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【復習・検証】騎手の腕は衰えるのか(NHKマイルC・京都新聞杯 振り返り)
東京競馬場のGIは基本的に欠かさず現地観戦をしているが、今年は体調不良でフェブラリーSを自宅で観戦したため、NHKマイルCが初のGI観戦となった。
大雨ということもあり、GIにしてはかなり人が少なく、5月の割に体感温度はかなり寒く感じたが、約5年振りのGI制覇(前回はノンコノユメのフェブラリーS(2018年))となった内田博幸騎手の喜び、インタビュー、ファンサービスがあまりにも素敵でやや荒れた結果となったNHKマイルカップのレース後は温かい雰囲気に包まれていた。
こういうのは、コロナ禍で主権を取ったかのように思えたオンラインでは実現出来ない「生」「リアル」ならではの醍醐味である。
フェブラリーS振り返り
(レース前の予想詳細は【予想】NHKマイルカップ|ムラマシ|noteをご覧ください)
◎ モリアーナ 6着
○ ショーモン 15着
☆ セッション 13着
☆ オオバンブルマイ 3着
☆ ドルチェモア 12着
☆ カルロヴェローチェ 5着
☆ ダノンタッチダウン 4着
単勝 2、4 ハズレ
複勝 2、4 ハズレ
3連複軸2頭ながし 2-4-8.10.13.15.18 ハズレ
馬連ながし 2-4.8.10.13.15.18 ハズレ
馬連ながし 4-2.8.10.13.15.18 ハズレ
波乱は予想していたものの、軸に選んだ2頭とも馬券外では何も言えない。
◎モリアーナの横山典弘騎手の騎乗はあの枠からは完璧な騎乗だったと思える。
外の枠だったら2着ウンブライルの競馬が出来たかもしれないが、それはもう枠の時点で予測できなかったのだから負けを見つめざるを得ない。
ショーモンは展開的に控えたのは正解も、大敗だったのを見ると今回の展開・馬場では厳しすぎたということだろう。
勝ち馬・上位馬の回顧は多くのメディアで語られているので、割愛する。
(後の章で内田騎手の話をたくさんします。)
あえて言うと、レベル的にも疑問なので今後のG1戦線で活躍できるかといえば、さらなる成長が必要に感じる。
京都新聞杯振り返り
(レース前の予想詳細は【予想】京都新聞杯|ムラマシ|noteをご覧ください。)
◎ サトノグランツ 1着
☆ マイネルラウレア 5着
☆ ダノントルネード 2着
☆ ファームツエンティ 9着
単勝6 当たり
馬連6-2.7.10 当たり
ワイド6-2.7.10 当たり
3連複6-2.7.10 ハズレ
予想に書いた通り、上位2頭は順当な結果。
ただ、ダービーで通じるかといえば、レベル的に厳しいとみている。
先々のある馬で、京都外回り適性は菊花賞に通じるので大事に使ってほしい。
馬券は堅いところで単勝・馬連・ワイドを的中。
点数を絞っていたのでこれでもプラスを確保。
特に語ることもないので、回顧はこのくらいで。
騎手の腕は衰えるのか ~内田博幸騎手をデータで検証~
正直なところ、ピークは過ぎてしまったというのが内田博幸騎手への世間への評価ではないだろうか。
今回はそのような評価が果たして正しいのかをデータで検証してみる。
内田博幸騎手のこれまでの活躍と最近の印象
大井所属時代から中央重賞を勝ち、さらにはNHKマイルカップまでも勝利。そして、2008年3月に勢いそのままに中央に移籍し、宝塚記念をエイシンデピュティで勝利。
順調に実績を積み、ついに2010年にはエイシンフラッシュでダービーを制覇した。
その後、大きな故障を乗り越えてからもゴールドシップやヴィルシーナでG1勝利と積み重ねていた。
しかし、ゴールドシップを下ろされてからはG1勝ちからは遠のき、2014年ヴィルシーナでヴィクトリアマイルを勝利後、2018年にノンコノユメでフェブラリーSを勝利するまで約3年中央G1勝利にブランクが出来ていた。
(地方では東京大賞典を2016年にアポロケンタッキーで制していたが、それだけ)
そして今回NHKマイルカップを勝利したのが、実に中央G1制覇は約5年ぶり。
