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時事無斎雑話(26) 米不足を乗り切るための料理特番をエレバン放送第37日本支局がお送りします


 こんにちは。エレバン放送第37日本支局から時事無斎ことむら ただしがお送りします。
 9月に入り、そろそろ秋の気配も漂うようになってきました。食欲の秋の到来ですが、昨今の物価高で、食べたいものがことごとく値上がりして手を出すのに躊躇せざるを得ないのが実際のところです。旧民主党政権時代にインフレが何か素晴らしいものであるかのように信じ込んでインフレ政策を採らない政権に罵声を浴びせ続け、自公政権の復活後は選挙のたびにインフレ政策である「アベノミクス」を支持して現政権(とその補完勢力)に投票し続けた平均的有権者の皆さん、全てあなた方の望んだ通りになったようです。良かったですね。

問:2020年代日本の庶民にとって「食欲の秋」とは何でしょうか。
答:腹は減るが食べたいものがどれも高くて買えないことです。

 そんな中、主食である米だけは、多少値上がりしつつも何とか庶民にも手の届く存在であり続けていたものの、ご存じの通りそれにも異変が起きています。2024年度に入って米の在庫が減り続けていることが報じられ始め、端境期はざかいきの8月にはついに店頭から一斉に米が消える事態となって、9月に入った現在も、米の産地である北海道でさえその状態が解消していません。
 政府が言うように需要を十分に満たす収穫が見込める作柄なら、むしろ米不足が問題になりかけた段階で早めに備蓄米を放出し(放出の検討を表明するだけでも一定のパニック抑制効果はあったでしょう)新米の収穫後に減った分を多めに補充して在庫の入れ替えを行えば、後から古米を抱え込む量も減ってむしろプラスだったと思うのですが、なぜかそういう話は議論にすら上らなかったようです。代わりに聞こえてくるのは「米は不足などしていない」「不安を抱く必要などない」といった、何やら戦時中の大本営発表を彷彿ほうふつとさせるような主張ばかりです。実際には米が店頭から消えて買おうにも買えない(そして、それにつけ込んで泥棒や買い占めがはびこり始めている)事態になっていることそのものが既に大問題なのですが、政府与党や御用メディアの方々はそのあたりを理解していないのでしょうか。

全国的な米の品薄を受け、政府与党は対策費として1千億円の予算を支出することを決定した。
内訳は、米の生産と流通に携わる事業者への補助金として10億円。
「米は品薄になどなっていない」というキャンペーンを行うマスコミと広告代理店への補助金として990億円。

問:新米の収穫風景を公的機関が動画配信するサービスが始まりましたが何と名付けるべきでしょうか。
答:配信を請け負う事業者は税金で利益を上げることができ、庶民は画像を見て新米を食べた気分になれる「絵に描いた餅プロジェクト」です。

 あるいはそうした方々は、通常のお店以外のルートから特別に米を入手することができるので特に危機感を持つ必要もないのかもしれません。まあ、今の日本のような社会ではよくあることなのでしょう。

2022年、政府与党の有力者と関係の深い某氏宅の食卓には、特別のルートで優先的に入手した高級牛肉があり、隣人たちの不評を買った。
2023年、某氏宅の食卓には優先的に入手した卵と牛乳があり、隣人たちの不評を買った。
2024年、某氏宅の食卓には優先的に入手した米があり、隣人たちの不評を買った。

 ただ、その種のコネのない我々一般庶民としては、現に米が手に入らない事態をどうにかして乗り切らねばなりません。私自身、現在手元にあるのはたまたま品切れの直前に買った食べかけの白米の5 kg袋と同じく玄米5 kgが全てで、これをどうやって食い延ばすかが目下の課題です。
 というわけで今回は、貧乏学生生活が長く就職後も貧乏レシピの探求者であり続けた私が米不足を乗り切るためのレシピを紹介させていただきます。

1.麦飯

 スーパーの棚を見ていると米は売り切れていても麦は売れ残っているようです。どうせなら、これを機会に「麦飯」を試してみましょう。
 手元に米が残っている方は先に白米だけ研いでから(麦は研ぐ必要はありません)麦を入れ、水の量は通常より少しだけ多め、浸水時間は長めにして、あとは普通に炊きます。米と麦の比率は米7対麦3が標準のようで、これで手持ちの米を普通より1.5倍ほど長く食い延ばすことができます。
 カレーやチャーハンに使う場合は、麦の割合をさらに増やして4割から5割以上にするとパラパラとした食感が出てむしろ麦飯の方が合います。このあたり、以前に書いた「平成の米騒動」についての記事も参考にして下さい。

