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BUTA先生の漫画「かわいいのはずるい」第2レビュー「オンナからの誘いは断るな」

先般BUTA先生の漫画単行本「かわいいのはずるい」の
レビューを書かせていただいて以来…
ずっと思うところがあり…
先般のレビューの「追補篇」ともいうべき
第2レビュー…と言う名の「メモ」を
こうして書き記している次第である…。

まこと優れた創作物と言うモノは…
すこぶる考察が捗るのである…。

僕がずっと思考しているのは…

1.正馬(しょうま)くん(第1エピソード主役)と…
明くん(第2エピソード主役)の…
「設計思想の違い」と…
2.第2エピソードで明くんが…
椎衣奈ちゃんからの誘いを…
オンナからの誘いを断らなかったコトにより…
重大な「ルート分岐」が発生したのではないか…。

の2点で…。

コレから僕の…
「思考の過程」を開示しようと言うのである…。

先ず「正馬くんと明くんの設計思想の違い」についてだが…
正馬くんの特徴
・四六時中意中のオンナに(ウザ)絡んで…
オンナのいいトコロを延々列挙する
(つまり四六時中オンナを口説いている)。
・四六時中意中のオンナに愛を囁き…溶け合おうとする…。
・イケメンであって欲しい…。

明くんの特徴
・四六時中オンナを良く見ていてよく気が付き…
ホンの僅かでもオンナが不快を感じていたら…
直ちにその不快を除去する…
・(正馬くんと違って)がっつかない…
・しかしながらオンナからの誘いは決して断らず…
ふたつ返事で快諾し…即座に愛の営みに突入する…。
・来るものは拒まず去るものは追わない。
・「イケメンであるコト」は必須条件でなく…
寧ろシンプルな造形の方がいいまである。
・オレがオレがと自己主張しない…
・生きて行くのに絶対に必要な存在でありながら…
その存在感が極めて希釈で…
まるで「空気」の様な存在である。

最初僕は…正馬くんの方が先生の思い入れが強い様に感じていたが…
この…「特徴の量」から鑑みるに…
実は明くんの方が思い入れが強いのではないのか…。

この…ふたりの「設計思想の違い」とは一体何だろう…
と道すがら考えていたが…不意に天啓(エウレカ)が訪れ…
正馬くんと言うのは…オンナが恋人に求めるモノの化身で…
明くんと言うのは…オンナが旦那に求めるモノの化身なのではないのか…
との輝き(シャイニング)を得たのである…。

「恋人」よりも「旦那」の方が付き合う時間が圧倒的に長く…
仕様が「うるさく」なるのは…日々の暮らしのなかで…
一緒にいて邪魔に感じない為の当然の仕儀と言えるのだ…。

BUTA先生は…
「明くんの存在感が空気」
と悩まれておられた様ですが…
コレ…先生の深層心理の「理想の旦那」の…
「設計仕様通り」なのではないかしら…。

もうひとつの論考点は…
明くんが…椎衣奈ちゃんからの…
オンナからの誘いを…二つ返事で快諾したコトの重大性である…。

ヴァ―ホーベン監督の「スターシップトゥルーパーズ」という映画には…
昆虫型宇宙人と戦う宇宙の海兵隊が存在し…その海兵隊員養成に於いて…
鬼教官と恐れられるラズチャック先生が登場する…。
ラズチャック先生の厳しい訓練を乗り越え…
見事海兵隊員の1年生となったリコという生徒が…
同期の女子からの告白を断る場面を見咎めて…リコに次の様に助言する…。

「いいかリコ…オンナからの誘いは断るな…」

「オンナからの誘いを断る」と…
一体オトコにナニが起こるのだろう…

スティーヴン・キング原作/デヴィッド・クローネンバーグ監督の
「デッドゾーン」と言う映画で…
高校教師のジョニー(クリストファー・ウォーケン)は…
同僚の女性教師と交際していたが…
ある夜…デートの帰りにオンナを家まで送ったウォーケンは…
オンナから…
「今日は…ウチに泊まって行かない…?」
と誘われる…。

だがウォーケンはオンナの誘いを断って…帰路を急ぎ…
その帰り道でタンクローリーと正面衝突して意識不明の重体に陥り…
その後5年間昏睡状態が続き…その間にオンナは他のオトコと結婚…
ウォーケンは意識が回復するものの…重い後遺症に悩み…
杖の補助なしでは歩くコトもままならず…
オマケに神様が要らん予知能力を授け…
「サトリの化物」と忌み嫌われて人里には住めなくなったうえに…
将来核戦争を起こす大統領候補の暗殺を
試みさせられる羽目となるのである…。

ヴァ―ホーベンもクローネンバーグも…
「同じコト」言ってるんです…。
「オンナからの誘いを断ると…大変なコトが起こる…」って…。

明くんが椎衣奈ちゃんからの誘いを…
ふたつ返事で快諾したトキ…
「恋愛の神様」はおおいに満足して…
明くんに…椎衣奈ちゃんと芽衣ちゃんの3人で
溶け合う夢の様な時間を授けたうえに…
その後も3人で仲良く生きる「未来」を授けたのだけれど…

オンナからの誘いを断ったウォーケンに対しては激昂し…
この世のありとあらゆる苦難と苦痛を与え続けたと言う…

とんとおっかねえ話である…
くわばらくわばら…。

神さまに「性別」があるのかは神学上でも争点であるが…
少なくとも「恋愛の神様」には…
「オンナの側面」があると僕は思っている…。

オンナが夫(恋人)に求め…その「求め」に応えなかった場合…
大変なバチが当たると…オトコ側からの報告が相次ぎ…
「オンナからの誘いは断るな」
と…半ば格言化して今日に伝わっているのである…。

日本では…「据え膳食わぬは男の恥」と言われているがな…。

リコは…ラズチャック先生の教えを守り…
告白してきた女の子と一夜を共にし…
その女の子は…悔いのない一生を過ごしたのである…。

「悔いのない人生を送るコト」は…
「悔いを残しながら長生きするコト」よりも…
ずっとずっと価値があると言うのが…ヴァーホーベンの人生哲学なのだ…。

恋愛の神様は…こういう言い方が妥当かどうかは分からないが…
重大な運命の選択さえ誤らなければ…
仏様の様に慈悲深く…功徳を惜しまれない方だと…
BUTA先生の…「夏と海とギャル×2」を拝読しながら…
恐怖にガタガタ震えながら…ただひたすらに平伏する他ないのである…。

明くん…選択を誤らなくて良かったね…。

とは言え…BUTA先生は…
「ギャルふたりにサンドイッチにされたい…」
と発言されており…
「神(創造主)の視点」の多彩さに驚かされる共に…
「神さま」と言っても…
一口には言えないとも思わされるのだ…

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