アリ・アスター監督の映画「ミッドサマー(2019年)」ディレクターズカット版レビュー「アリ初体験…カルト宗教にハマった『家族』は最早…『家族』ではなく…切って捨てる他ないのである…」
パニック障害を抱える大学院生ダニー(フローレンス・ビュー)は
自分と同じく極めて精神的に不安定な両親と同居してる妹の
「もーダメ!」「耐えられない!」「生きて行けない!」
とのメールに心を痛めているが…
彼氏のクリスチャン(ジャック・レイナー)は
ダニーがパニックを起こしながらどもりながら
彼に悩みを相談して来る度に「またか」とウンザリしている。
男友達は
「そんなアタマのイカレたオンナとはさっさと別れろ」
と助言してくれ…彼も彼女と別れたいと思ってるが…
なかなか踏ん切りがつかない。
そんな時またしてもダニーから着信。
どうせロクな報せではないと思いつつ話を聞くと
「ノオノオノオノオノオ…!!!!!!!」
が無限に連呼される。
オレの人生はこのオンナをなだめすかすコトに費やされるのだろうか…。
彼女の頭のイカレた妹が両親を道連れに無理心中を実行したのだ…。
天涯孤独となった彼女に…
しかしながらクリスチャンは救いの手を差し伸べようとしなかった…。
ソレが彼女には信じられず…
「ワ・タ・シ・を・助・け・ろ・よ」
「絶対にアンタと別れないからね…」
と口論が続く日々…。
死ねばいいのに…このオンナ…。
このオンナは…クリスチャンが悪友3人組といつもつるみ…
自分をハブるコトに執拗に噛み付き…絡んで行く…
そのクセ…クリスチャンが仏頂面になると…
「ワタシを捨てないで!」
とパニックを起こしながら泣き喚くのだ…。
クリス…悪いコト言わんから…そんなオンナとは別れろよ…
クリスチャンの仲間のペレ(ヴィルヘルム・ブロン・グレン)が
北欧スウェーデンのヘルシングランド地方にある小さな村の出身で
男同士4人組水入らずでその村に2週間の予定で滞在し…
夏至の祭り(MIDSOMMAR)を楽しもうと計画してると…
まッたッしッてッもッあのクソメンヘラが割り込んで来る…
「ワタシそんなハナシ聞いてないんですけどッ!?」
このオンナは…ッ!
気の置けない男同士の旅に割って入る
異分子であって…
尚且つ空気の全く読めないロクデナシなのだ…。
死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ死ねッ!
こうして男4人の旅に異分子1名が割り込んだ計5名が…
ヘルシングランド地方にある「ホルガ」という…
ペレの生まれ故郷に向かうのであった…。
僕はこの…「ダニー」と言うオンナが…八つ裂きにしたい程キライです。
なので…彼女に共感したり彼女がスキだってヒトは
僕のレビューを読まなくていい…
僕はねえ。
「ダニー憎し」の余り…クリスチャンに大いに同情し…
早くこのオンナと別れる様祈りながらこの映画を観てました…。
でもな。
ダニーは殺したい程憎いが…
「クリスチャン」(=キリスト教徒)なんて名前のオトコが…
奇妙な…ウルトラ優生主義の異教(PAGAN)の村に来た時点で…
もう…この…「キリスト教徒」くんは…
藁で出来た巨大なウィッカーマンの像の中に
押し込まれ…火を点けられ…
「キリスト教徒」くんが…
「コレが…五穀豊穣の祈りなどであるものかッ…!」
「この…異教徒(PAGAN)共がッ!」
「コレは…殺人だッ!(THIS IS A MURDER!!!!!!!)」と…
聖書を諳んじながら焼け死に…
「ホルガ」の人々は…赤々と燃えるウィッカーマンの像を囲みながら…
無邪気に五穀豊穣を願う歌を歌い…
赤々と燃える夕陽が沈んで「終わる」という…「流れ」が見えました…。
僕はエスパー魔美なんかじゃありません…。
僕はただ…ロビン・ハーディ監督の
映画「ウィッカーマン」(1973年)の粗筋を並べているんですッ!
