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MBTI:感覚と直観が分からない ~マイルドなSTタイプと尖ったNTタイプ~

【初めに】

MBTI関連の話題を見ていつも感じるのは、NTタイプとSTタイプ、どちらも等しく思考型であるはずなのに、前者により明確な思考への志向を感じる点だ。これがINTタイプとISTタイプならもっとそうなる。本稿ではそうした事例をピックアップする。

【詳細】

MBTIに於けるSTタイプ(ESTJ·ESTP·ISTJ·ISTP)とNTタイプ(ENTJ·ENTP·INTJ·INTP)はどちらも等しく感情に対する思考優位のタイプだが、後者により濃い思考への志向を感じざるを得ない。実際、以前、

でも

  • 例えばMBTIに於けるNFタイプ(ENFJ・ENFP・INFJ・INFP)は定義に違わぬ直観的人間に見えるが、NTタイプ(ENTJ・ENTP・INTJ・INTP)は必ずしも直観的ではなく、寧ろSTタイプ(ESTJ・ESTP・ISTJ・ISTP)の思考の部分が先鋭化したタイプの如くに見える。

と述べた。そこで断片的であるが、MBTIに於けるタイプの記述を拾ってみよう。先ず、Myersから(大沢武志・木原武一訳、人間のタイプと適性、リクルート、1982)。

  • 時には、ISTJタイプの人はその支配機能と補助機能を超えて自らのタイプを発達させ、第3の機能である感情を追加し、これを人間関係、特に身近な友人との関係に活用する事もある。

  • INTJタイプは、バランスが良く取れていても、他人の考えや感情を無視し勝ちである。······その批判力は個人を離れた問題や自分自身に向け、幾分かの感受性(感情と迄は言わないが)を発達させ、これを他人に用いるよう努力するのが良い。

一部のISTJが感情を発達させているのに対し、INTJはまだ、感情に対するアドバイスを受ける対象になっている。とすると感覚には感情の発達を促進する、直観には抑える働きがあるとは考えられないだろうか。次はKeirseyだ(人間x人間 セルフヘルプ術、小学館プロダクション、2001)。

  • ISTJ型の男性は、男だけの集まりを好み、男同士の時は異なった言葉遣いをする。······ボーイスカウトの様な若者に伝統的な価値観を伝える地域社会の活動に関わる傾向が強い。······他のSJ型と同じ様に、ISTJ型は結婚式や祝日の宴会、誕生会等の様な慣習に従って行われるお祝い事に参加する事を特別に楽しみにしている。

  • [ISTP型は]仕事では一匹狼の様に見えるが、遊びでは同じ様な仲間と一緒に行動する事が多い。登山家、レーサー、飛行家、ハンター等動きのある事が好きな人は、一般的に仲間同士でいる様だ。

  • 社交の場でも、INTJ型は受け答えが少なく、人間関係をスムーズにする為のちょっとした習慣や心遣いにも疎い。······またごく限られた人間以外とは肉体的な接触を嫌う。

  • INTP型を放って置くと、本の世界に埋没し、物理的な必要が生じない限りが出て来ないかもしれない。思い出させてあげないと約束や記念日、日常の生活習慣も忘れ易い。······感性よりも理性が発達しているので、人の期待や要求にも鈍感で、それが存在する事に気付かない事さえある。

 ISTJやISTPは、仲間内ならばある程度、IとTからは想像出来ない社交性を発揮するし、特に前者は儀礼的な交際にも強い。これに比べINTJやINTPは非社交的、即ち極端に思考的であると同時に内向的でもあり、その態度は漫画に出て来る科学者の様だ。

こうしたISTタイプとINTタイプの差を、外向的なETJタイプも引き摺っている様子だ。また「人間x人間 セルフヘルプ術」を覗いてみよう。

  • [ESTJタイプは]人付き合いも伝統と慣習に従って臨む。人間関係を円滑にする方法やルールを作って和をもたらし、不平不満が出ない様にする。家族の伝統行事も大切で、喜んで参加する。特に友人や昔の同僚、親戚達に会う機会のある送別会、ピクニック、祝日のパーティー、結婚式等の行事が大好きだ。

  • ENTJ型にとって配偶者あるいは親としての役割は重要ではあるが、強いキャリア指向の為、それらの役割は、後回しにされる事も多い。ロマンティックな恋愛や理想的な相手を求める等と言う事には余り関心がないのだ。······ENTJ型の男性は、パートナーが自分と同じ程度の学歴と社会的教養を持ち、地域活動等に熱心である事等を要求する。