これまでの活躍を振り返ると、ピークはもう過ぎたというイメージを持つのは致し方ない気がする。
(実際私もそのように思っていた。今回この記事でいろいろ調べるまでは・・)
ちなみに重賞勝利という視点に広げても、2021年・2022年はなんと未勝利。
最後に勝ったのは2020年のセントライト記念(バビット騎乗)で、それ以来の重賞勝利というのもびっくりした。
気づけば内田博幸騎手も52歳で現役35年。
武豊騎手(54)は例外だとしても、現役で活躍しているだけでも立派な年齢ともいえるだけに、前述の通りピークは過ぎたと思われて当然の状況ではある。
内田博幸騎手の成績の推移
ここまではざっくりとした記録と印象で語ってきたが、ここからは数字を出してみる。
<内田博幸騎手の2004年1月1日~2023年4月30日の年別勝利数・勝率・連対率・複勝率・着別度数>
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ケガにより戦線離脱を余儀なくされた2011年は例外とし、きれいな山形を描いている。
しかも単純な勝利数ではなく、勝率も同じような形で推移しており、イメージ通り移籍した2008年からゴールドシップを下ろされる2013年までがピーク、その後下降していく様子が見られる。
しかし、これだけでは単純に”腕が衰えた”と判断するのは早計。
まず、勝利数でみると、考慮しなければならないのは分母となる騎乗数。
グラフは割愛するが先述の表から勝利数がピークの時代は騎乗数が多いのがわかる。
そして勝率(連対率・複勝率)で見た際は馬質。
これを考慮しないと勝率(連対率・複勝率)の推移をみて、腕が落ちたと判断してはいけない。
そこで、引き続き、馬質を考慮したデータで検証してみる。
内田博幸騎手が有力馬に騎乗した際のの成績の推移
これまでも記事で何度か使ってきたが、有力馬に絞ったデータで検証する。
有力馬については、
・単勝オッズ6.9倍以下
・4番人気以内
の条件を満たす馬に騎乗した際の成績のみで同じように成績の推移を出してみた。
(この条件にした理由はまたの機会に説明する)
<内田博幸騎手の2004年1月1日~2023年4月30日の年別勝利数・勝率・連対率・複勝率・着別度数 (4番人気以内かつ単勝6.9倍以内)>
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勝利数でみると、有力馬への騎乗数そのものが減っていることが表からもわかるので、全頭でのグラフと同じく山形を描いている。
しかし、有力馬に乗った際の勝率で見ると、ピーク時からほとんど変わらない数値をキープし、増して今年は30%を超える勝率をたたき出している。
つまり、内田博幸騎手は騎乗数が減るとともに有力馬への騎乗も減ってしまい、勝利数は減ってしまったが、有力馬にのるチャンスがあればピーク時とそん色ない勝率をキープしていることがわかる。
しかも今年に限っては最も高勝率をあげている。
(連対率・複勝率もピーク時の数字とほぼ同じで、むしろ今年は高い。)
まとめ
タイトル回収をすると、内田博幸騎手を題材に「騎手の腕は衰えるのか」という質問に対する回答をすると、何らかの経緯で騎乗数(特に有力馬への騎乗数)が減ってしまうことで、勝利数が減ってしまっていることは事実だが、有力馬に乗るチャンスが回ってくれば、ピークとみられていた時代とそん色ない数値を維持している。
よって、「内田博幸騎手の腕は衰えたとは言えず、チャンスがくればピークとみられていた時代と同じ活躍ができる。」という答えで締めたい。
今回の調査は非常に面白い一方で労力もかかったが、ほかの騎手でも試してみたい。
ベテラン騎手の昔との比較もそうだが、条件別の調査などもいろいろ切り口を変えて今後は記事を更新します。
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。
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