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【ショートショート】ギュウドン

うちは親父の代から続く牛丼屋である。

小さい店だが味には自信がある。

チェーン店には負けない。

しかし、この一年。

我が店は経営のピンチに陥っている。

理由は明確。

常連となった3人の男によるものだ。

一人目はコードネーム「ネギ」。

細身の男で気の強いやつだ。

毎回決まって牛丼並のネギだくを頼む。

ネギを多めに出してやるが「足りない!もっとだ!」と駄々をこねる。

結局いつも米の量と同じくらいのネギを要求してくる。

二人目はコードネーム「紅」。

メガネをかけた知的な風貌だ。

こいつは毎回、牛丼並と玉子を頼む。

加えてトッピングとして各席に置いてある紅しょうがを全て使い切る。

その量はだんだんと増しており、先日などはついに別席の紅しょうがに手を伸ばしていた。

そして三人目はコードネーム「ワリバシ」。

関取のような巨漢の男だ。

いつも牛丼特盛を注文してくれる上客だが、この男はとにかく不器用なのだ。

割り箸が一回で割れず、毎回20回以上失敗する。

いつも割り箸が使用可能な形で二つに割れたとき、既に牛丼は冷め、配膳盆は折れた割り箸の山となっている。

この三人によってうちの店はジリジリと倒産に追い詰められている。

私は一体どうすればいいのだろうか?

✒あとがき

読んでくださってありがとうございました!

うどん屋で「なんで牛丼を置いてないんだ!」とキレ散らかす人を見で思いつきました。

牛丼屋なら交差点の向かいにありますよ。

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