死と宗教にまつわる知識を書物から抜粋
今回の記事のテーマは人生100年時代の死に関する素朴な疑問を多数取り上げ、宗教学者の視点でやさしく解説された本「しししのはなし」を読んで面白かった部分を抜粋してご紹介したいと思います。
死ぬのが怖い動物は人間だけ。他は生きているのに必死。食べられてしまうから。考える余裕がまずない。
宗教と科学は互いに介在しないで尊重しあうべきもの。
旧約聖書には死後の世界の記述はない。
新約聖書には死後の世界の存在と最後の審判の記述がわずかにある。
コーランには天国と地獄がくわしく書いてある。
生者必滅=確実なこと
死の悲しみは時間しか消してくれない。
ずかずか近づくと相手の心をずたずたにする。
心の闇という言葉は嫌い。心そのものが闇。心を知ることは悟り。心をありのままに、ましてや他人の心を知るなんてできない。
サバイバーズギルトとは生き残った人が「生きていてごめんなさい。代わりに私が死んだら良かった」と罪悪感を持ってしまうこと。
人間は生まれるとまず母、次に父、兄弟姉妹、成長してくると血のつながらない他人との関係が生まれてくる。
孤立していない。互いに交わり連鎖している。影響を受けると同時に与えている。あなたが死ぬと負の連鎖が始まる。あなたの関係のあった人がサバイバーズギルトになる。
自死はほとんどがうつの人がやってしまうこと。
死にたい人への対応は千差万別でマニュアル化できない。
生活のリズムが整っていない人が死にたがる。起きる時間、寝る時間、食べる時間、トイレ、食生活が貧弱で乱れている。
自殺は悪い事か・・・親しい人々に重くて消えにくい苦痛を与える。悲しませる。それが悪いことであるならば、悪い事である。
自分の生命が自分のものという考え方は近代になってうまれたもの。それまでは自分と自分に関わりのある人たちによって共有されていた。
キリスト教・・・命は神のもので好き勝手にできるものではない。
仏教・・・人も世界も原因無しにおのずから生じた。
自殺はいつかの未来と自分のつながりをたってしまう。過去のつながりは自分でわかっている。
古の美化された自殺。切腹、心中、殉死。
厭離穢土 欣求浄土 けがれた此の世を一刻も早く逃れて永遠の理想郷とされる極楽浄土へ旅立ってしまおう。
心中。現代のネット心中。残された子が不憫だからと無理心中。心中を美化している。日本は自殺を美化している。日本はネット心中が多い。アメリカや韓国のほうがネット普及しているのにネット自殺少ない。
教義ゆるいカトリックには自殺少ない。厳格なプロテスタントに自殺多い。
食う寝る遊ぶが大事 遊ぶが不足している。ネコの生き方が理想。人は遊びが足りない。
ホッキョクグマは赤ちゃんを2頭産む。1頭は保険。最悪のケースで餌が不足したら母熊が子熊食う。次の年まで生き延びてあらためて産む。
スカンジナビア半島のフクロウはネズミを餌にしている。餌が多い年は卵を2つ産む。
餌が少ない年は2日おきに7個産む。最初に孵化したひなが次のひなを食う。そして最後に一羽だけ生き残る。
大岡昇平 野火 人間肉食の記述がある。
68万年前の北京原人がハイエナに食われて死んだ化石がある
新約聖書 ルカによる福音書 第七章34節 イエスキリストは大食漢でおお酒飲みだ という記述ある
チベット密教のミラム(夢)を使って悟ろうとする修行方法で夢と現実を混同してはいけないと警告している
死の気配を感じた時にすべきこと
食う 寝る 遊ぶ
遊ぶ 食う 寝る
遊ぶ 寝る 食う
でもいい。とにかく遊びを大切にする。酒を飲んでも良い。
大正時代の日本人の平均寿命は45歳 20代が結核でばんばん死んだから
人はおかれた環境によって180度感じ方が違う。
健康・元気・平和で安全な国の人は毎日死につつあると感じている。
不健康・病気・戦争とか危険な国の人は毎日生き延びつつあると感じている。
癌とかになって余命宣告されたら延命治療と痛みの緩和ケアするかどうか2つ決めておくべき ウソでも良いから家族や友人にありがとうをいっておくと残された人が救われる
皮膚は28日で入れ替わる。骨は半年。肝臓は150日。
アニメミンキーモモの46話で主人公が交通事故死する。
石は生命のあるものと生命のないものの境に位置していて、特別な霊力があると信じられていた。
丸石、陰陽石、賽の神、境の神、道祖神、岐(ふなど)の神
セム型一神教(キリスト教とか)は人は死ぬと天に召される、霊魂と肉体は全くの別物、死ねばすぐに霊魂は肉体と離れるとされる。
死という鎧に照らし出されて生は初めて本当の姿を現す。
生はつねに現在進行形で止まることがない。止まる時は死ぬ時である。
孔子「いまだ生を知らずいずくんぞ死を知らん」
ブッダ「生とは苦悩である」
孔子やブッダでもわからないんだから、ごく普通の人間が生の意味を正しく理解したり、把握したりできないのは当たり前。そう考えると少し気が楽になる。
参考文献
しししのはなし 宗教学者がこたえる 死にまつわる<44+1>の質問 単行本(ソフトカバー) – 2018/8/1
正木 晃 (著), クリハラ タカシ (イラスト)