 もっとも、こうした知識が広まって消費者が一斉に買いに走れば、もともと供給の少ない麦はあっという間にスーパーの棚から姿を消してしまうでしょう。麦だけで米の不足を穴埋めするのはどうやら難しそうです。

かつて、政府与党のイケダ首相は「貧乏人は麦を食え」と言った。
今、キシダ首相とその後継者のもとでは、貧乏人は麦さえ食えなくなる。

2.オートミール

 少し前にちょっとした流行があり、そのとき買った使い残りが戸棚の中にあるご家庭もあるかもしれません。
 牛乳で煮てミルク粥にしたり、ドリアやグラタンにしたりといった洋風の食べ方がよく知られているものの、和風の食べ方もできます。今回紹介するのはオートミールの雑炊(おじや)。鍋の残り汁や、適当な材料(フライドチキンや焼き魚の残った骨なども使えます)で取ったダシ汁にあり合わせの具を入れ、煮立ったところでオートミールを加えて少し煮込めば出来上がり。生米に比べ煮えるのが早いため、汁だけあってご飯がない時に手早く作れるインスタント食品的な使い方もできます。
 麦飯より多少高くつくのが難点とはいえ、業務用食材を置いている店などに行けば幾分割安で買うことができます。少なくとも転売屋から高く米を買うよりは安上がりでしょう。

3.栗おこわ

 スーパーの米売り場を見ると、麦のほかもち米も売れ残っているのを目にします。これを使っておこわなどもできます。秋ということで、栗を入れた栗おこわなどいかがでしょう。もちろん栗以外の材料で作っても構いません。レシピについてはネット上に情報がたくさんありますのでそちらを参考にして下さい。
 栗はお店で買う以外に身の回りにも意外な場所に木があったりしますので、そこで拾ってきた実を使うという方法もあります。近い将来、そうした自力での食料集めが必要な時代が来るかもしれません。普段からチェックしておくようにしましょう。ただ、そうした野生の実には虫がついていることも多いため、皮をむく時に虫食い部分も取り除くようにします。多少不格好になるものの、自分で食べるには特に支障はありません。

4.炊き込みご飯

 いよいよ米が全く手に入らなくなれば、サツマイモやカボチャといったデンプン質の野菜を細かく切ってわずかの米や麦、さらに身の回りに生えている食べられる野草と一緒に炊けば、江戸時代や戦中・戦後にも食べられていたような代用ご飯の出来上がりです。サツマイモやカボチャは初心者でも比較的簡単に育てられる上に得られるカロリーも多いため、どうせなら将来の食糧不足に備えて来年からでも庭やベランダでの栽培を検討されてはどうかと思います。

問:日本で近い将来流行しそうな昭和レトロは何でしょうか。
答:食生活における戦中・戦後レトロです。

 折しも自民党の総裁選がメディアを賑わせています。候補者の顔ぶれを見る限り誰が選ばれてもロクなことにはならないと個人的には感じるのですが、結局はいつものように御用メディアを中心としたマスコミが新総裁の「ファッションセンス」「好きな食べ物」といったどうでもいい話題や「すばらしい人柄」についての安っぽい美談を朝から晩まで流し続け、いつものように有権者の皆さんがそれに乗せられて新内閣の支持率が爆上がりしたところで解散・総選挙が行われ、いつものように現在の政権が圧勝して何の代わり映えもない体制が今後も続く、という結果に終わりそうです。

同じ手口で二回騙せた相手は、そのあと何十回でも同じように騙せる。

~ある詐欺師の金言~

 つまり、今後も米不足や食料の高騰に対する有効な施策は期待できないということです。今回のような単なる需給の問題ではなく、猛暑や台風被害(注)、戦争などの影響で、需要を満たすだけの米、さらに食料そのものが本当に確保できなくなったとしても、やはり今回同様に「我が国に問題など存在しない」「不安や不満を持つな」という旧ソ連や北朝鮮のような報道がタレ流され続けるだけなのでしょう。

注:地球温暖化でそうした事態が起こる危険性が高まっているにもかかわらず、現政権の岩盤支持層であるタカ派保守界隈では、未だにCO2による地球温暖化そのものを否定するような主張が堂々とまかり通っているのが現状です。

 せめて本放送を見ていただいている皆さんには、そうした時代に流されない知恵を付けることで来るべき時代を生き延びてほしいと思います。本放送がその助けとなれば幸いです。
 以上、エレバン放送第37日本支局からお送りしました。

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