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キャリアコンサルティングのロープレで気づいた10のこと

こんにちは、murakenです。

毎週通っている「国家資格キャリアコンサルタント養成講座」の応用実習で、先日「修了試験」なるものが行われました。

修了試験と言っても、いわゆる学科試験ではなく、15分の実技ロープレを行い、講師やクライエント役、オブザーバーの受講生からフィードバックをもらうというものです。

受講生が約20名いるクラスに在籍しているのですが、事前にくじ引きでロープレの順番を決めたところ、何と1番目に…!笑

「どうせなら楽しんでやろう!」精神で臨んだわけですが、その日の学びが想像以上にあったので、これまで学んだことも含めて、忘れないうちに言語化したいと思います。


<修了試験ロープレを通じた学び>

①「キャリアコンサルティング」で大事なことは、クライエントが自分自身と向き合う時間を提供すること。

あくまで「人格理解」ファースト。クライエントがどのような考えのもとで発言をしているのかを知ることが大事。クライエントの「源泉」にどれだけ興味を持ち、内省を通じた自己理解の機会を提供できるかどうか。

キャリアコンサルティングによって、クライエントが自分自身と向き合う時間を作っていきたいと感じました。


②「事実」に対して、クライエントがどんな「感情」を抱いたのか、経験を再現する問いかけが自己理解に繋がる。

以前、「講座のロープレがぎこちない」ということをつぶやいた際に、Twitterでフォローさせていただいているノームさん(@c_norm21)から「エピソードに触れてる?」という、わずか11文字なのにめちゃくちゃ考えさせられる問いかけをいただきました。

それ以来、ロープレの際には意識するようにしているのですが、これはつまり日本キャリア開発協会で言うところの「経験代謝」の話だったんじゃないかと。(養成講座実施団体の系統の関係(?)で、実はこの超重要な概念を直接学んでいない自分。笑)

経験を再現する目的は、経験をクライエントの自己概念を映す鏡にすること。「自分はなぜ一つの出来事を◎◎と表現したのか」を自分自身に問いかけること。

それによって自己理解が深まるため、経験を再現する問いかけをすることが重要なのですね。(たぶん)


③個人に対する感情、仕事に対する感情、会社に対する感情をひと括りにせず、切り分けて考える。

昔から「事実」と「意見」と「感情」を分けてコミュニケーションを取ることが大事だと思っていますが、これはキャリアコンサルティングでも同じだと思っています。

特に、クライエントのお仕事の話になった時は、そこに生じる人間関係、従事している仕事、所属している組織に対する感情と事実をきちんと切り分けて理解することが大切だと感じました。

たとえば、「転職したい」というクライエントがいたとして。その理由を紐解いたりしていくわけですが、よくよく聞くと「ある特定の人物」と距離を置けば万事解決することもあると思います。

解決するのはクライエント自身ですが、それぞれに対する感情や事実を混同した状態で話を進めようとしても、まっすぐに進むことはできないでしょう。


④キーワードを掴もうと意識しすぎず、「聞き慣れない言葉」が出たら着目してみる。

実際の実技試験では「主訴」が尋ねられると聞きました。そのため、僕にはついクライエントのキーワードを捉えようとしてしまう癖があります。

しかし、最初から「特定の言葉を逃さないようにしよう!」という意識でいると、まるで「主訴の特定ゲーム」をするような関わりになってしまうことに気づきました。

なので、あくまでクライエントに意識を向けて対話をする中で、「あれ?なんか今の言葉ちょっと違和感あったな」と思うものがあれば、クライエントに尋ねてみるのも有効かもしれません。

過去のロープレ(架空の設定)で、クライエント役の方が「産むに産めない状況で」という発言をされたことがあります。

その言葉からは「産みたいけど産めない状況」というニュアンスを感じ取りましたが、クライエント自身がその言葉をどのようなニュアンスで使ったのか、その言葉の裏にどのような思いや事実があるのかは尋ねてみないとわからないと思います。


⑤安易な称賛や共感はクライエントの反感を買うリスクもある。事実に触れてから共感を示すことも有効。

クライエントが一つの事実を話してくれた時に、その言葉に対して安易に共感を示すことのリスクについて考えさせられました。

たとえば、過去の実績について尋ねた際に、「営業の中で一応1位になったことはありますが…」とクライエントが答えたとします。その事実に対して、「営業の中で1位になっただなんて、本当にすごいですね!」と称賛し、勇気づけようとします。

それっぽいコミュニケーションではあるのですが、クライエント自身はそれ自体をすごいことだと思っていない場合もあります。

むしろ実態としては、「先輩の引き継ぎ顧客がたまたま大型発注をしてくれて、自分は何もしていないのにMVPになった。しかもその事実に対して嫌味を言われたこともあり、自分の中ではどちらかと言えば腑に落ちない実績」と認識していることも。

これは一例ですが、安易な称賛や共感が「この人、自分のことをまるで理解しようとしていないな」と思わせてしまうケースもあるのではないかと感じました。(とはいえ、難しいですね…)


