どうやってエキナカをつくったか
それまで鉄道の駅というのは、
できるだけ素早く電車に乗り、
できるだけ素早く立ち去るところだった。
それを、できるだけ居心地良くいてもらって、
なんならできるだけたくさんお金を使ってもらう、
という場所にした。
たとえば、JR品川駅。たとえば、JR大宮駅。
スーパーよりもおしゃれさんで、
デパ地下の品質と価格に近い。
鎌田由美子さんは、ONE・GLOCALの代表取締役として
「地域の一次産業を元気に!」
というスローガンでがんがん活躍しているが、
最初のキャリアはJR東日本、「エキナカ」をつくったプロジェクトマネージャーだった。
先日、リーダーシップ・チャレンジ(大隈塾)で講義していただいた。
テーマは「GAME CHANGER」。
社内新規事業立ち上げの事例をふたつ取り上げ、
組織内でのGAME CHANGERとしてのリーダーシップを学んだ。
ひとつは、エキナカの立ち上げ。
「通過する駅から集う駅に」というステーションルネッサンスの発想でスタートするも、
メンバーは35歳で副課長の鎌田さんをトップにした、たったの3人。
素人トリオが駅の3Kトイレ(暗い、汚い、怖い)の改革、
キオスクと駅そばだけのコンコースを、
いまのようなエキナカをつくっていったプロセス。
もうひとつは、地域再発見プロジェクト。
「のもの」という地産品ショップを立ち上げ、
新幹線の新青森駅開業を機に地元産のりんごをつかったシードル造り、
ブランディングを含めての「A-FACTORY」という
シードル工房と飲食物販ショップから構成される複合施設の運営を始めた。
ふたつの事例に通じるのは、
・社内での新規事業は100%カベに当たる
・関係者は、社内も社外も総論賛成、各論反対
・社内には数字(ロジック)で、社会には感情(パッション)で説得する
・しかし、新しいマーケットには数字がない、前例がないからイメージが付かない
・昔の常識は、いまも常識なのか
ということだった。
そこをどう乗り越えたのか。
鎌田さんは、
「情熱と志がなくては始まらない、なんてのは当たり前」
といい、
「どうやって共創に持ち込むか」
がカベの乗り越えるカギだと。
共(とも)に創っていく状態にする。
それにはどうすればいいのか。
まずは、自分でやってみましょう。
自分で試してみましょう。
本田宗一郎の言葉だ。