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PTAの役員(仲間)集めはドラクエであるべし

PTA会長6年目になります。
その経験から、役員決めにまつわる誤解と、もっと楽に、そして楽しくするコツをお伝えします。

役員決めがツライって感じてませんか?

PTA会長の前に、保育所の保護者会の会長をしていました。もともと「PTAは任意加入であり、入会届の整備は必須」ということは、そのときから知っていました。その根拠として、最初に参考にしたのが木村草太先生の朝日新聞の記事でした。

私は仕事柄、法律遵守を求められる立場にあり、「法に触れることはできない」という倫理観を持っています。そのため、「必要なものは整える=任意加入の仕組みを整備する」というのは当然のことだと会長を拝命する前から考えていました。

そして、会長4年目の春に入退会を明記して「任意加入の周知」を実現しました。

それは、
PTA会員になる/ならない
だけでなく、
役員になる/ならない、も含みます

役員になるも、ならないも自由とし、選考委員なし、他薦なし、完全手上げ制にした今では、役員決めは手間はかかるけど、苦しいものではなくなり、むしろ楽しく感じるようになりました。

一方、近隣のPTAでは「役員が決まらない…」という嘆きが秋から冬にかけて必ず聞かれます。逆に任意加入を周知したうちのPTAでは、役員選出に困ってません。
ではなぜ、「完全手上げ制」にしたウチのPTAでは、役員選出に困らなくなったのでしょうか?

「任意加入にしたらPTAが崩壊する?」という誤解

強制をなくし、任意加入であることを周知し、入退会の自由を認めたとき、多くの人が次のような不安を口にします。

  1. 人が集まらないのでは?

  2. 役員や委員を引き受ける人がいなくなるのでは?

  3. PTA自体が存続できなくなるのでは?

  4. (それでPTAがなくなったら、自分たちのせいにされるのでは?)

こうした不安から、任意加入の周知に踏み切れない、、という声をよく聞きます。
その裏には、「みんなで平等に負担するという建前のもと、今まで通りのやり方を続けたほうが楽」という心理が隠れています。「変えるモチベーションも時間もない」「強制は必要悪」と考えてしまうのです。

でも、もし訴訟になったら矢面に立つのは会長

「強制は問題だ」と理解している会長は、まず執行部の役員や学校に相談することが多いでしょう。しかし、前述の「不安4項目」が頭をよぎると、多くの学校や役員はこう言います。

🗣「今すぐでなくてもいいのでは?」
🗣「少しずつ進めましょう」

なぜなら、PTAでは1〜2年をやり過ごせば役員は交代し、先生は異動する可能性が高いからです。
つまり、「わざわざ自分が動いて火中の栗を拾う必要はない」と考えてしまうわけです。

制度を変えるには、大きな労力とエネルギーが必要ですし、不安も大きい。だから、どうしても尻込みしてしまいます。

では、どうすればいいのでしょうか?

ここで大切なのは「PTA役員になる場合の心理的安全性」を確保することです。
くわしく言えば、PTAの魅力と意義は伝えつつ、役員になるかどうかの選択の自由は相手に預け、会長のお誘いを断っても不利益はない、と言い続けることです。


「すべては楽しい仲間づくり」という原点に立ち返る

PTA活動、楽しめていますか?

これまでも「PTAをやってよかった」という話はよく聞きます。でも、やり方を変える前、私の周りでは「やってよかったけど、来年はやらない」という人がほとんどです。

なぜでしょうか?

PTA活動で一生つきあえるようなプライスレスな仲間ができましたか?
執行部(本部)は、お互いを信頼し合えるチームになっていますか?

おそらく、多くのPTAではそうなっていないでしょう。なぜなら、役員の定員を満たすことに毎年苦労し、半ば「泣き落とし」のような形で役員をお願いしているからです。そんな状態では、「任意加入」という未知のテーマに向き合う余裕なんてありません。

「変えようとすると敵ができる」
「場合によっては学校とも対立するかもしれない」
「自分の子どもに不利益があったらどうしよう」
――そんなリスクを負ってまで、誰が好き好んで取り組むでしょうか?

「数合わせの役員選出」が最大の問題

ここが一番のポイントです。「役員になったスタート地点」が違うのです。

「とりあえず人数を埋めるため」に選ばれた役員に、任意加入の問題解決を期待するのは酷です。荷が重すぎます。

私は会長1年目に、「これ、ヤバいですよね。すぐ解決できないかもしれないけど、取り組みましょう」と言ったら、「はぁ?(なんでそんなことする?)」という反応をされました。

そんな中、1年目は様子見で終わりましたが、2年目に「さあやるぞ!」と思った矢先、コロナ禍に突入しました。

でも、これはチャンスでした。


「役員集め」の基本原則

コロナ禍でPTA活動が一時停止し、執行部(本部)のメンバーもゼロから集めることになりました。そのときに意識したのが、次の3つの原則です。

  1. 定員は規約で決まっているが、変えればいい。規約に縛られない。

  2. 「来る者拒まず、去る者追わず」

  3. 人数より「熱量」で勝負する

私は「3人いれば何かできる」と思っています。できれば4人欲しいところですが、まずはコアメンバーを3〜4人集める。そして、そのメンバーを起点に仲間を増やしていく。

その際、大事にしていたのは次の2つ。

  • じっくり話してから仲間にする(熱量や考え方に大きな差がある場合は無理に誘わない)

  • 得意分野を活かす(現状と課題を共有し、解決策を一緒に考えてもらう)

会長の役割は、「みんなのコーディネート」と「場づくり」です。つまり、友達づくり、仲間づくり、ナンパ、営業、人たらし……そんな感じで、とにかく人と話すことが大事なんです。


PTAはドラクエ!仲間を集めて冒険に出よう

仲間を集めるときに 「強制」は絶対NG です。
強制で集まった人は不安でたまらないので、モチベーションが低く、結局うまくいきません。

大切なのは、安心を保証することで「モチベーションの高い人」を集めること。
理解者を探しましょう。きっといます。

RPGで冒険パーティーを組むのと同じです。
「一緒に冒険に出よう!」とワクワクする仲間を集めましょう。

そして、会長はこうしたい、こうやりたい、これやりたいを愚直に伝えるべし。

「PTAを変えたい」「楽しくしたい」と思うなら、強制をなくして、代わりにこうしたい!というビジョン(熱意や想い)を伝えましょう。共感してくれた人が役員になれば、気持ちは軽く、前向きに取り組めるはずです。そういう環境でこそ、人は本来の能力を最大限発揮できます。
そんな人が集まれば、特殊チームとしてのPTAの執行部(本部)の完成!
あとは無双できるはずです。


最後に

「役員が集まりません」「引き受けてくれる人がいません」という声をよく聞きます。でも、私はこう答えます。

「熱量がある3人、できれば4人いれば、なんとかなります」

「3人寄れば文殊の知恵」とはよく言ったものです。
1人では無理。
2人では厳しい。
3人だとなんとかなる。
さらに4人いれば安心。

そんな感じです。

PTAは「幸せのための仲間づくり」そして「幸せのための不平等」。
これはオカケン先生こと岡田憲治先生から学んだことです。

楽しみながら、不平等さえも受け入れ、子どもたちをテーマにしたワクワクする冒険に、一緒に出かけませんか?

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