ブックレットを読むと…
アリ・アスター監督は…
「『ウィッカーマン』は勿論知ってるさ…」
「でもね…」
「僕が『ミッドサマー』の脚本を書く際には…」
「あえて『ウィッカーマン』を見返さない様にしたのさ(キリッ)」
って言ってるけど…
アリアリアリアリアリ…アリよォォォォォ~
そんな言い訳が通るとでも思てんのか?
さっき並べた「キリスト教徒」くんに関する
僕の「流れ」の予想…
中(あた)らずと雖(いえど)も遠からずだよねェェェェェ!?
すッこッしッはッ!
「観客の予想」を裏切る努力をしろォォォォォ!
閑話休題
この映画はな…アリ自身がブックレットで言っている通り…
ダニーがクリスチャンから精神的自立をする話ではない…。
彼女がクリスチャンへの精神的依存から立ち直る…
「救済」を描いていないのだ…。
確かに彼女はクリスチャンへの精神的依存から解放されます…
しかし彼女はその代わりに…
ウルトラ優生主義のウルトラ全体主義のカルト集団の一員となって…
「悩みが無くなった」
だけなんです。
冷静に考えてダニーがクリスチャンへの精神的依存状態を脱する為に…
国家社会主義ドイツ労働者党に入党したり…
カルト教団の一員となって集団生活する様になったコトを指して…
「彼女の救済」だの「彼女の解放」だのが実現したと思う人間がッ!
三千世界の一体何処に居るんだッ!
あのさ。
僕はいま…
映画「ヘル・オブ・ザ・リビングデッド」の
キャッチコピーがアタマに浮かんでるよ…。
「地獄の果てに地獄があった」
ってね…。
彼女はッ!
カルト教団を「駆け込み寺」にしてッ!
「悩みが何も無くなった」
んですよッ!
みッじッんッもッ「救済」されてないッ!
暴力夫から逃げてカルト宗教にハマる行為の…
ナニが「救済」なんだッ!
僕は最初…ダニーを「憎い」と思いましたが…
今は「気の毒」に思います…
この地球の何処にも彼女の安住の地が無く…
彼女は未来永劫救われない存在なのだと知ったからです…。
「気の毒」とは思うが…
彼女が「僕」に依存して来たら…
僕はきっと彼女を殴ると思う…。
アリ・アスターは…極めて用意周到に…
彼女を一切同情出来ない人間として設計し…
妹や両親と一緒に無理心中で死ぬべきだったとの感慨を抱く様に
「作られた人間」なんですよ…。
あのさ。
仮にアナタの身内が…
カルト宗教にハマり…
アナタにお布施や入信や集団生活を勧めて来たら…
アナタはその身内に「同情」出来ますか…?
恐らく親族一同による会議を開き…
その身内を勘当・縁切りしますよね…。
「カルト宗教」は「病魔」であり…
病魔に冒された患部は切り離す他無いのですよ…。
「ダニー」などという人間は最初からいなかったんです…。
ダニーには…「透明人間」になって貰うしかない…。
ヘタに「同情」したら…その「同情」を食いものにして…
際限なく依存して来るオンナ…ソレが「ダニー」の正体です…
「切って捨てる」以外の…一体どんな方法があるって言うんですか…。
僕はねえ…。
母親が…「ダニーみたいなオンナ」だったんですよ…。
家族会議を開いて…「何とかする」しかなかったんです…。
アリ・アスターの映画は…実は今回初めて観ましたが…
「カルト宗教ハマった『家族』は…最早『家族』ではないッ」
「切って捨てるしかないッ」
ってコトを描いていると僕は受け取りました。
ダニーがカルト教団で「メイクイン」という…
ジャガイモみたいな「ホーリーネーム」を与えられて…
幸せそうに笑っていても…
しかしながら…その「幸せ」は…五穀豊穣の祈りを込めた…
9人のカカシを焼いた犠牲の上に成り立ってるのである…。
僕はねえ。
ダニーを「身内」と思ってこの映画を観てるんだ…
ダニィィィィィィ…………
オマエは一族の恥晒しである…
オマエは存在そのものが罪なのだ…
従って家族会議の結果…
オマエを地下の座敷牢に…
未来永劫幽閉するのが相当と沙汰が出た…
アタマのイカレた身内は代々…
そうやって…
「最初からいないこと」にされて来たんだよ…
ダニィィィィィィ…………