実に素晴らしい。
本作品は「琉球王国」が「沖縄県」となるまでを描いている。
突っ込み所満載の非常に破天荒かつ豪快な物語ではあるが
一度視聴すると病みつきになる不思議な魅力がある。
これも仲間マジックなのだろうか?