NEMURENU39thテーマ決定

(追記20210710)

ご挨拶

眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー第39集のテーマが決定致しました。

経過を公開しておりましたので、既にご覧になった方も多くいるかと思います。
これより発表致しますが、結論を急くのは野暮に思いますので、先ずは季節に因んだお話でも。

「稲川淳二の幽霊は足が速い」
最近、ずっと稲川淳二の怪談を聞いているのですが、幾度も繰り返し語られた噺は名人芸の域に達していて、「間」を活かし乍らも、語り口調が迚も速い。話慣れ過ぎて、口が勝手に動くというか、テンポが早くなっちゃうんですね。

この高速語りは幽霊が出る場面でも変わらない為、登場する幽霊が矢鱈元気が良い。

「耳を澄ませるとナニカが聞こえて来るんだな」と言って耳を澄ますと、次の瞬間には

ザッザッザッ!
等と16ビートで幽霊が登場する。

「確かに聞こえる…ザッザッザッ!ドンッ!ブワッ!うわ!ほら来た!驚いて、振り返った其処には…!」

稲川淳二の幽霊は足が速い。
と、いう話。

しかし、不思議な事があるんですね。
若手怪談師たちがみんな稲川淳二を崇拝してポスト稲川淳二を目指しているのに、この語り口を真似する人間が誰も居ない。他の怪談師は、まあ一般的なアレですよ。
4ビートなんですね。

「そうするとね…、何かが…聞こえて来るんですよね…。…ザッ…ザッ…ザッ…」

「ザッザッザッ!」と「…ザッ…ザッ…ザッ…」
この稲川淳二と他怪談師の乖離は何だろうと不思議に思っていたら、「怪談界の生きる伝説  桜金造」の言葉に答えがありました。

「怪談はねえ、元気に話さないと駄目なんだよ。みんな静かに話したいだろうけどね。漫才と一緒だから、内容がつまんなくても元気が良いと、聞いてて楽しいんだよ」

聞いてて楽しい。
これ、ですね。つい我々怪談師は雰囲気出そうとして静かにお話してしまいます。それはお客さんに怖がって欲しいから。しかし大御所は根本的に違った。お客さんに元気になって欲しいんです。だから稲川淳二は元気に喋るし、登場する幽霊は生命力に満ちている。最近、稲川淳二師匠も70歳を超えて、平素の喋り口調が穏やかになりましたが、噺の時は違う。漲っている。その活力に会場が呑まれる。

稲川淳二の師匠たる所以はここだ、な。と思った次第です。

今日の教訓は「怪談を話す時は元気よく!」でした。
話のついでに桜金造が他にも良いことを言ってました。
「上手い奴の分析してもダメだ。上手いだけになるから。時々いるんだ、上手いけど、それだけ。ってのが、逆もいるよね。下手なんだけど、面白いって奴。写真でも、漫才でも、芸術でも何にでもいる。(竹書房主催、最恐決定戦2018 怪談を話終えた桜金造に若手が挨拶した時に言われた言葉)」

「上手い」と「面白い」は違う。目から鱗の落ちる話です。「面白さ」を追求しなければなりません。

と、季節を感じた所でテーマの発表です!

次回テーマ発表

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次回テーマは
「明日、地球が粉々になっちゃうんだって」

ワオ!
また奇抜なテーマに決まりましたね!
超限定的!

みんなで「明日、地球が粉々になる」話を書く訳ですね!一体、幾つの地球が壊れるものか楽しみです。

私も散々作品を書きましたので、どんなテーマでも書いたつもりでおりましたが、「明日、地球が粉々になる」話はまだ書いた事がないし、読んだ事もありません。これは楽しみです。フィリップ・K・ディックの小説で水槽の中で「地球」を育てる話があった気がします。うろ覚えですが。

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ところで

ところで。

先日、さる方から「どうやって小説書いてるんですか」と尋ねられましたので、私の小説の書き方をご紹介します。

私が小説を書く目的は至極単純で、小説は私の願望を叶える夢装置。自分が経験したい事を小説にしています。
ですから私の創作メモを見ると…

・激辛カレーを食べて発汗したい
・砂漠で遭難して奇跡の生還を果たしたい
・ライオンから褒められたい

等と数々の願望が羅列されております。
私は友達がおりませんが、小説の中なら友達が100人できますし、ガールフレンドだって100人できます。深海に行くことも宇宙に行くこともできます。私は旅行が好きですが、実際に行く旅行よりも遥かに冒険と活劇と愛と浪漫に満ちた旅行に行くこともできます。小説って素晴らしいですね。
これらの中から幾つかの主題を拾って肉付けします。

肉付けする為の小道具も書き溜められております。

・水族館
・ラプラスの悪魔
・テンガロンハット
・落花生
・ワニ
・真鍮

などテンションの上がる言葉がストックされており、

これらを繋げると
真鍮で設えたドアノブが印象的な謎店で激辛カレーを食べたら、いつの間にか砂漠に来て、テンガロンハットを貰い受け砂漠のガンマンに変身した所でラプラスの悪魔を味方に付けてワニに乗って旅する話。砂漠の真ん中に水族館を作ってライオンから褒められます。ワニは餌を食べながらでないと移動してくれないので、肉片を要求されて困ります。落花生も無くなって後は自分を切り刻むしか…。

のようなものが出来上がります。後は書き方のテンションを落とさずに楽しんで書くことを心掛けています。自分に嘘があると楽しんで書くことが出来ません。
自分自身が楽しむ為に、自分の願望に向き合うことを大切にしています。
と、何かの参考(?)になれば。

次回、NEMURENU39thのテーマは「明日、地球が粉々になっちゃうんだって」の締切はおよそ月末です。
皆様のご参加お待ちしております!
ハッシュタグ「ネムキリスペクト」をご利用下さい。(念の為、当記事コメント欄でも教えて下さい。)

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