読書メモ(罪深き女)
◆作者と概要
・作者は湊かなえ。短編集「ポイズンドーター・ホーリーマザー」の1つ。ぼろアパートで母親と2人で暮らす主人公の幸菜は同じくぼろアパートで母親とくらす黒田が母親から虐待を受けているのではないかと感じていた。また、隣からいやらしい声が聞こえてくる中で家の外で一人でいる黒田を見て確信した。雪菜が中学生になり、自身の結婚の失敗から異性交遊に敏感で過激な母親からの嫌がらせで精神的に参ってくる雪菜はどこか自分よりも恵まれていない環境にいる黒田が心の支えとなる。そして幸菜が耐えきれなくなったことを黒田に伝えたその日アパートが火事になるのであった。そこから少し時は過ぎ黒田は無差別殺人を起こすのである
◆感想
・実は黒田一家の悲劇が幸菜の母親の嫌がらせが故に起こったという事実と、幸菜が想像していた事実は黒田一家では起こっておらず、また幸菜が思っているような感情を黒田は全く思っていないむしろ気にもとめていないということがのちに明らかになり驚愕した。自分が思っているより世の中は酷くなく、実は自分が捉えているよりも自分が与えている影響は大きいという事実に気づかされる作品だった