H.P.ラグクラフト原作,スチュアート・ゴードン監督「ダゴン(2001年)」レビュー「スチュアート・ゴードンが描くエロく…生々しく…グロテスクな『リトルマーメイド』が本作と言えるのです…」
ポール(エズラ・ゴッデン)は妻と共に嵐で座礁したヨットから
漁村に助けを求めるも異形と化した村人達が襲って来る。
瀟洒な部屋に逃げ込んだ彼は連日夢に見る
美少女ウシア(マカレナ・ゴメス)との邂逅を果たす。
彼女と何らかの縁があるのだろうか…?
彼女は異形の巫女であるらしく深淵より「ダゴン」と呼ばれる大海獣を
「ダーゴン!」「いあいあ!」「ダーゴン!」「いあいあ!」
の合いの手?掛け声?と共に呼び出そうとする…。
ウシア様はアニメ美少女声で…無条件に加点したくなるアニメファン…。
彼女はポールが自分の運命の相手であり…
「ワタシはアナタと…」
「アナタはワタシと…」
「結ばれる為に生まれて来たのよ…」
と夢を通じて語りかけて来る…。
ウシア様…殆どマッパなんですけど…
ポールには妻がいるし…ウシアは今はヒトガタをしているが…
その本性は異形である…だが…彼にとってソレ等は…
さしたる障害ではない様に思えて来る…。
H.P.ラグクラフトの水兵ポールがドイツ海軍に拿捕され…
小舟で逃亡し太平洋を漂流し…奇妙な湿地に流れ着き…
奇妙な出来事に次々と遭遇し…
やがてクトゥルフ神話の大海獣ダゴンと遭遇する
奇妙な原作小説から「戦争」要素をバッサリ割愛し…
スチュアート・ゴードン曰く…
「この映画は僕の…」
「『リトルマーメイド(人魚姫)』なのさ…」
と語る…ポールとウシアの…グロテスクな…
「身分違いの恋」の要素を盛り込んだのが本作なのだ…。
つまりウシアの存在はスチュアート・ゴードンの独創で…
ラグクラフトの原作小説には出て来ないのだ…。
監督は「僕のリトルマーメイド」と仰られているが…
僕は…トム・ハンクス&ダリル・ハンナ主演の
ロン・ハワード監督の…
人魚姫映画「スプラッシュ」(1984年)の翻案だと感じたな…。
だって…「ダゴン」で…
マカレナ・ゴメスに導かれエズラ・ゴッデンが深淵を目指す場面が…
「スプラッシュ」で…
ダリル・ハンナに導かれトム・ハンクスが…
二度と帰れぬ深海の国を目指す場面の引き写しなんですもの…。
なので僕の中では両作は姉妹編。
「ダゴン」が登場する場面は…怪獣特撮映画なのですけれど…
ポールとウシアの身分違いの恋は…
まんま「スプラッシュ」(人魚姫=リトルマーメイド)という…
一粒で二度美味しいアーモンドグリコの様な作品…。
この「ダゴン」の円盤の『普及版』なる…
要するに仕様と特典はそのままに…
初回製造分限定のブックレットやアウタージャケットは付属しないものの…
廉価にした代物が今年(2024年)の12月20日に出ると言うのである…。