読書メモ(絶唱)
■感想
・本作の最終話「絶唱」が湊かなえのノンフィクションストーリーという書き込みを見て妙に納得した自分がいた。1つの事象を多面的に捉える書き方や感情の変化を細かく生々しくかく描写はどういった人生を元に形成されていたのだろうと思っていたからだ。「絶唱」における主人公の「誰の一番にもなれない自分」や「相手のために行動できない自分」という悩みは現在進行形で自分も抱えており湊かなえがこの問題にどう立ち向かったのかトンガでの出来事以外も非常に気になった。
■作者と概要
・作者は湊かなえ。本作は「楽園」「約束」「太陽」「絶唱」の4つから構成されており、トンガを舞台に「最後に見たあの人の顔」「取り消せない自分の言葉」「守れなかった小さな命」「今も囚われている約束」に対する喪失と再生を描いたミステリー。阪神淡路大震災が裏のテーマとなっている。
■よかったインプットメモ
・言葉は態度は自分が考えているより他人に影響を与える。本作での「楽園」震災で亡くなった双子の姉妹に対しての母の言動により歪んでしまった主人公の自我などその場で感情的になって発した言葉が相手の人生を左右するほどの影響力を持ち、人生に多大な影響を与えることを忘れてはいけない。
・小説を読むことで内省が深まることがある。「絶唱」の中で主人公のいつも+1の存在でいる自分に対する嫌悪感と誰かの一番になりたいという憧れとそれが故にどこか一歩踏み込めず俯瞰的になっている主人公の存在が仲のいい3人グループの中で描かれていた。ふと小学生中高学年の時の自分も同様の状態があったなと思い、俯瞰的になる自分の存在の原点を家庭環境においていたがもしかしたら小学生の友人関係の中での人格形成だったのかもと内省になった。
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