Permanent Collection『MALL LIKE(Y)』
MALL LIKE(Y)
玄関先でバイバイ
鍵を掛けるの早いね
余韻が気まずいムード
ルール違反だって
昨日の夜の会話
文字起こししてみたんだ
句読点の位置さえも
ちゃんと
なんだ そうか
君も同じなんだ
関係性はOLが飼うプードル以下か?
きっとこんな風に考えていた
「恋のため息、いつかは霧になってしまう。」
「思わせぶり」っていうか
こっちのセリフなんだ
車のバックシート倒したの君の方じゃん
別に意味はないんだ
君に会うからじゃなくて
たまたま爪を切っていた
なんだ そうか
君と同じだった
関係性は駅前にあるフーゾク以下か?
きっとこんな風に考えていた
「恋した昨日は偶然だけ。必然性はない。」
君が分からない
君が分からないんだ
なんだ そうか
君も同じなんだ
関係性はOLが飼うプードル以下か?
きっとこんな風に考えていた
「恋のため息、いつかは霧になってしまう。」
君が分からない
君が分からないんだ
まじで恋したい
それが全てなんだ
玄関先でバイバイ
鍵を掛けるの早いね
余韻が気まずいムード
ルール違反だって
昨日の夜の会話
実は覚えてないんだ
句読点の位置なんて
特にね
【解説】
男女の関係には色々あると思うけど、
将来を見据えたものだけじゃなくて、
ただ一時的に雨宿りしてる
みたいな関係もあると思ってて、
たまにそういう
大人の男女の遊びをテーマに曲を作ってみようと思った。
初期のThe 1975みたいなライトな恋愛の曲というか、
お互い本気じゃないし、
本気にならないように
ルール内で遊ぼうよみたいな曲。
そういう意味では
この曲はThe 1975の歌詞は結構参考にしたけど、
多分日本人の男ってそこまで強くないというか、
ライトにはなれ切れなくて、
女々しさみたいなのが山盛り残されている。
女側に好意が
そこまで深くある訳じゃないから、
男がアパートを出て行った瞬間に
鍵を掛けるというか、
友達のアパートとかでも
たまにあるかもしれないけど、
さっきまで笑って話していたのに
部屋を出てった瞬間に
背中越しに「ガチャ」と音がして、
鍵を掛けられたことに気がつくと
「ああ、ようやく出て行った。」
みたいな感じがして、
あれはいつもなんか嫌だなと思ってた。
「そんな鍵すぐ掛けられるようなことしたっけ?」
と思い返しているのが、
「昨日の夜の会話 文字起こしてみたんだ」
に来てるけど、
多分文章にしたらここに句読点がくるだろうなと
句読点の位置さえも鮮明に覚えてるくらい
会話を覚えているけど、
思い返したところで、
やっぱり理由は分からない。
そこで男は気がつく。
「そうか、
これは
一時的な寂しさを紛らわす為に買った
室内犬と同じレベルなんだ。
これ、遊びであって恋愛じゃないんだ。
どうせ今彼女が1人で
部屋でついたため息も一瞬だけで、
すぐ霧になるだけだ。」
というのが1番。
「あなたはいつもそうやって
思わせぶりな態度を取るね」
とかあなたは言うけど
こっちからするとあなたがそうで、
2人で車にいたら
バックシートをフラットにして
誘ってきたのはそっちじゃないか。
あの時たまたま爪を切ってたけど、
俺から誘うつもりがあったのではなく、
たまたま切っていただけだよ。
だって俺からしても
別に君は風俗と変わんない存在だからね。
たまたま偶然、そこに君がいただけ。
っていうのが2番。
多分、年齢や経験値によって、
「別に意味はないんだ
君に会うからじゃなくて
たまたま爪を切っていた」という意味が
分かるか分からないかの差は出ると思う。
男の嗜み。
いつも性的な言葉を使わないで、
性的な表現をすることには
相当神経を使っている。
上品にならなくてもいいが、
下品なバンドだとは思われたくない。
そういう勝手な苦悩の中で
できたワンフレーズでもあり、
自分が書いてきた歌詞の中でも
このワンフレーズは相当気に入ってるし、
このスーパー負け惜しみみたいな言葉が
よく出てきたなと感心すらしてる。
でも
これは結局男のサガみたいなところなんだろうけど、
全然割り切ってない、
割り切れない、
「なんだ、君もおんなじなんだ」
「なんだ、君とおんなじなんだ」
とか言ってるのは本心じゃない。
まじで恋したいだけなのに、
なんであなたは本気になってくれない?
っていうのが本心で、
結局、
「昨日の夜の会話 実は覚えない
句読点の位置なんて特にね」
と最後はまた負け惜しみみたいな歌詞で終わる。
僕の書く人物像として、
状況はだいぶ大人にはなってるけど、
人間性の本質はやっぱ変わってない。
タイトルは
僕が好きな2000年代のポップパンクは
『モールパンク』と呼ばれていて、
「ショッピングモールで買えるような
簡単で気軽なパンク」
とバカにされている。
確かに政治的な、
社会的なメッセージ性はなく、
ただ女の子とか友達の歌が多いので、
パンクの精神からすると
バカにされても仕方ない。
そう思った時に多分恋愛もそうで、
「SNSでいいね!(LIKE)を押すみたいに
ショッピングモールで気軽に買える恋愛」
という意味を込めて、
タイトルを『MALL LIKE(Y) 』にした。
LIKE(Y)にしたのは当時、
僕が一方的に機材車で流していたことにより
僕もばんもTWICEにどハマりしていて、
ちょうどこのアルバムのレコーディング中に
2人で名古屋ドームにライブを観に行ったりもしていた。
TWICE『LIKEY』より名を拝借したのは、
LIKEYの方がより現代人へ向けている感じがしたから。
たださすがの気恥ずかしさもあり、
Yだけ()になっている。
そこが村上らしさでもあり、
情けなさでもある。