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「邦画プレゼン女子高生 邦キチ!映子さん」第9巻レビュー

ぶっちゃけさあ「邦キチ」って何の漫画なんだろう。
第1話で映画の知識が「大ヒットした洋画」に限定される薄い議論しか展開出来ない男が映画同好会を立ち上げたら
「ヘンテコな邦画」しか観てない1年生の女子・邦吉映子(邦キチ)が入部希望して異常なプレゼンを展開,
男…今や部長…を圧倒するものの彼女の話を最後まで聞く…という本作の基本フォーマットが確定する。

その後「アジア映画」に特化したヤンヤン,「男同士のクソデカ感情映画」に特化したマリア,
「特撮映画」に特化した御影,果ては「(プリキュア映画とかの)女児アニメ映画」に特化した早乙女を
レギュラーに加えつつも基本は「映画プレゼン漫画」有体に言えば「邦キチが部長に映画をプレゼンする漫画」だった。

だが実際,邦キチは恋愛的な意味で部長の事をどう思っているんだろう。
第1話で邦キチは自分の映画のチョイスが変わってて人から理解された事がないと嘆いていて,
部長の唯一の取柄と言っていい「人の話を決して否定せず最後まで聞く」姿勢から発する
「私(わたくし)の話を最後まで聞いてくれた」即ち「私を受け入れてくれた」事に感動して正式に入部している。

そして本巻で邦キチは部長の実家に部長を伴っておしかけ部長の父親と懇意になって,
そのままお泊りする模様が何と5話に渡って繰り広げられる。
勿論邦キチなのでヘンテコな邦画のプレゼンは続けるが読者にしてみればプレゼンなんて全く頭に入らず
発狂したマリアの如く「我々はおふたりの関係性に尊みを感じて興奮したいんですよ!」の一言に尽きる。
だから本巻に限っては「ヘンテコな邦画をプレゼンする漫画」ではなく青春漫画と言うかラブコメ漫画と言うか
「邦キチは部長の事をどう思ってるのか」を相当突っ込んで描写してる番外編なのだ。
なのでヘンテコ映画のプレゼンが聴きたい向き・邦キチと部長の恋愛模様などどうでもいい向きには本巻は詰まらないと思う。
非常に「人を選ぶ巻」なのだ。

取り上げてる映画で知ってるのは「さかなのこ」「ククルス・ドアンの島」「逆襲のシャア」
「DAICON FILM版帰ってきたウルトラマン」(描き下ろし)の4本。

「DAICON FILM版帰ってきたウルトラマン」のプレゼンは特撮部の御影が行うのだが
インドネシアの特撮映画「サトリア・ヒーローズ:暗黒の逆襲」の回でも思ったのだが彼の特撮知識は狭く薄く,
要するに「詳しくは島本和彦先生の「アオイホノオ」を読め」の一点張りで読み応えは全くない。
島本先生への丸投げで済むなら,お前のプレゼン要らねえじゃん!
部長の岡田斗司夫評も「YouTubeにやたら出て来る人」止まりで後は推して知るべしって感じ。
こんな事で「聞きかじりの知識で映画を語る高校生らしさ」を演出されてもなあ。
おそらく邦キチ(って言うか服部昇大先生)は「シン・仮面ライダー」もいずれプレゼンするだろう。
特撮部も参加するだろうが,この調子では年季の入った特撮ファンには「薄く」感じられるだろうと思う。

本作品を愛読しているが本巻はハッキリ言って詰まらない。
邦キチと部長の「恋の行方」が知りたい方ならオススメって感じです。

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