水琴鈴・ケーキ職人と黒電話・「ケガするよ」/読者投稿・怪奇ミステリー体験
読者から投稿されてきた、不思議で神秘的な出来事をご紹介します。
呪われた水晶つきの水琴鈴と謎の中年男性
◆岐阜県/Nさん
これは、今から3年ほど前に起きた出来事です。
ある日、買い物をしているときに銀色の水琴鈴(すいきんれい)を見つけた私は、悩んだ末、購入することにしました。小さな水晶がついた、とても綺麗な音がする鈴です。
その鈴の音がとても気に入った私は、それをいつも大切にポーチに入れて楽しんでいました。
ある夜のことです。私の夢の中に突然、40 ~50代の灰色の町工場の作業服のようなものを着た男性が現れました。もちろん私の知らない男性です。
男性は、なぜか血走った目で私を睨みながらズルズルと地面を這はってきたかと思うと、いきなりその場を動けずにいる私の右足を両手で抱えこむようにつかみ、
「よこせ~、よこせ~、その銀色の鈴をよこせ~」
と、何度もしつこく訴えてきたのです。
たとえ夢の中とはいえ、どこのだれともわからない中年男性からいきなりそんなことをいわれ、しかも何やら高圧的ないいかたに少し腹を立てた私は、
「イヤです。鈴と私に触らないでください! !」
と、足下の男性に向かって叫んだところでハッと目を覚ましました。
おかしな夢を見てしまったなあ、と思うと同時に、何やら不安になった私は、思わず自分の右足を見てみました。しかし、何の痕跡も残っていません。念のためポーチの中も調べてみましたが、私のお気に入りの銀色の鈴もいつものように入っていました。
ホッとして再び横になって眠ろうとするものの、さっきの夢のあまりのリアルさが何やら妙に気になります。そして、いいようのない不安感と妙な胸騒ぎがして、なかなか眠りに就くことができませんでした。
翌朝、前夜の奇妙な夢のことは伏せたまま、母にさりげなく、
「ねえ、この間、こんなの買ったんだよ」
と、いいながらポーチから銀の鈴を取りだしました。
すると、その途端、母が急に顔をしかめて、
「ああ、頭が……頭が痛い。何よ、それ!?」
と叫び、鈴から身をのけぞらせたのでした。
私がビックリしていると、やがて母はそれが鈴であることに気づいたようで、ようやく落ちついてくれました。しかし、何だかその鈴を見ていると頭痛が酷くなるようだといいます。実は母は以前から、妙に勘の鋭い人でした。
そこで私が思いきって昨夜の夢の一部始終を打ちあけると、途端に母が顔色を変えて、
「やめてよ。それ、絶対にすぐに捨てたほうがいいよ! !」
と、強く真剣にいいます。
母からそのようにいわれ、なおさら私も気味が悪くなりました。そこですぐに私は、その鈴と粗塩を一緒に紙に包み、泣く泣くゴミとして捨てることにしました。
その後は、幸い奇妙な夢は見ていません。
お気に入りの水琴鈴を手放したのは残念ですが、それ以外に方法はなかったと思っています。あの水琴鈴には何かが取り憑いていたのか、または呪われていたのでしょう。
小林世征の心霊相談室
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