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それから『バレンタインコーリング』


バレンタインコーリング

鳴呼、今夜もまちに色をつけていく
おびただしい数の電飾のネオン街
鳴呼、退屈な気分だけは晴れないわ
あなたの隣を支配できない私

「誤解されていても返せない。」
そんなあなたの瞳を憎みたい
心拍数、常にミドルクラスだわ
頭ではちゃんと分かるのに
せまる指先をいつも拒めない
朝起きたらすべて消えちゃわないかな

切り刻まれてく私の心は
赤、緑、水色、黄色、
万華鏡の中身くり抜いたみたい
「寄せては返していく 終わりがないんだ。」
と 言えたら夜もツラくないよなあ

鳴呼、甘い甘い80年代じゃないから
あなたにすべてあげられはしないけど

悲観してるだけじゃダメみたい
だけど愛想よくまじめにはしない
青い春は終わりを告げないんです
痛みだけは手に残るのに
「恋は盲目。」だなんてばかじゃない
足がついても始められるもんかしら?

切り刻まれてく私の心は
赤、緑、水色、黄色、
万華鏡の中身くり抜いたみたい
「気づいてはいるけど 黙ってしまうんだ。」
と 言えたら夜もツラくないよなあ

言っちゃおうかしら
私のすべて 言っちゃおうかしら
あなたがすべて


【解説】
アダルトビデオショップで
アルバイトをしていた時に
今はもう死語かもしれないが、
出会い系の有料カード
(マッチングアプリの有料アダルト版。
テレホンクラブの進化版。)で
『バレンタインコール』というのが販売されていて、
すごく言葉の響きが好きだった。
ただロクシタンではないけど、
そのままだとまた何か言われるかと思って、
バレンタインコーリングに変え、
この曲のタイトルにした。
もちろん出会い系のカードの歌ではなく、
浮気相手の男性にパートナーがありながら、
浮気してる女性の気持ちを歌った曲。
この頃はこういった
「報われない女性の恋」
みたいな曲をよく作っていて、
こうやって曲を作ることで、
自分が浮気された事も含めて、
女性というものの気持ちを理解しよう
としていたんだとは思う。
気持ち悪いとしか言いようがない。

自分が一番じゃないので、
彼の隣を支配はできないし、
「今日は仕事で遅くなる」
と言われて
「本当は本命の女のところに行ってるのか?」
と疑ったところで、
それを「違うよ、誤解だよ」
と返してもらう事もできない関係で、
2番Aメロで出てくるように
女性側も
「てか別にもう平成だし、
男に尽くす時代は終わったんだ!」
みたいな怒りも時折で見え隠れしてるけど、
ラストでは
「あなたがすべて」と言い切り、
「…って、どっちやねん!」で終わる曲。
でも恋愛ってそういうものだと思う。
頭では分かってる事が体でできない。
そんな気持ちがいつも寄せては返して終わりがない。
恋は盲目だけど、
傷が見えてなくても痛いものは痛い。
だからって悲観して、
私はあなたの思い通りで
愛想よく真面目にはしない!
いっそのこと関係が全部誰かにバレて(足がつく)、
そこからまた私は誰かとやり直せるのか?
私はあなたとやり直せるのか?
思考回路もショート寸前。
夜が辛くてめちゃくちゃになってきてる。
そんな状況。

ここの歌詞の中で
さらっと流されそうでもあり、
「?」ってなる場所は、
「心拍数常にミドルクラスだわ」
の部分かもなとは思っていて、
ここで出てくるミドルクラスは
中流という意味ではなくて、
USハードコアバンドのミドルクラスの事。
諸説あるが、
おそらくこのバンドが
世界で初めてハードコアをやったと言われている。
世界初だけあって音源を聴くと音も悪いし、
本当にガチャガチャしてて、
逆にそれが
「悪いことをしてる時の
心拍数ってこんな感じかもなあ」
と思い、
言葉の響きも合うのでここに入れてみた。
自分でも不思議とたまに
絶対に誰にも意味が分からないことをしたくなる。

しかしサビで
いきなり万華鏡が出てきて今ではびびる。
この曲を作り始めた時に
1人で夜中に鶴舞公園に行き、
ギターを弾きながら歌っていると
「切り刻まれーてく、私のー心は、
赤緑水色黄色〜」
が最初に出てきて、
一旦ギターを置き、
「赤、緑、水色、黄色の出てくるものとは?」
と1人で大喜利をして万華鏡にした。

こういう脈絡がなく、
突拍子がない言葉の面白さは
全て野狐禅から学んだ。



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