上の記述に見るESTJタイプは文句なく社交的な人柄である。これに比べENTJは外向型であるから、INTJやINTPに比べ非社交的ではないが、それでも恋愛に興味を持たない等、人生の私的な部分を何処かに放擲しているかの如くである。特に考えないといけなのはENTJがパートナーに「地域活動等に熱心である事」を望んでいる箇所。この調子では、ENTJタイプは地域活動に熱心だから、パートナーにも付いて来る事を望んでいる、のではなく、仕事に疲れ果てて地域活動なんて到底、考えていられないからパートナーに押し付けようとしている、と考えるのが自然だ。なお外向型のNTタイプに関しては、今は消えたKeirseyのホームページ(http://users.viawest.net/~keirsey/difference.html)にもこんな記述があった。

  • The Fieldmarshall [=ENTJ] is not "extroverted" very much, and the Inventor [=ENTP] is even less. Sure, both the Fieldmarshal and the Inventor can be "gregarious" or "not shy", in fact they can be sometimes overbearing. They are usually pretty friendly at parties and open to people to some extent. Although they don't have to be. Moreover, if Fieldmarshal is finding a particular person "boring" (and that can be in a few seconds) he quickly will find any excuse to exit the scene very quickly or rake the person over the coals, so to make sure that person realizes he is not considered worthy. So the Fieldmarshal is an "extrovert" with a purpose (they are pragmatic -- their sociability is often contingent). Sometimes that purpose can be very narrow, such that the common notion of "extrovert" is not well suited for the Fieldmarshal. Same is true with the Inventor. The Inventor often appears like an Artisan Promoter, always interested in having an "interesting" time. Only the difference is the Inventor is "looking" for new experiences, new ideas, or some way to promote his ideas, so those who don't help in this endeavor are quickly cast off. That is, the Inventor is an "extrovert" with an interest (outer-directed might be a better term), and that specific interest often being so narrow that the term "extrovert" is misleading. Although in casual acquaintance they appear to be "extroverted."

ENTJやENTPは何らかの目的を持たぬ限り、日常語的な意味での"外向型"にはなれない、とするのがKeirseyの考えだ。ESTJやESTPに対してはこうした記述はない。最後に、L.Thomsonにも、NTタイプがより思考型的に見える、と思っている雰囲気がある(Personality Type、Shambhala、1998)。

  • Of all the types, ENTJs are probably most inclined to separate the cerebral from the feeling level of life.

  • They [ITPs] need to be part of a process --- the dialogue between a situation's structural potential and its material realization. One can see this more clearly in the INTPs, because Intuition pushes them to explore the idea of structural potential in its own right. This is why such types seem more conventionally rational than the ISTPs. Such types will talk about the relationships between form and context, and they'll wrestle with its implications by way of architecture, design, systems analysis, or the physical sciences.

上はENTJ、下はINTP。cerebralやrationalはSTタイプよりもNTタイプに似合う、とでも言いたげだ。

猶、Keirsey流MBTIの性格の記述に関する追伸だが、どうもENTPに関する解釈を最近変えた様だ。先ず、「人間x人間 セルフヘルプ術」のENTP像。

  • ······明るく、直観力もあるこのタイプは、社会的な人間関係にも、或いは発明や機械の分野にも、想像力豊に対処出来る。

  • ······そのユーモラスで楽天的な物の見方では周りにも感染し、人はこのタイプと一緒にいる事を楽しく感じる。

  • 家庭でのENTP型は活気に満ちた生活空間を作る。人といるのが好きで、陽気で良く笑い、ユーモアのセンスも備えている。

  • またこのタイプは活気のある友達の輪を持っており、友人の考え方や行動に感心を寄せる。いつも気楽な態度で接し、友人に対し、批判的になったり否定的になったりする事は滅多にない。

実に快活で社交的な人物像だ。INTJやINTPでは顕著に、ENTJでも隠微な形で現れていた、人間関係に対する無関心さはENTPにはない。しかしPlease Understand Me II (Prometheus Nemesis 1998)では、ENTPの異なる側面が抉り出されている。

  • ······Inventors have little desire to be in command of others and are quite content to go on engineering in their labs and workshops for the rest of their lives. Thus, even though their prototypes are directed out into the world, and in this sense they can be said to be "outgoing," ENTPs can go unappreciated by their leaders and unsung by the public at large.

engineeringやlabという言葉が思考を連想させるが、ENTPは人を動かす事に関心を持たない様子だ。最後にイブリース。

  • T型は思考型、F型は感情型という翻訳がされることが多い。これは極めて誤解を生みやすい表現である。思考型の「物事をじっくり考える」というニュアンスは、T型がというよりもN型の方がしっくり来る。

思考と直観が似ている点に言及している。本来、S/N特性はE/I・T/F特性とは独立している筈であったが、さて、真実はどうだろう(心の声:フォントや色で表現力を高めたいところだったが)。

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