⑥自分のための自己開示はNG。クライエントのための自己開示はOK。

これはハッとしました。自分の場合、クライエントに心を開いてもらうために、あえて自己開示の一環で身の上話をすることがありました。

しかし、その自己開示は果たして誰のために行われているのか。ひょっとすると、自分が緊張をほぐしたいから、楽になりたいから自己開示をしようとしているのではないか。

そんな意見を聞いた時に、これまでの自分の振る舞いについて考えさせられました。来談者中心の視点を忘れずにセッションをしていきたいです。


⑦クライエントの感情を言語化することが、必ずしも正しいとは限らない。非言語コミュニケーションで寄り添うこともできる。

クライエントも人なので、さまざまな感情を抱きます。それに対して、無意識にすべての感情を言語化しよう・してもらおうとする自分がいました。

でも、それって必ずしも正しいとは言えなくて、時には非言語コミュニケーションで寄り添うことも大事だと思うのです。

4つのかかわり行動(視線、身体言語、声の質、言語的追跡)の身体言語や、こちらの表情なども含めてカウンセリングなのだと改めて感じました。


⑧評価の過誤を防止し、誠実なフィードバックを心がける。

キャリアコンサルタント役として自己評価をする場合も、クライエント役やオブザーバー役としてフィードバックをする場合、改めて評価の過誤(エラー)に気をつけないといけないと感じました。

修了試験では毎ロープレ後にそれぞれの立場の方からフィードバックをいただけるのですが、率直な感想をおっしゃっていただけることのありがたみを感じました。

特に受講生同士のロープレの場合、良好な人間関係の維持を重視した結果、評価の寛大化が行われる可能性が非常に高いです。その点、修了試験では受講生の方々からもフラットな評価をいただけたため、自分の課題もクリアになりました。

自分自身が評価者になる場合は、下記の点に気をつけたいと思います。

<参考/評価の過誤の例>

ハロー効果、論理的誤差、寛大化傾向、厳格化傾向、中心化傾向、逆算化傾向、対比誤差、近接誤差/遠近効果


⑨ロープレを最初に行うことの絶対的なメリット

正直、「最初にやるなんて緊張しか無いけど、早く終わるし良いか」くらいに考えていました。でも、その効果はそれだけじゃありませんでした。

ロープレを最初に行う最大のメリットは、「主観のみで形成される、地力のロープレに対するフィードバックをもらえること」です。

どういうことか。

僕は1番目だったので、前例がない状態でロープレを行いました(これまでも受講生同士の簡易ロープレは行ってきましたが)。

ラポール形成のためにどのような入り方をし、何を聴き、何を話し、どのように展開し、どうやって自己理解・内省の機会を提供するのか。

試験のルール上、守秘義務の説明やアイスブレイクは済んだものとして行うという形式でしたが、その後の関わり方は完全自由です。

その際に、「自分が良いと思う関わり方」でロープレを進め、それに対する率直なフィードバックをいただくことができました。

しかし、もしロープレの順番が10番目、20番目だったら、それまでのロープレと振り返りを通じて、多くの視点やテクニカルな知識が入ってくるはずです。

そうなると、自分の場合それらのアドバイスに惑わされ、「自分が良いと思う関わり方」ではなく「誰かの評価に則った関わり方」をするようになると思います。

これは試験に合格するためには必要な観点ですが、いわゆる「素の自分」がやっていきたい関わり方に対して、周りがどのように捉えるのか。そのフィードバックをもらうチャンスを逃してしまう可能性もあるわけです。

自律できる方に順番は関係ないですが、周囲の意見に影響を受けやすい僕の場合、ロープレを最初にやらせていただいてよかったと思っています。(あとやっぱり、終わってしまえば冷静に他の人のロープレを見れるので笑)


⑩ロープレをチェックする時は、3つの視点で考えると良い(かも)

おそらく当日行われた中で最も重いテーマのクライエントであったと思われる修了試験を早々に終えて(笑)、オブザーバーに徹したわけですが。

オブザーバー、というか、人のロープレを見ることってめちゃくちゃ勉強になりますよね。特に、3つの視点でロープレを見ることが大事だと思いました。

それは、1.クライエントの視点 2.評価者(プロ/講師)の視点 3.自分だったらどのように関わるかの視点 の3つです。

まず、クライエントの視点になると、キャリアコンサルタントの関わり方に対する率直な思いや意見が出てきます。「自分がクライエントだったらどう感じたか」という主観的な視点です。

次に、評価者(プロ/講師)の視点になると、キャリアコンサルタントの関わり方が適切かどうか、ベストかどうかという振り返り機能がつきます。これが「キャリアコンサルティングのあるべき姿」を考える客観的な視点です。

最後に、自分だったらどのように関わるかの視点になると、主観と客観のバランスの中で、自分の考えと、その考えに至った背景を整理することができます。


ちなみに僕は、ロープレを見る際に、大まかなやり取りや2者の発言を黒字でメモし、気になった点や自分だったらどのように関わるかを青字でメモ、先生からのフィードバックを赤字でメモしていました。

正解はないかもしれませんが、先生からのフィードバックの際に、青字のメモと赤字のメモが一致した場合、キャリアコンサルティングの考え方が身についてきたということになるかと思います。

今後もロープレを行うと思いますので、この方法でトレーニングを積んでいきたいと思います。


以上、「キャリアコンサルティングのロープレで気づいた10のこと」でした。


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