[新型車紹介]レクサス(LEXUS) RZ450e レクサス初ピュアEV内外装紹介 開発者トークショーもあり
◆本記事の内容について◆
本記事では、先日レクサスから発表されたレクサス初のピュアEVであるRZが
EV展示会イベントにてお披露目されていましたので、
こちらの外装紹介と開発者のトークイベントの内容を踏まえた
今わかっている最新情報をまとめました。
◆展示車両概要◆
まずは展示車の概要についてです。
RZに関してはまだ発売が開始されていないため、グレード構成に関しては不明となっています。
パワートレーンに関してはフロントに150kWのモータ、
リアに80kWのモータを搭載した4WDモデルとなっています。
このモータ自体は兄弟車といって差し支えのないトヨタ自動車のbZ4Xに搭載されているモータユニットと同一ですが、異なる点はbZ4Xはフロント、リアともに80kWの4WDとなっていました。
そのため、bZ4Xよりもより強力なパワートレーンであり、システム最高出力は230kWとなります。
EVの表記に用いられるkW表記は1.3倍することで大まかな馬力となり、
馬力換算すると約300馬力の車両となります。
また開発者トークショーで触れられていましたが、最大トルクは500Nm弱といわれており、私の愛車のGRスープラが3Lターボエンジンで500Nmなので、ピュアスポーツカー並のパフォーマンスであるといえます。
またこちらもトークショーからの情報ですが、
車重は2100kgを切っているとのコメントもありました。
これはこのセグメントのSUVではかなり軽量の部類であり、
アルミ材などの採用による徹底的な軽量化の効果であるといえます。
bZ4Xの4WDモデルの車重が2285kgであることを考えると
より軽い車両とより強力なパワートレーンの組み合わせということで
かなりのパフォーマンスであることが予想できます。
またこの強力なモータの特性を活かした
DIRECT4とよばれるシステムの採用が特徴として挙げられます。
こちらは前輪と後輪のトルク配分を0~100までシームレスへと切り替えるシステムであり、これを実施することで発進時の車両のぐらつきの軽減や
安定したコーナリング挙動などに寄与できるそうです。
豊田章男社長がコンセプトmovieにて驚きの表情を見せられていたのは
このDIRECT4の効果を開発車にて体感された際とのことで
相当自信のあるシステムになっていることが予想されます。
バッテリー容量は71.4kWhとなっており、
bZ4Xと変わらず、より強力なモータを搭載しているため、
航続可能距離は約450kmとなっています。
こちら7かけすると約310kmとなり、このあたりが実用の走行距離かと思いますが、この距離は名古屋駅から横浜駅までぎりぎり到達できないくらいの距離感であり、そうそう頻繁に走行することもないかと思いますので、不便に感じる方は少ないかと思います。
また、航続距離を最大化するRANGEモードも採用されているようですので、
実用の航続距離はより長くなるかと思います。
今回紹介する車両の外板色はイーサーメタリックとよばれる青みがかったシルバーであり、その他にも画像のようなブロンズカラーであるソニックカッパーやグレー系で人気のソニッククロムが用意されることがわかっており、
また、あえて従来のレクサス車のグリルに近いデザインを主張する
バイトーンカラーが用意されることも特徴です。
インテリアカラーに関しては今回は覗き込むことしかできませんでしたが、
こちらの車両はオラージュと呼ばれるホワイトとグレーのコンビネーション、その他にはヘーゼルとグレーカラーが用意されています。
ヘーゼルに関しては、過去記事のNXの内装色がヘーゼルでしたので、
そちらが参考となるかと思います。
車両本体価格も発売前のため、未発表となっていますが、
bZ4Xの4WD仕様の参考価格が650万円ということで予想ですが150万円アップの800万円くらいが妥当なところかと考えています。
◆外観紹介◆
外観紹介行っていきます。
このRZはEVであるため、冷却性能がエンジン車ほど必要なく、
レクサスの象徴であるスピンドルグリルのような大開口は必要ありません。
結果としてグリルは開口幅は最小限となり、ほとんどがボディカラーで塗装されています。そのため、この車両には新たなデザインコンセプトであるスピンドルボディが採用されています。
これはスピンドルの形状をボディ全体まで拡張させたデザインコンセプトであり、フロントフェイスで形成されたスピンドル形状のラインがボディサイドにまで拡張され、スピンドル形状を起点にボディが形作られているのがよくわかります。
またライト下部がブラックアウトされていることでカラーが反転したスピンドルが形成されており、アロー型のデイタイムライトも相まって、レクサス車であることも主張できており、すでにレクサスのEV版のデザインが確立している印象です。
