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関係人口ってどんなひと・・・?

takayamahubを始めてから関係人口という言葉を意識するようになりました。

ところがこの言葉、2018年に総務省が使ったことで広まったそうですが、比較的新しい言葉だからなのか、なんとなく曖昧…。
「関係人口ってどういう人のこと?」とか、「なんとなくよさそうだけど、実際地域にどんなメリットがあるの?」などがぼんやりしており、関係人口という言葉をこれまでなんとなくでしか捉えていませんでした。

一方で、「私は高山村の関係人口です」なんて自己紹介を(面倒くさいから(笑))サクッとすることもあり、一度きちんと勉強しておこうとこちらの本を読んでみました。

関係人口の研究で国内第一人者、島根県立大学准教授・田中輝美先生が書かれたもの。
この本を読んで「なるほどー」と腑に落ちたこともあったので、何回かに分けて書いてみようと思います(気が向いたときに…)。

「観光以上、移住未満」?

関係人口の説明として、よくこのように例えられたりします。
内閣府のこちらのページでもこの表現が出てきますね。

この例え、なんとなくわかるし、感覚的には確かにそんな感じだろうなーと思うし、うまく言ったなーとは思います。
だけど、じっくり考えてみると「わかったようで、わからない…」という違和感をもっていました。

違和感の一つ目は、観光、関係人口、移住の関係を「以上」や「未満」で比較することで、これらが繋がりある一連の流れにみえる点。
確かに観光をきっかけにその地を好きになり、何度も足を運ぶうちに関係人口となってやがては移住へ…というような移り変わりはありそうです。
もしかしたら比較的多いケースなのかもしれません。
でもきっとそれだけじゃないよね、とは思います。
例えば、仕事でその地に来る人や、実家や親戚の家があるから来る人など、観光とは異なる入口から関係人口となる人たち。
そう考えると、なにか一部の側面でしか物事を見れていないような、そんな違和感をもっていました。

二つ目は、「観光と関係人口の分かれ目は?」という疑問。
先の定義を見てみると、関係人口と移住との関係は“未満”で移住者を含んでいません。
たしかに「住んでいたらその地の人であって関係人口ではないよね」とわかりやすいです。
一方、関係人口と観光との関係は“以上”であり、関係人口と観光客が重複しています。
「観光客でも何度も何度も訪れているリピーターはもはや関係人口?」という気もするので、あえて「『以上』で重ねたのかな」とも思うし、うまい例えだなーと思います。
でも果たして本当にそう?
観光客と関係人口をわける何かが実はあるんじゃない?
そんな違和感をもっていました。

関係人口とは「特定の地域に継続的に関心をもち、関与するよそ者」

この本の中では、関係人口についての過去の定義を振り返り、最終的にこのような表現を使われています。

この定義にふれ、一つ目の違和感はスッと消えてなくなりました。
観光や移住といった具体ワードを使わずに定義されているのがいいですね。
関係人口への入り口について、観光に限らず多様なケースが含まれる表現。
とっても共感できました。
なお、この本の中でも紹介されていますが、総務省の下記ホームページでは「地域内にルーツがある者(出身である、親戚がいる等かなと思います)」、「何らかの関わりがある者(過去の勤務や居住、滞在等)」も関係人口の一形態として示されていました。

ここでも観光(交流人口)、関係人口、移住(定住人口)を一つの絵の中で表現しているけど、「地域内にルーツがある者」や「何らかの関わりがある者」を関係人口においていることから、これらを「繋がりある一連の流れ」とみる必要はないのかと思います。
また、私は「その地に来る」ことを関係人口の条件の一つと無意識に思っていましたが、先の定義ではそうは限定していません。
関心をもち、関与するよそ者であれば、その地に足を運ばない人も関係人口になり得る。
そこでネットを検索してみると「オンライン関係人口」なるキーワードも散見されます。
なるほど、コロナ禍を経ての社会変化をふまえると、現地に足を運ぶことにこだわらない人と人とのつながり方も確かにあるよなーと。
ここは私にとっては気づきでした。
ふるさと納税で地域を応援する人なども、足を運ばないけど地域に関与する関係人口の一つのカタチかもしれません。

二つ目の違和感についても定義に「関与する」というワードが入ったことで納得でした。
観光客は、その地の食や景観などの観光資源を楽しんで帰る、地域からはもてなしを受ける立場の人という印象です。
だから、どれだけリピートしようと、地域からするとあくまでお客様。
ところが「関与する」となると話は別、そこには自ら地域に関わろうとする積極性、主体性が宿ります。
この「地域づくりに関わる態度」こそが観光客と関係人口を分けるのだろうと思いました。
この本の著者である田中先生はこちらのインタビューで次のように語っています。

「住人でないのは交流人口(=観光客)も関係人口も同じですが、交流人口(=観光客)は消費者としてお金を払い、地域からおもてなしされる存在。一方、関係人口は一緒にイベントを運営する側に立ち、打ち上げにも参加するような感覚なのが違い」

なるほど、わかりやすいですね。

関係人口とは、特定の地域に継続的に関心をもち、関与するよそ者。
この定義にふれて、もやもやしていた頭の中がかなりクリアになりました。
加えて、「私は高山村の関係人口です」と自己紹介しても嘘ではなさそうだな、と妙な自信がつきました。
これだけでもこの本を読んでよかったかも(笑)

また他にも、なぜ地域にとって関係人口が必要なの?とか、関係人口の役割は?など、色々と頭の整理をできましたし、これらを通じてtakayamahubの現在地や今後の道筋もなんとなく確認できました。

このあたりはまた別途書いてみようと思います。


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