H∴T∴結社、籠目、見てはいけない秘祭/∴[yueni]第4話・超常現象ガイド
謎のオカルトアイドル「∴」の活動には、超常現象にまつわるキーワードが隠されている。
ここでは、ムー的な用語になじみのない方々のために、「∴」内の用語を簡単に解説していく。
H∴T∴結社
「1911年、イギリス・ロンドンの『H∴T∴結社』は、メソロンギ・ペーパーを解読し、それがエノク語辞書であることを解明した」
「∴」は、秘密結社フリーメーソン、または魔術結社ゴールデンドーンなどで省略記号としても使われている。アレイスター・クロウリーが黄金の夜明け団を離脱した後に創設した魔術結社「銀の星」は「A∴A∴」は複数の言語で頭文字Aの語の組み合わせを内包した名称である。
作中で提示された「H∴T∴結社」も、1911年イギリスという表現からこれら魔術結社を意識した名称と思われる。”物語”の流れからはHとTの組み合わせに「ヘルメス・トリス・メギストス」を連想できるが、このほかに二重、三重の意味を折り重ねた言霊であることは間違いないだろう。
籠目
「魔物は、こう、バッテンになっている籠目模様は見透かせないと考えられているんですよ」
竹籠の編み目で作られる「籠目」は古来、魔除けの効果があるとして日用に、または祭祀に用いられてきた。竹籠を玄関先に伏せておく、または籠目(六芒星)を記したお札を貼ることが、目に見えない怪異を「見張る」ことになっていたのだ。
作中では「魔物に見られない」ための呪術として「うちではそうなってる」と語られている。編み目の穴の部分(六角形)ではなく、交点(バッテン)を禁止の呪術に用いているようだ。籠目模様にまつわる興味深い事例といえよう。
見てはいけない秘祭
「ナマグサ様が道を通ることを『お通り』っていうんだけど。『お通り』のときはその姿を見てはならない、ナマグサ様の通ったあとをまたいではならない、とか」
その日の夜は外に出てはいけない。外を往くなにかを見てしまえば、命を落とすことになる……。そんな恐ろしい言い伝えを伴う秘祭は実在する。伊豆諸島で日忌様、海難法師、二十五日様などと呼ばれるもののが現れる日は、その姿を見てはいけない、とされているのだ。その正体、起源は海難事故の怨霊という説もあるが、海からやってくる神を静かに迎える儀式だから、ともいわれている。
作中での「ナマグサ様」も、神であり魔物であり、見てはならない存在。その背景には首長竜の骨という事実と、その出所について伏せなくてはならない経緯もありそうだ。
「∴」活動の最新情報はTwitter、YouTube、TikTokにて。
ネットの海からあなたの端末へ「ムー」をお届け。フォローやマガジン購読、サポートで、より深い”ムー民”体験を!