新しい組織のあり方 ~その2 上下ではなく「パートナー」~
新しい組織のあり方について、前回からだいぶ日が空いてしまいましたが、また書いてみようと思います。ピラミッド社会と言えば上下関係ですが、「部下は上司に従え」という意味不明さの記事にも書いたとおり、その上下関係って組織の中だけの「決めごと」にすぎない割には、絶対的な力を持っていて、どんなに真っ当なことを言っても、下っ端というだけで聞いてもらえない、みたいなことがしょっちゅう起きています。人間的に素晴らしく「この人の下で働きたい!」みたいなことであれば頑張れますが、ただの「決めごと」で「この人が絶対的上司だから従ってね」、と言われても、そりゃ不満は募ることもあるでしょう。飲み屋でたまたましゃべったおじさんと仲良くなって、紹介しようと友達交えて飲んだらその友達の会社の社長だったから友達付き合いはできなくなった、ということもありえそうですよね。組織の外を出てもその上下関係はずっとついて回るし、いつまでも人間同士の付き合いはできないんじゃないかな、という気もします。
どんな大きな組織にも小さな組織にも社長さんに当たる人はいるわけで、そうするとある程度の上下関係はできますし、雇用者、被雇用者の関係も生まれます。そこでの「雇っている」「雇われている」という意識が強すぎると、「支配・依存」関係のもとになりますし、「雇われているんだから言うこと聞かないと」とか「雇ってやっているのにそんな口きくのか」みたいな好ましくない人間関係が生じやすくなると思います。
形態上は雇用関係だとしても、意識は「パートナーシップ」というのが望ましいあり方ではないかなと感じます。雇用者も従業員がいないと困るわけですし、被雇用者も仕事がないと困るわけですから、別にどっちが上っていうこともないと思うんですよね。従業員のかたの方が知られざる素晴らしいアイディアや知識、経験をお持ちかもしれないし、それを引き出すのも雇用者の役割だと思います。単なる「単純労働の従業員」として見るのではなく、一人のかけがえのない個人として見るということ。「雇ってやっている」とふんぞりかえったり、人を人として扱わないような経営者もたくさんいらっしゃるでしょうが、読まれている方がそういう人のもとで働いているのであれば一刻も早く辞めてほしいと思います。従業員がいるという大切さをわかっていないのですからね。
大きなピラミッド組織だと人数が多すぎるため、雇い主との間に何人もの中間管理職を挟んで一番末端に労働者がいる、という構造。「パートナー」だなんてもってのほかで、小さい組織よりも個人が単純労働のコマとして扱われる可能性が高いし、顔の見えない大衆と化すわけですね。だから何千人規模のリストラとか平気でできちゃうんでしょうけど。一人一人の人生設計とか、個性とか得意なこととか、そんなこと考慮してくれる大組織はまずありません。それが今までの当たり前の組織のあり方でした。
これからの組織は、なるべく雇用者・被雇用者の上下関係をなくし、フラットな状態を目指すことというのが一つの方向性だと思います。必ずやってほしい仕事というのはもちろんあると思いますが、せっかく一緒に働くのであれば、その方が持っている「やってもらっている仕事以上の価値」をどんどん発掘してのばして、発揮できる場を提供してあげられるのが、これからの時代に求められるリーダー(雇用者・経営者)像の一つのあり方ではないかなと感じます。私が誰かを雇うことがあったとしたら、たとえ高校生のアルバイトであっても、現場で感じることをフィードバックしてもらったり、何か提案してもらう制度を設けるなど、当事者意識ややりがいを持って働ける場を作りたいなと思います。大企業がどんどん崩壊していくであろうこれからの時代は、リーダーの手腕が今よりもっともっと問われるようになっていくでしょうね。