ライト下部のこの糸巻き形状の名残の部分とブラック部分との境目は開口しておらず、デザイン要素となっています。このあたりにレクサスのこだわりを感じます。
ライトユニットのデザインはこのようになっており、お馴染みのアロー型のデイタイムライトが上部に配置されたものとなっています。
従来のレクサス車と異なる点は2つあり、1つ目はウインカーの発光パターンであり、画像のように3つのウインカーライトで構成されています。
流れるタイプかは不明ですが、従来のレクサス車のようなライン形状で発光しないことが特徴です。
また、NXで採用されているような3眼のライトユニットではなく、単眼のライトユニットであることも従来と異なります。単眼と3眼のライトユニットの違いは対向車を防眩するアダプティブヘッドライトの採用の有無となっており、RZでもその機能は採用されることと思いますが、
なぜこのデザインの違いがあるのかがよくわからなかったです。
またライト下部のこの部分はbZ4X同様、開口されており、空力を意識したデザインでもあることがうかがえます。
少し気になったのがレクサスエンブレム上にあるセンサーです。
予防安全系のシステムに必要なセンサーであることはわかりますが、少し主張が激しい気がします。
これは従来のレクサス車ではグリルデザインに上手く溶け込ませてあったので、グリルがボディカラーとなっている弊害であると考えられます。
バイトーンカラーにするとブラックアウトされ、気にならなくなるかと思いますので、私ならイーサーメタリックにバイトーンカラーを選択するかなと思います。
改めてフロントフェイス周りですが、
NXから採用が始まった切り立ったスピンドル形状がカラードされることで、
ボンネットなどに入っているラインのシャープさが際立ち、
どちらかというとEVが後発となっているレクサスですが、
EVらしい先進感とレクサスブランドデザインの両立を果たしたデザインが素直にかっこいいです。
サイドに回り込んできました。
RZのボディサイズは全長4805mm、全幅1895mm、全高1635mm、
ホイールベースが2850mmとなっています。
このサイズはbZ4Xと比較すると全長+115mm、全幅+35mm、
全高-15mmとなっており、よりローアンドワイドなSUVとなっており、
開発者のコメントによるとNXとRXの中間に位置するサイズ感だそうです。
全長が長くなっていますが、ホイールベースはbZ4Xから変わっていません。
ただ、過去記事で紹介したように、元々このセグメントの中ではホイールベースがかなり大きく取られており、足を組めるほどでしたので、快適性は問題ないかと思います。
サイドのデザインに関してはフロントフェイスの紹介の際に触れたスピンドルボディのコンセプトの則ったラインが入っており、サイドからみると、フロントのスピンドル形状から伸びたラインが連続して繋がっており、サイドのデザインを形成していることがよくわかります。
また、ボディ後端のルーフの傾斜がかなりきつく設けられており、
この傾斜角はクーペライクなSUVであるUX以上であると思われます。
結果として斜め後ろから見た際のスポーティ感はかなりのものであり、
Cピラー部分がブラックアウトされていることで目線が下に落ち、ボディの抑揚と相まってSUVらしからぬスポーティ感が演出されています。
ボディサイドにはEVのため、充電ポートが設けられており、
bZ4X同等と考えると、150kWまでの充電器に対応しており、
150kWで充電すると約30分で80%まで充電することが可能となります。
今回の展示車にはおそらくオプションの20インチホイールが装着されており、サイズは255/45R 20インチとなっていました。
その他に18インチホイールも用意されており、こちらが標準装備であると考えられます。
ホイールハウス内の防音処理もbZ4Xより実施されている様子であり、
レクサスの武器である静粛性へのこだわりを感じました。
また、この車両には周波数感応式のショックアブソーバーが採用されていることが足回り装備でのbZ4Xとの大きな違いとなります。
こちらは路面入力の振動周波数に応じてサスペンションの減衰力を変えるものであり、一発入力である大きな段差乗り越えや凹凸路面など異なる路面状況に適切な減衰を車両が選択することで乗り心地と操縦安定性の両立をはかるものだそうです。この装備とDIRECT4からこのRZに対するレクサスの走りのこだわりの高さを感じます。
リアに回り込んできました。
リアデザインで印象的なのが、サイドからリアのダックテール形状の後端にかけての絞り込みです。
斜めからみるとよくわかりますが、Cピラー付近からのサイドのラインが中央に向けて絞り込まれていることがよくわかります。
この空力解析結果からもサイドを沿った空気の流れがリアのダックテールへと導かれていることがよくわかり、相当空力を意識したデザインであることがわかり、それが結果的に機能美となり、かっこよさにつながっていると思います。
