「やりたいことが見つからない」贅沢なあなたへ！　グランジュルノルマン人生相談／赤魔導士Bijou

日本唯一グランジュルノルマン解説を手掛ける赤魔導士Bijou氏が、あなたの悩みに答えます。人生の場面で出会う困りごと、何度もぶちあがる悩みごと……ひとりで考え込まずに、カードが示す物語からヒントを読み取っていきましょう。今回のお悩みは「やりたいことが見つからない」です。
―― その悩み、もうカードに答えが書いてあるよ？

グランジュルノルマンについての基礎知識はこちら。

文＝赤魔導士Bijou　#グランジュルノルマン

Q: 「やりたいことが見つからない」

Q: 「やりたいことが見つからない」（25歳・男性）

大学を出てそこそこの会社に入ったものの、とくに向上心を持てず、漫然と日々を過ごしています。大きな不満はないけど刺激がなく、かといって今の御時世、転職や起業もハイリスク。このまま30代を迎えちゃっていいのかな…というモヤモヤを抱えています。贅沢な悩みだとはわかっているのですが、アドバイスください！

A:「ダイヤの10」が船出の準備を示しています。

船出の場面

　メインのイラストの部分にはアルゴナウタイのイアソンが、イオルコス王ペリウスに、蛮地コルキスへゴールデンフリースを探しに行く出立の報告とアドバイスを受けているシーンが描かれています。

　ペリウスとアイソンは異父兄弟。ペリウスの父はポセイドン。アイソンはイオルコス王クレテウスの子。母ティロはポセイドンとの間に、ペリウスとネレウスの双子を授かりますが、産んですぐに捨ててしまいます。棄てられた双子は羊飼いに発見され育てられました。

　ペリウスは弟であるイオルコス王アイソンから王位を簒奪し、安泰に治めていましたが、片足が裸足の男に暗殺されるとの神託を受け、日々恐れて暮らしておりました。そこに現れたのが、片方のサンダルを無くしたアイソンの息子イアソンです。イアソンは王位の返還をペリウスに求めますが、交換条件として蛮地コルキスにゴールデンフリース（金の羊毛革）を探してくるよう過酷な旅を命じ、イアソンは仲間を集い旅に出るのです。

ーーギリシア神話に耐性ないとカタカナの名前だらけで混乱しますが、場面のイメージだけざっくりつかんでください。

　さて、ご質問の『やりたいことが見つからない』についての回答をこのダイヤの10のカードから読み解いて参りましょう。

恵まれた状況が退屈

　このカードはひとつの問題を解決すると次の課題が出てくることを表しています。また、出立を意味するカードなので、海外進出や遠方への挑戦の暗示もあります。
　大学を出てそこそこの会社に入ったということは、きっと周りから見たら勝ち組なのでしょう。きっとそれまで受験や就活を頑張ってきたからこそのスタミナ切れ、トーンダウンを感じているのではないですか？

　このカードの主人公イアソンも、もし伯父のペリウスが王位を簒奪せず、アイソンがそのまま君臨していたら、イアソンはケンタウロスの長ケイロンに預けられ、徹底した英雄教育は受けていないでしょうし、王子としてのんびりした日々を過ごしていたことでしょう。
　恵まれた状況というのは時として退屈で生きていることへの焦りを感じさせます。しかしあなたは、高校、大学、就職と選別される場面で、知らぬうちに沢山の同胞を蹴落としてきているのです。そこで安堵し、やる気スイッチがOFFになってしまったのはもっともなことではないでしょうか。贅沢な悩み、確かにそうかもしれませんが、極端に言うと“生きた証”のようなヒリヒリするような刺激が欲しいのかも知れませんね。

　平和な現代に於いてそんな刺激は自ら探さなければ見つかるわけがありません。いっそイアソンが王位の返還を求めるように、会社内で上り詰める方法を模索してみてはいかがでしょう。残念ながらやりたいことは探すしかないのです。
　今はコロナウィルスの影響でおいそれとは海外に出ることがかないません。ですので、まずはこの状況下でできること、周囲にやらされたことではなく、自分が少しでも興味を持ったことを生まれてきてから今までの経験から思い出し、箇条書きしてみてください。

旅支度は入念に

　さらに、カードから、あなたの船に積み込むべきものを一緒に考えていきましょう。グランジュには多種類の要素が描かれていますが、中央のメインのイラストの周りにある、トランプのマークや星座、文字、花など、気になった部分はどこですか？　そこに、現状を打開するヒントが隠れています。