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「ある学生との会話から ものづくりは狂気なのか」(「今月の村上先生」から)

「ある学生との会話から ものづくりは狂気なのか」(「今月の村上先生」から)

 テレビ番組5000本。40年近く、作品を書きけてきた放送作家、村上先生。ある期の先輩との対談形式の記事を見つけた。
オープンキャンパスで、ゼミ生と村上先生が行った対談の一部を抜粋したもの。コロナ前、
茨城大学のオープンキャンパスで、人文社会科学部ではゼミがブースを出展していた。村上ゼミ4期が、2015年、勝手に始めたもので、その年、一番、多くの高校生が集まった。
 その後、先生の模擬授業とセットで開催するようになると、高校生が殺到。2018年には、980人もの高校生、その親が模擬授業と村上ゼミブースに行列した。
 目玉の一つが、村上先生とゼミ生の対談だった。
 先生と先輩の許可を得て、再構成し、掲載する。(村上ゼミ3年 小山慧菜)

……正直、私は村上先生という、別世界の住人のゼミに飛び込むことに恐れを抱いていまし
た。しかし、目指している業界はそういう人たちの集まりでのあります。

僕は「別世界の住人」ですか。(笑)
モノ作りは、半分狂気。
たった一杯のラーメンの紹介でも
本気でやれば、スープのことも タレのことも チャーシューの肉のことも
麺の小麦のことも知らなければなりません。
トッピングの卵や焦がしネギ、ニンニクも、
そして作っている大将の人生も。
真夜中、そのラーメンを食べにくる常連のことも。
もちろん湯気一つにこだわる見せ方もです。
どれ一つ手を抜いても、一杯のラーメンの感動は伝えられません。
創り手が本気なら一杯のラーメンの紹介でも人を感動させられます。

……毎回、毎回に全力、狂気というほどの熱気をこめるのですか。

楽ではないですよ。
でも楽しいですよ。
僕が創ったラーメンの番組で、皆が「ラーメン、食べたい!」って思うから。 

…… そうなるためにどんな努力をしたらいいのでしょう。

その分、人とは違う風景を見、人より先を、常に歩いていなければなりません。
だからと言って、普通の人の感覚を失うとそれは芸術家の域、行き過ぎてしまいます。
だから半分狂気。
普通の人が普通に創ったもの、お金を出して見も読みもしないでしょう。
自分が行けない先、見たことないその先だから見たいですよね。

…… 私たちが目指している業界はそういう人たちの集まりだというのもまた事実。ちょっと怖いです。

だと思います。
もちろん人によりますが、
テレビ 映画 イベント 音楽 新聞 出版 その他
作家 演出 声優 俳優 ナレーター その他 何者かになろうとするなら、尚更。
僕らは何者にもなることができます。
皆さんが、わざわざ茨城大のメディアに来て、
大変といわれるゼミに入ろうと思ったのは
このゼミで、才能やセンス、仕事のやり方、言葉の磨き方、
こだわり、そして人脈、そんな何かを、あるいは全部を身に着けたいと考えたからでしょう。
身に着けて、何者にかなろうと思ったからですよね。

怯んでいてどうします。
歩みを止めず、
一歩でも、例え一センチでも歩き続けた者だけが頂きに立ちます。
そして、若い皆さんにだって、無限に時間があるわけではありません。

世界を動かすか、動かされるか。
どちらに立つかで、人生、大きく違います。
前へ前へ。そしてもっと前へ・・・。

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