TVムービーパイロット作品「人造人間クエスター」レビュー
天才科学者バスロビック博士(リュー・エアーズ)が設計した人造人間クエスター(ロバート・フォックスワース)の完成が間近に迫り,後は大学提供の一般常識に関するテープを入力し,起動を待つのみとなった。
だがクエスター計画の参加者にしてバスロビック博士の愛弟子でもあるジェリー・ロビンソン(マイク・ファレル)は当初の計画通りバスロビック博士が作成したテープを使用することをクエスター計画最高責任者ダーロ(ジョン・ヴァ―ノン)に進言する。
だがバスロビック博士は神隠しの如く失踪してから行方は杳として知れず博士の真意を確かめるため彼の残したテープの内容の解読を試みたが失敗しテープの内容の一部が消失している。ダーロはジェリーの進言を却下し大学提供のテープを使用した。
だが一向にクエスターは起動せず止む無く不完全なバスロビック博士のテープを使用した。だがしかし,それでもクエスターは起動しなかった。クエスターが何故起動しないか検討するために実験室を退出する一同。だが誰もいなくなった実験室でクエスターは不完全な状態で起動した。実験は成功していたのだ。クエスターはジェリーの元に赴きバスロビック博士の所在確認のため同行を依頼する。だが不完全な人造人間クエスターは人間ならば誰でも持っている喜怒哀楽の感情がなくバスロビック博士が何故自分を創造したのかも分からない。
唯一の手がかりはイギリスに屋敷を構えるヘレナ・アレキサンドラ・トリンブル(ダナ・ウィンター)とバスロビック博士が何らかの交流を持っていたことだけだ。クエスターとジェリーはふたりしてロンドン行きの旅客機に乗り込むのであった…。
本作品は映画ではなくテレビドラマのパイロット版として製作された。総指揮・原案・脚本は、「スタートレック」の生みの親ジーン・ロッデンベリー。 音楽はギル・メレ。一部のメロディラインが同じくギル・メレが音楽を担当した「事件記者コルチャック」のメロディラインと酷似しているのはまあ御愛敬である。
本作品は1974年にテレビ放映されたが視聴率が振るわずテレビドラマ化されなかった。本邦では1977年にNHK総合で初テレビ放映された。
その際の邦題は「人造人間クエスター」であったが僕は民放で視聴した。その時の邦題は「改造人間クエスター」だった。記憶違いかとも思ったが,この僕が仮面ライダー(改造人間)とキカイダー(人造人間)との見分けがつかない訳がない。先に述べた通りクエスターは不完全な人造人間なのでその意味においても本作品の邦題は「人造人間クエスター」が「正しい」のだ。
クエスターの声の出演は家弓家正。神業のような演技力に唸る。
本作品におけるクエスターの行動をみると警備員の昏倒のさせ方,カジノでのサイコロ振りの妙技,また直截な描写こそないが女性に対する「寝技」の機能を有しているところはクエスターが「新スタートレック」のデータ少佐の「原型」であることが分かる。
またヘレナ・アレキサンドラ・トリンブルという名前はスタートレックファンクラブ会長のビジョー・トリンブルが元ネタとなっている。
本商品の画面比は4:3のスタンダードサイズで正直画質はあまり良くない。だがスタートレックファン必携のアイテムと言える。
Amazonで千円強で吹替搭載で購入出来る。