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溺死霊と、にらみあい/あなたの怪奇ミステリー体験
深夜、警備で巡回中、事務所のドア近くに白いスーツ姿の男性が!!
見れば顔は青ざめ、髪はザンバラ。しかも全身ずぶ濡れ。
恐怖に震える私に同僚が語ったこの男の正体、それは……。
◉読者投稿ページ
イラストレーション=不二本蒼生
原稿募集
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●送り先
〒110-0005 東京都台東区上野3-24-6 上野フロンティアタワー14階
(株)ワン・パブリッシング ムー編集部
「あなたの怪奇ミステリー体験」係。
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睨みつづける地縛霊
◆髙田孝之/栃木県足利市(37歳)
あれはまだ私が大学生のころの出来事です。
当時、私は学費を稼ぐために警備会社で夜間警備のアルバイトをしていました。
ある大きな電機会社の工場で夜間勤務をしていたときのことです。その日は朝からうだるような真夏日で、深夜になっても汗ばむほど不快な暑
さの日でした。
私は工場内を巡回し、2階の事務室のチェックをしていました。そのとき、ふと何気なく事務室のドアのあたりを見ると、ドアの前に白っぽいスーツを着た男が立っていることに気づきました。
それまでどこにも人がいるような気配はありませんでした。おかしいな、と思いながらジッとしばらくその姿を見つめていましたが、男はまったく動く気配を見せません。
もしかするとバイト先の上司が私の仕事ぶりをこっそりチェックしにきているのかもしれない。そう勝手に判断した私は、気づかないふりをしてそのまま仕事を続けることにしました。
それでもやはり気になるのでついチラチラと自然に男のほうに視線が向いてしまいます。しかし、男はジッとその場に立ったまま、こちらを窺っているようでした。私はそのあまりの執拗さに、だんだんと腹が立ってきました。
そこで同僚が待機している部屋に無線で連絡を取り、「今、2階の事務室にいるのだれ?監視なんかしなくても、ちゃんと働いてるって!」 と、文句をいいました。すると同僚からは、
「えっ!? 俺はここにいるし、2階に人がいるわけないよ」
という返事。それじゃあ、あれはだれなんだよ、と思いながら振りかえった途端……手にしていた懐中電灯を落としそうになりました。白いスーツ姿の男が、いつの間にか私から3メートルほどのところに立っているではありませんか! !
真っ青な顔と、ザンバラ髪、そして全身ずぶ濡れの姿で、ジーッと私を睨みつけています。
「ウウ……寒い……」
低く、震えるような声が聞こえてきたかと思うと、次の瞬間、男の姿がスッと消えてしまいました。
私は、大声を上げたいのを必死に堪えて、一目散に警備員室に駆けこむと、震えながら同僚に今の出来事を話しました。
すると地元出身のその同僚は、「前に聞いた話だけど……」
と、前置きして語りはじめました。
「昔、昭和30年ごろのことらしいけど、川に落ちて溺死した男の人がいたらしくてね。ずいぶん長く水に浸かっていたせいで、見つかって引きあげられたときには無残な姿になっていたみたいだよ。この工場は、その川を埋めたてた土地に建てられているんだ。そのこととさっきのことは何か関係あるのかもしれないね」
淡々と話す彼自身は、一度もそんなものは見たことがないそうです。
こんな話を聞いてしまったからには、もうその後、巡回に行くことなどできません。
自分は霊感が強いので、もしかすると無意識にそんなものを呼んでしまったのではないか。そう思えて仕方ないのですが……。
翌日、私はそのアルバイトを辞めました。
溺死した父
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