未知との邂逅が描かれた!?インドの「異星人壁画」/宇佐和通・ヒストリーチャンネル
◉ヒストリーチャンネル・レビュー◉
文=宇佐和通
協力=ヒストリーチャンネル
ジャーナリストのトニー・ハリスがミステリー事件を再調査し、真偽を判定する「ザ・未確認スペシャル」を本誌視点で解説‼今回はインド中部チャッティースガル州の洞窟壁画の真相に迫る。
30年以上のキャリアを持つジャーナリストのトニー・ハリスがホストを務めるヒストリーチャンネルの「ザ・未確認スペシャル 証拠はそこにある‼」。世界中の不思議を取り上げ、各分野のエキスパートの意見を盛り込みながら冷静な検証が進められる。今回のテーマは洞窟壁画だ。
フランス西南部のラスコー、スペイン北部のアルタミラ、アルゼンチン南部のクエバ・デ・ラス・マノスなど、有名な洞窟壁画は世界各地に点在する。
しかしいずれも、主流派科学の枠組みの中に限る形で研究対象とされることがほとんどだ。番組が取り上げるのは、2012年7月に地元の考古学者J・R・バガット氏によって発見されたインド中部チャッティースガル州の洞窟壁画だ。ここに描かれている赤と黄色で彩られた人影は、独自の存在感を放っている。
「TheDebrief.org」というサイトのリサーチャー、M・J・バナイアスは次のように語る。
「普通の人間をモチーフにしたわりには、頭が不自然なほど大きすぎます。腕と手は頭や体と違う色で、周囲の人間たちとも描き方が明らかに違います」
人間にきわめて似ているものの、人間以外のもの。そんなニュアンスだ。バナイアスがいう通り周囲にも人間らしきものが描かれているが、外見が明らかに違うので、どこか別の場所からやってきた何かという解釈も成り立つだろう。
そして、同じ空間の天井に円盤状の物体が描かれている事実も見逃せない。ハリスの表現をそのまま借りるなら「機械的な円盤状の物体」ということになる。バナイアスは「50〜60年代のポップカルチャーで語られていた円盤そのままの形状」と形容する。
変わった外見の人影は、この円盤状の物体に乗って地球にやってきたのではないか。そして壁画は、ひとつの大きなテーマの下に描かれているのではないだろうか。つまり、空飛ぶ円盤とそれに乗ってきた人たち。そしてそれを見守る地球人たち。壁画全体が、古代に起きたかもしれない地球外生命体との第1種接近遭遇の様子を広い画角で表現したものかもしれないのだ。
生物人類学の専門家マイケル・マスターズ博士は次のように語る。
「他の古代文明でも、よく似た絵が数多く残されています。オーストラリアのワンジナ像や、アメリカではキャピトルリーフ公園の岩石線画がよい例でしょう」
壁画において野生動物がモチーフにされることは多い。そうしたものを仮に“ノーマル”と表現するなら、円盤や外見的特徴が著しく人間に似たものをモチーフにした壁画には、オーパーツ的な遺物という資質があるのかもしれない。
ビームあるいは着陸脚を思わせる部分、そして窓のようなものも確認できる。マヤのパレンケ石棺ほど精巧な絵柄ではないが、いわゆる“古代の宇宙飛行士説”を想起させるに十分なのだ。
人類学者キャシー・ストレイン博士は次のように語る。
「中核的モチーフとして描くからには、重要な要素だったはずです。後世に伝えたい出来事だ
ったのでしょう」
考古学者のエド・バーンハート博士は異論を唱える。
「トランス状態に陥ったシャーマンの脳裏に浮かんだイメージがそのまま壁画として残された可能性が高いと思います」
幻覚作用をもたらす薬草や断食で極限状態に陥ったときの変性意識のなせるわざだというのだ。天井の円盤状の物体も、決してUFOではなく、真昼の太陽が光を放っている様子を表現したものにすぎないという。
チャッティースガルの洞窟壁画に描かれているものの本質は、古代人によるUFOの元型的なイメージではないのだろうか。今後も熱い議論が続いていくだろう。