テールライトのデザインはNXのようなL字の組み合わせのものとはまた異なり、コンセプトカーのLF-Zのライトデザインを模したものとなっています。
レクサスのロゴが埋め込まれた一文字のシャープなデザインであり、
薄型も相まって非常に先進的なデザインとなっています。
ただ、このあたりのデザインはブランドで共通性を持たせた方がよいかと思います。レクサスのEVがこのデザインなのか、これからのレクサスはこのデザインなのかまた近いうちに発表が予定されている新型RXのデザインに要注目です。
EVであるため、マフラーはなく、リアの下部は非常にシンプルなデザインとなっています。このあたりもピアノブラックのパーツが採用されていることから都会派SUVのデザインであることがよくわかります。
リア両端のこの部分は開口されておらずダミーとなっていました。
ルーフにはbZ4Xと似た形状の2分割されたルーフスポイラーが装着されています。こちらも画像の通り、空力的に大きな意味を持ったパーツであり、ボディサイドからの風流れを整流する役割を持っているようなので、こちらのパーツは標準装備ではないかと予想します。
◆内装紹介◆
続いて内装についてです。この展示車両は乗り込むことができませんでしたので、内装は画像にて紹介させていただきます。
内装のコンセプトはNXから始まったTAZUNAコンセプトが採用されており、
ドライバーを囲うような形でナビ画面などが配置されており、
ドライバーが運転に集中しやすい環境が整えられています。
このなかでも特徴的なのが、ステアバイワイヤ式を採用した非円形のステアリングとなります。このステアリング形状の場合、ハンドルを最大150°、つまり一回転させずにタイヤを最大まで切ることができることが特徴となっており、従来とは異なる運転操作感をもたらしてくれるものと思います。
このステアバイワイヤ方式のレクサス初の特徴として、
ステアリングが完全に物理的に切り離されていることであり、
結果として、普段はハンドルを介して伝わってくる路面の振動がなくなることにあります。
おそらく狙いとしては、路面からの余計なノイズをなくしたしっとりとしたハンドリングの実現であり、この装備とDIRECT4の組み合わせでRZの走りは完成するものと思われます。
また、ステアバイワイヤのもうひとつのメリットとして、自動運転制御がより緻密にできることが挙げられ、今回のRZの場合は渋滞時のレベル2相当の運転支援とリモート駐車機能にとどまりますが、
以降のレクサス車の運転支援レベルの向上にも期待できます。
ダイヤル式のシフトノブや輻射ヒーターなどEV独自の装備はbZ4X同様装備されつつ、bZ4Xとの差別化ポイントとしては、NXから採用が始まった電子スイッチによる解錠システムのe-ラッチの採用や、特徴的なイルミ―ネーションデザインの採用、ハリアーなどに採用されている調光式のパノラマルーフの採用が挙げられます。
どれもレクサスが描くEVの世界観を追求するための魅力的な装備かと思いますので、触れられる機会が訪れるのが楽しみです。
◆まとめ◆
◆オマケ(開発者トークショー内容)◆
おまけです。
今回のイベント会場にてRZの開発責任者である内藤さんのトークショーを聞くことができましたので、その際に面白かったトピックを紹介します。
1つ目はRZの開発秘話であり、RZはレクサス初のピュアEVであり、これまでに前例のない車両であることからどんどんチャレンジしていいという許可をもらって開発に臨んだそうで、結果として、従来のコンセプトデザインであるスピンドルグリルデザインからの脱却や
非円形ステアリングの採用、DIRECT4システムといった新しいチャレンジアイテムの採用が実現したそうです。このことに関して苦労はなかったんですかとの問いに対してチャレンジばかりで楽しかったと返答していたことから私も見習いたい働き方だなと思いました。
2つ目はデザインの話であり、今回RZに採用されたスピンドルボディのデザインコンセプトは以降のレクサス車にも採用されるのかとの問いに対してはyesとのことでした。スピンドルボディはEVとして求められる特性をデザインに落とし込んだ結果であり、以降のレクサスEVに求められるデザイン要件であるため、以降のレクサスからでるEVにはすべて採用されていくとのことでした。
3つ目はEV開発についてであり、EVはエンジン車と比較し、単純な構造であるため、コモディティ化が促進されるのではないかとの問いについて議論されていました。内藤さんの見解として、単純化されることでより車の素性の良さが明確となっていき、各メーカーのこだわりがはっきりとしていくため、コモディティ化することはないとおっしゃっていました。今回のRZでもレクサスの走りのこだわりのための装備がいくつも見受けられましたので、
これからのレクサスのEVモデルの登場が楽しみです。