あなた『モンロースマイル』
モンロースマイル
「所詮、私は私。」
君は嫌味に笑い出した
星の形のピアス
白い十字架みたいだった
「君の理想に僕もいたいよ。
いつでもちゃんと隣にいるよ。」
手を握ってそう思った
何も言わなかった
「あの頃までの私、
グリム童話の世界だった。」
紙袋を探す手
息がなんだか苦しそうだ
...love will tear us apart?
「君が痛いと僕も痛いよ。
それくらいちゃんと見つめているよ。」
手を握って君に言った
「あなたに何が分かると言うの?
ほんとに全部見つめられるの?」
君が言うと怖くなって
苦しくなって何も言えなかった
それでも僕は君といたいよ
これからもずっと隣にいるよ
歌詞を書いて朝になった
「いつか理想へ近づくように。
両手で全部受け止めるように。」
今誓った決意を前に
君を想って今日歌を作った
君のことを書いた
【解説】
タイトルの由来、
詳しい曲を作った経緯は
これを読んだら分かると思う。
http://blog.asstellus.com/?eid=1631624
ご時世もあるんだろうが、
少しずつ大人になるにつれて、
家庭環境だったり、
親のことだったりで
自分とは人と生い立ちの違いを感じることが増えてきていて、
実際にそれを目の当たりにしたが、
その時に
当たり障りのない一般論しか言えず、
「あなたに何が分かるの?」
と言われて何も答えられなかった日のこと。
もちろん僕には経験がないので分からない。
でもあなたも僕がその話を聞いてどう思ってるのか、
全然分かってないと思った。
テーマ自体がかなり重たいので、
歌詞自体はそのままダイレクトにしないで、
重くなりすぎないようにした。
星の形のピアスが十字架に見えたのは、
自分にはない何かを背負ってる比喩で、
複雑な家庭環境=グリム童話、
紙袋を探していたのは
いきなり過呼吸になった姿を見た時のこと。
2番で突然出てくる英語は
Joy Division『Love Will Tear Us Apart』より。
この曲を作っていた時、
よく聴いていたし、
この曲の彼が行動に出る前、
場面が展開する前に一言欲しいなと思って、
日本語だと邪魔になりそうなので、
英語でフレーズ的に合いそうなので
そのまま使った。
サビは
1番は彼が彼女を見てただ思ってるだけだが、
2番で意を決して
彼が彼女に思いを伝えるが、
それを
「あなたに何が分かるの?」と否定される。
ここで結構ポイントだと思ってたのが
彼女に対して彼が出す手が
『片手』か『両手』というところで、
1番と2番は片手
(手を握るだけなら大体片手だと思う)、
でもそれじゃ全然足りなかった、
表面的ないいことを言ってるだけで
ただ口だけだった。
この彼女の苦しみや悲しみが終わり、
理想の2人になるためには
ちゃんと両手で
ある意味では自分の人生を掛けて
全部受け止めていく出来事なんだ
と気がついてから
3番では手が両手に変わり、
その決意を前に歌詞を書くという終わり方。
ただ偉そうなことを言ってるけど、
結局僕にはそこまで出来なかった。
『ワルツ』もそうだけど、
結局この曲も最初と最後で
特に何も解決はしていない。
曲が書けた時、
一通り読み直して
「だから?って思われるかな。」
とも思った。
だって彼が祈って決意しただけ。
もうちょっと壮大なオチを付けるか、
「でもあなたがいてくれたら私は幸せよ」
と彼女が笑ったみたいな
そんなハッピーな最後にしようかなとか、
色々考えたけど結局はこの内容にした。
やっぱりこれが現実だと思ったから。
冷たく聞こえるかもしれないけど、
過去に起きた他人の苦しみや悲しみの根本的な解決は
所詮他人にはできないと思ってる。
恋人だろうが、
夫婦だろうが、
パートナーだろうが、
所詮は他人だから
一時的な癒しにはなれても
根本的な解決は何もできない。
その渦中にいた加害者側の人間でも
解決はできない可能性もある。
本人のその痛みの痛さを誰も知れないから。
だからこそ
周りいる僕たちは
ただそういう時に祈ることしかできない。
神様がいるかいないかも分からないけど、
『MOTHER2』のラスボス・ギークを祈りで倒すように
相手に一日でも多く幸せが訪れるよう
ただ何かにそっと祈ることしかできない。
でも人の痛みの痛さが
本人にしか分からないからこそ
僕たちは人に優しくできる、
人に思いやりを持てる。
僕たちは人にできないことだけではない。
そんな想いが無力じゃないことだけは
今でも信じている。